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第1話 腐った街

※この作品には暴力シーン、残酷な描写を多数含みます。

この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空のものであり、実在のものとは一切関係がありません。

 人間と魔女。

 この世界には二つの種族が存在している。

 双方がいがみ合い殺戮を繰り返した末、魔女の殆どが絶滅。

 現代では大多数の人間と、魔女の血縁であり「魔法」を使用出来る数少ない人間、通称【魔法使い】。その二種族による社会が構築されている。


 しかし、魔女は絶滅した訳ではない。

 社会の片隅に身を潜め……或いは人間の一部となり、今も生き延びているだろう。


 人間も魔法が使える。

 だが、魔女に勝つことは到底不可能だ。

 世界は、いつだって魔女の掌の上にある。


「……さて、誰にするかのう」

 老年の魔女は、歪に、不敵に笑っていた。




 西洋に位置する島国、アミザント。

 かつて魔女と人間による戦争が多発した国。

 一方的な判断による人々の処刑。

 魔女が用いる異能、「魔法」による被害。

 その国の歴史は、常に殺戮と憎悪が付き纏う国。

 現代では魔女による被害はほぼ消失したが、魔法を使用したものを含む、犯罪行為が後を絶たない国。


 そんなアミザント最大の都市ヴァンジン。道路は車と路面電車が行き交い、人々が街を練り歩く。

 周囲に巨大なビルが乱立し、その上を飛行機が飛び交う。

 街の中央に位置する電波塔が街のシンボルとなっており、国内外から観光客が集う。


 そんな街に住む若い男、ロスタ。

 短く整えた赤い髪を風になびかせ、裏路地を歩く。赤いTシャツを纏い、職場である「ロウティグ」へと入っていく。


「おはようございまーす!」

「遅えぞロスタ!」


 出勤早々、ロスタの先輩の怒鳴り声が店内に響く。


「今日はちゃんと出勤時間に来ました!」

「新入りは俺達よりも先に来て掃除!常識だろうがボケが!」

「すいやせん!」


 勢いよく頭を下げるロスタ。


「ったくよ……。わかったらさっさと店の準備!」

「へい!」


 ロスタは溌剌たる振る舞いで、店の奥へと入っていく。その姿を見て、先輩の大男は小さく舌打ちをした。

「ロウティグ」は、ヴァンジンに幾つも点在するキャバレークラブの一つである。夜になれば多くの男達が詰めかけ、過激な服装の女性スタッフらと酒を飲み交わし、接待する。

 ロスタは主にホール業務や雑用を担当する、所謂ボーイである。


「よっ、ロスター!」

「おっすー」

「ウス!アンネさん、ライラさん!」


 ホステスが出勤する時間帯。手馴れのボーイ達より一回り年齢が低いロスタは、よく可愛がられている。


「ロスター、あのニュース見た?」

「ニュース?」

「ほら今日やってたじゃん。魔法使って犯罪起こした輩が居たって」

「え、なんの事すか?」

「ほらあったじゃん。雷かなんかの魔法使って、通行人襲ったってやつ!」

「最近そういうの全然無かったよねー。やっぱいるんだ魔法使い」

「へー……」


 今朝の魔法襲撃事件の話題で盛り上がるホステス達。事件の報道ならば幾らでも溢れ出るヴァンジン市だが、魔法による犯罪となればその日の一大ニュースとなる。魔法が使える人間は大幅に減少傾向にある中、魔法関連の事件は人々の恐怖と好奇心を集める。


「こんばんは、ロスタさん」

 ホステス達の中でも小柄で、大人しげな女性が出勤する。

「ベティちゃん!」

(ベティちゃん……今日も可愛いッ!)


 ベティと呼ばれた女性。その清楚な外見と立ち振る舞いからファンになる客も多い。


「お疲れ様です。今日もお客さんが沢山来そうですね」

「最近は仕事帰りの奴も多いしな、俺もめっちゃやらねえとな!」

「ふふ、お互い、頑張りましょうね」

「おう!」

(可愛――――――ッ!!!!!)


 ロスタはベティに惚れている。彼の中で、彼女に逢うことが仕事のやりがいとなっている。


「はい君達ー。もうすぐ開店ね」

 店長の合図で、各スタッフは動き始める。

「それじゃあ、また後で!」

「はい!」


 二人は手を交わし合い、仕事場に着いた。




 ホールは黒い壁と天井が幾つもの間接照明で照らされている。

 溢れる客、無数のグラス。酒と煙草の匂い。

 男達の馬鹿騒ぎ。楽しげな雰囲気の中、ある一声がホールに響き渡った。


「やめてください!」


 建前ではなく、本当の拒否。

 周囲の客やホステス達が会話を止めて、そのテーブルに視線をやる。


 ロスタが駆け寄り、客を一目見て眉をひそめた。声を上げたのはベティ。彼女が相手していた客は、彼女の胸部や尻を撫で回している。


「あー、お客さん。ここお触り禁止なんすよね」

(ベティちゃんに触るなカスが!)

