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悪役令嬢、セカンドに名前を聞く
キシィから勉強を教わり、色々あって夜になった。
明日はエリーの領地に行く予定なので、今日は少し就寝時間が早い。
「こんばんは」
「あぁ。クラウン様」
もちろんエリーが素直に寝るわけもなく、夜の世界へと足を踏み出していた。
エリーが老婆の家に行くと、少年のセカンドが出迎えた。
因みに、エリーにもゼロというコードネームがあるのだが、クラウン様で通じるので、ゼロという名前は使われていない。
「……妹さん、なかなか見つからないわね」
エリーは、暗いトーンで切り出す。
そうなのだ。
実は、セカンドとともに連れ去られたというセカンドの妹が、まだ見つかっていないのだ。
「ああ。最近本当に、生きているのか不安になる」
そう答える少年の顔はとても暗い。
家族が行方不明なのだ。
心配なのは当然だろう。
「手がかりが欲しいわ。名前とか、教えて貰えないかしら」
「そうだな。……そうか、名前も教えてなかったのか。俺の妹の名前は、セラニナだ」
ーーセラニナ。……え?もしかして、ゲームに出てきた、あのセラニナかしら?




