悪役令嬢、王子はいらない
エリーが泣き叫んだが、結局褒美が消えることはなかった。
今回の褒美の内容はこうである。
・王子と結婚する権利を与える。
ただし、お互いが好意を抱いている。つまり、両思いであることが条件である。
王子と結婚することが嫌なら、好きにならなければ良いと思うかも知れない。
だが、エリーとしては王子と関わることは絶対に避けたいことだった。
なぜなら、前世でやったゲームで、
第1王子が裏ボスだったからである!
ーー絶対関わりたくないわぁぁ!!!!!!!
裏ボス、と言ったものの、通常ルートをいくらやったところで第1王子と会うことはない。
彼と会うことができるのは、ダウンロードコンテンツを買ったときである!
そのダウンロードコンテンツは、ハードモードを体験できるというモノ。
好感度を上げることが通常より難しくなり、逆ハーレムを作ることがかなり難しくなるのだが、完全に無理ゲーだった。
まず、ハードモードでは第1王子と結婚しないと主人公は必ず死ぬ。
しかも面倒なことに、第1王子の好感度が非常に上がりにくいのだ。
エリーは前世で、ハードモードの最高のエンディングまで行ったことが数百回ある。
第1王子との親密度を100%にして、主人公は正室となり女王へとなったのだが、それ以外のハーレムメンバーを作ることができなかった。
ハーレムゲームなのに、ハッピーエンドだと逆ハーレムを作れない。
どれだけ忍耐力のある人物でも、ハッピーエンドまでクリアしたら、それ以上、手をつけるプレイヤーは居なかった。
エリーの前世、明日花以外は!
明日花は、ハーレム候補に少しではあるが、エリーのことを話す人が居たため、その人だけでもと思って全力でやったのだ。
そして、その人物も一緒にハーレムに入れることはできた!
のだが、残念ながらエリーの話は聞けなかった。