「ああ?ちょっとくらいいいだろぉ、なぁ」

「ダメっす。これ以上やったら出禁すよ」

(クソ、早く出てけよゴミカス)


 客は20代前半と思わしき若い男。明らかに酔っている。


「お客さん、飲みすぎっすね。そろそろ辞めといた方がいいすよ」

(いっそアル中で死ね!)

「はあ、全然酔ってねえっつうの。でいてえおれがこんなんでぇぇ」


 男は呂律が回っていない。周囲に緊迫感が漂う。


「あー、もう出てってくだせえ。これ以上スタッフに迷惑かけられちゃ困るんす」

「ごちゃごちゃごちゃごちゃうるせえなぁ……お前みてえなガキ風情が……」


 男は席を立ち上がり、拳を振り上げる。周囲が息を飲む。


「口挟んでんじゃねえ!」

「よっと」


 男の拳を、一歩引き下がり回避。男はバランスを崩したかと思えば、さらに殴りかかって来る。


「クソガキ……!」

「お客さん、暴力行為もダメっす。マジで出禁すよ」

「ふざけんなよ……」


 息を切らす男。一方、余裕のある素振りを見せるロスタ。その言動が癪に障ったのか、彼目掛けて突撃する男。


「死ね!」


 その一撃も虚しく、背後のソファー席の金属部分に拳が直撃。痛みにもがく男を、背後から押さえつけた。


「はい確保ー。黒服さーん」


 店の奥から、黒いスーツとサングラスを身に纏う男二名が現れる。彼らは身勝手な客を連れて店へと出ていった。


「ロスタさん……!」

「ああ、俺なら大丈夫。ベティちゃんこそ大丈夫?」

「はい、私なら平気です。怪我もしてませんし」

「でも触られたじゃん?汚れてない?」

「大丈夫です。よくある事ですし」

「あー、そう?」

「はい、問題ありません!」

「そう、なら良いんだけどな……」


 歯を見せてにっ、と笑うロスタ。ベティも微笑み返した。


「はぁ、面倒な奴も居たもんだな」

「俺が追い出しました!」

「アホ、ああいう時はさっさと黒服に報告だろうが。危うく喧嘩騒ぎだったんだからな」


 店長に先程の騒ぎを報告するロスタ。先輩も同席している。


「ま、何事もなくて何よりだな」

「何事もあったじゃないすか!お触り被害受けてますけど!」

「まあ、そこは上手く彼女と手を付けるさ」

 

 けらけらと笑う店長。その笑顔がロスタにとって快いものではない。


「ロスタ君も無事でよかったよ、ははは」

「へい…………」


 閉店後、ベティの元へと向かうロスタ。

 一人、店奥で佇んでいる。


「ベティちゃん……」

「……大変、なのはお互い様ですから」


 ベティはホステスの中でも最年少で、肩身の狭い思いをしている。また、貧乏な生活も相まって、ストレスの多い生活をしている。しかし彼女がそのストレスを吐き出したり、周囲に当たるような事はしない。彼女の背景はスタッフならば多くの者が知っている。


 彼女の境遇を見かねたロスタは、ある提案をする。


「ベティちゃん……俺と今度さ、飯でも行かない?」

「ロスタさん……」

「たまには息抜きでもしない?金は俺が出すしさ」

「でしたら……予定が合った日にでも」

「いいの?」

「はい、行きましょう」

「やったあッ!」


 両手を挙げてはしゃぐロスタを見て、彼女はにっこりと笑う。


「では、今日はこれで失礼しますね」

「うん、それじゃ!」


 機嫌の良い足取りで帰路に着くロスタ。

 そんな気持ちとは対照的に、周囲は穢れた光景が広がる。飲みすぎた奴らがゲロを撒き散らし、道端には見知らぬ人が横たわっている。

 繁華街を抜けた街のはずれには、歩きタバコやドラッグをキメた者達で溢れかえる。アルコールとニコチン、何の成分が入っているかわからない薬物の匂いが混ざり、凄まじい異臭を放っている。


