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悪役令嬢、村長と話す
「こっちだ」
エリーは父親に連れられ、少し豪華な小屋へ連れて行かれる。
少し豪華と言っても、周りと比べれば相当豪華だ。
護衛らしい兵士が小屋の戸を叩くと、でっぷりと膨らんだお腹の青年が出てきた。
エリーは色々と貴重品が置いてある小屋の中を見て、この自分が村長であると判断する。
「お久しぶりですなぁ。公爵様ぁ」
語尾を不自然に伸ばして話すその青年は、父親に頭を下げる。
ただ、膨らんだお腹が邪魔をして首ががくんと下がるような礼になっている。
「村長よ。今日で貴様をその任から解任する」
「……はぇ?」
父親の宣言に、村長は呆然とする。
エリーは父親の気遣いを感じた。
ーー私に村長の怒りが向かわないようにしてるのね。
そう思ったのだが、
「後任は我が娘、エリーになる。もし異論があればエリーに言いたまえ」
ーーいや、そこは押しつけるのぉぉ!??




