悪役令嬢、知識を吸い取る
「こちらです」
エリーたちは、傘下に入ったクアレスのアジトに案内される。
アジトは山の中に生えている巨木の下に入り口があり、事前知識が無ければ発見は困難だと予想できた。
アジトの中はかなり広く、6畳程度の部屋が10以上あった。
エリーたちはその小さな部屋の奥、会議室へと案内された。
「さて、まずは貴様たちの知っている情報を教えて貰おうか」
エリーは重苦しく言う。
ーーこういう上司がいたら、会社辞めたくなるわ。
「はい。まず、火傷蜥蜴のことをお話ししますね。火傷蜥蜴が最近子供をさらっている理由ですが、どうやら加護持ちを作って手先にする計画のようです」
「加護持ちを作る?」
「どうやら、火傷蜥蜴は闇の加護を付与する方法を見つけたようなんです。ただ、その付与できる条件が、他に加護を持っていること、らしいんです」
エリーはクアレスの情報網に驚いた。
ーーそんな情報も得られるとか、クラウンの傘下に入る必要がないくらい凄い組織じゃない。
エリーの思うとおりである。
今までクアレスは、長年火傷蜥蜴と戦ってきた、実力のある組織なのである。
では、なぜ傘下に入ることにしたのか。
それは、エリーは知らないが、クラウンのメンバーの交渉術によるモノなのである。