「ようロスタ!お前も来るか?」


 ビル街の裏路地に偶然出来た空き地に男達が群がる。ロウティグに勤めるボーイ達、中には店長も混じっている。


「へい……ってなんだこの匂い!?」

「これか?これァ今流行りのアレだよアレ。これ飲むと一瞬で頭がハイになるんだぜ」

「最高のドラッグだぜぇ、フゥ!」

「バーカ、声でけえ!」

 何かのハーブ、注射器、白い錠剤が山ほど入ったポリ袋を手に馬鹿騒ぎしている。

「お前もどうよ、男ならこのくらい窘めよ?」


 そうそう、とロスタに薬物を薦めるボーイ達。


「いや、俺はそういうのいいっす。なんか匂いがダメなんす」

「はー、真面目だなあロスタ」

「しょーもな。ダセェよそーいうの」


 薬物の勢いに任せ、言いたい放題のボーイ達。


「まあまあロスタ君、君もいずれ経験するさ。一度乗り越えれば案外楽なもんさ」

「イェー! その通りですよ店長ゥ!」

「あー、そうすか……へい。俺はこれで」


 その場から逃げるように、ロスタは駆け足で大通りへと抜けていった。


 帰宅する道中、ロスタはコンビニで酒を購入した。缶ビール片手に家路に着く。


(わかってねえよな先輩達も。仕事終わりの安酒ほど美味いものはねえっての。なんでドラッグなんかに手ぇ出すかな……薬物って頭おかしくなるってのに)

「おい、てめえ」


 背後から肩を掴まれる。両腕にタトゥーを入れた若い男。その背後には4人の取り巻きが居る。


「ロスタっつうのはお前だな?よくも俺の仲間ボコりやがったな」


 5人でロスタを取り囲む。中には刃物を持っている者も。


「あれは正当防衛だよ。てか誰だよあんたら」

「フレディ、あいつ次の日デートだったんだぜ?お前のせいで台無しだ」

「どうしてくれんだああ!?」


 チンピラ達に囲まれて尚、ロスタは怖気る事無く、気だるそうに話す。


「そもそもお触り禁止だって説明しただろ。店のそこら中に貼ってんぞ」

「うっせえ馬鹿が!」

「慰謝料払ってもらうぜ……!」

「はー、めんど……。居なくなってくんね?」

「舐めやがって……おい、やるぞ!」


 先陣を切って殴りかかる男。その単調な攻撃をサッと避ける。


「あ、よく見たら今日出禁にされた奴じゃん。サツに行ったんじゃねえの?」

「違えよアホ!てめえを殴る準備してたんだよ……そうやって、な!」

「は……なっ!?」


 気が付くとロスタは、両腕を掴まれている。身動きが取れない状態だ。


「だーかーら、俺は正当防衛だっつうの!」

「うるせえ……その口塞いでやるよ!」


 渾身の右ストレートが右頬に直撃する。口元が切れ、血が流れる。


「ギャハハッ、このままもっとやろうぜ!」

「やれやれえ、ガハハッ!」

「クソ、やめろ……がはっ!」


 チンピラ達は思い思いに殴打し、蹴り飛ばす。

 その中でもロスタは不敵に笑い、彼等を煽る。


「そんなやり方でしか殴れねえとか……やっぱてめえらダセェな……グッ。だから、いつまで経っても風俗通いなんだよ、ヒヒヒ……」


 ロスタは世間一般の価値観から、僅かに「ズレて」いる。一般的に見て異常と思わしき言動も、彼にとっては普通になりうるのだ。


「んだと……また殴られてえか!」


 唾を飛ばしながら罵倒するチンピラ。彼の行動が理解出来ないのか、あるいは殴り過ぎて拳を休ませたいのか、殴る様子はない。


「こんの野郎……!」

「おい、よせ……」


 逆上した男は、刃渡り数センチのナイフを手にロスタに接近する。


「殺られてえか……ッ!」

「やってみろよ、そのちゃっちい玩具でな」

「この……」


 夜空にナイフをかざし、刃先をロスタの腕へと向ける。彼は変わらず、馬鹿にするようにチンピラ達を笑う。


「クソガキが!!」

「……ッ!?」


 殴られた時よりも段違いの量の出血。

 振り下ろされたナイフは、ロスタの右腕を引き裂く。

 そんな状況下。

 一瞬痛みに歯を食いしばるも、また彼はニヤニヤとチンピラ達を見つめている。


「もう笑うなイカレ野郎!」


 ナイフの軌道は腹部へと向かい、弧を描く。

 ロスタの腹に切り傷が入る。


「その、程度、かぁ? へへへぇっ……」

「なんだこいつ……気持ち悪ィ!」


 ロスタの引き攣った笑みに、いよいよ気味が悪くなるチンピラ達。


「おいサツが近くにいんぞ、逃げろ!」

「クソ、命拾いしたな!」


 男達が一斉に逃げていく。

 当の警察はチンピラ達ではなく、他の薬物乱用者の摘発へと向かっていった。




「はー、クソ熱いしクソ痛え……」


 生々しい傷跡を抑えながら、路地へと消えていくロスタ。

 覚束無い足取りで人通りの多い場所を目指す。


(やべえ、頭が……)


 岩石がのしかかる様な頭痛が走る。

 腕と腹部からの流血は止まる様子がなく、汚らしいコンクリートに血痕を遺していく。


(俺、死ぬのかな……クソ、デートの予定だってあんのに)


 歩き疲れ、ゴミ箱だらけの道端に座り込むロスタ。


 ヴァンジン市内、さらに夜間ともなれば決して治安が良いとは言えない。

 傍から見ればアミザント最大の繁華街として賑わいを見せているが、実際には暴行事件だの違法薬物の売買だの犯罪行為の巣窟だ。

 この街では喧嘩騒ぎ、発砲事件、死体の発見だって珍しくない。

 そんな街中で、ロスタのような負傷者が居たところで誰も気にかけない。

 虚ろな目で空を眺めるロスタ。

 その眼中に、一人の人影が映った。


「くくく、無様よのう」

「……誰?」


 街灯に照らされる一人の老婆。顔に無数のシワをよせ、高い鼻と白髪を生やす女。黒いローブ姿で、赤黒い杖をコンクリートに叩きつける。


「あの状況であれほど笑っていられるとはな。余程の馬鹿か、余裕のある人間か……ま、後者はないだろうな」

「見てたの……?」

「そなたが集団で殴られる所からな。しかしあの光景、狂気以外の何物でもない。そなたは何者だ?」

「……ロスタ」


 街灯の光をバックに、仁王立ちして問い続ける老婆。


「ロスタ。ロスタか……」

「なあ婆さん。救急車呼んでよ。今俺死にそうだから」

「ほう……?」

「喧嘩ん時切られちまってよ……そろそろヤバいかもしれねえ」

「では、その傷を治せばよいのだな?」


 老婆は彼の傷口に向けて手をかざす。

 すると、流れ出ていた血がみるみる凝固し、止血する。傷口がルビーのように固まった血で覆われていく。


「これでよいか?」

「すげえ、あんた魔法使えたのか……!」

「一時間もあれば傷口は塞がるだろう。……さて」

「え、一時間? 一時間で治んの? 魔法すご!?」

「では儂の話を」

「すげえ婆さん! あんた命の恩人だよ!」

「儂の話を聞かんか若人が!」

「え、あ、ごめん」


 老婆の怒鳴り声が夜道に響く。咳払いを2回した後、老婆は話を続けた。


「さて。儂の名はユウロ。訳あって命を狙われておる」

「指名手配ってこと?」

「そうさな。だがこの老体で逃げ切ることなどもはや不可能。しかしだ。儂の肉体が滅ぼうとも、他の拠り所さえあれば儂は生き長らえることが出来る。ロスタよ。儂の魂の拠り所にならぬか?」

「何言ってっか全然わかんねー」

「……つまりだ。儂の魂を、そなたの肉体に宿らせるのだよ。そうだな、そなたの右腕なんてどうかのう?」

「魂を?あんたの身体はポイするってことか?」

「そうじゃ。何も身体の全てを寄越せとは言わん。その右腕に住まわせる、それだけでよい」

「いやいや。いくら魔法使えるったってそんな事出来んのか?」

「出来るとも。儂は……魔女だからな」

「……へえ」

「ほう、随分と冷静だな」

「まあ、魔女みてえな見た目してんじゃん婆さん。そんで答えはノーね。あんたみてえな奴ってろくな事考えねえだろ」


 ロスタはつまらなさそうな口調で拒否を伝える。


「そうか。では仕方あるまい」

 そう言い放った途端。凝固していた筈の右腕の傷口が開き、血飛沫が上がる。

「ガッ!」

「魔女を舐められては困るな」


 腹部の傷も抉られ、コンクリートに血が飛び散る。痛みで蹲るロスタ。


「改めて交渉しよう。お前を助けてやる代わりに、そなたの腕に儂の魂を住まわせろ」

「クソ、初めからそういう事かよ……!」

「くくく。どうするロスタ。このまま座して死を待つか。儂の願いを受け入れるか」

「おいおい、それじゃ交渉じゃなくて恫喝だろうが……ぐうっ」

「初めにそなたの傷を治してやったではないか。そなたは恩を仇で返すつもりか?」

「ケッ、詐欺師みてえな事しやがって……」


 血を流してもがく彼を、ユウロは口をニヤつかせながら見つめる。


「諦めよ、人間。そなた如きが魔女にかなうはずがない。死にたくなければ応じるがよい」

「死……か、くけけけっ」


 痛みで引き攣った顔が、段々と笑みに変わっていく。

 半開きの口で、歯を見せて笑う。


「婆さん、俺の腕に住まわせろなんて言うならよォ……勿論、俺が身体の主なんだろうなァ?」

「ほう?」

「俺の身体は俺のもんだ……てめえが何言おうが俺の意思で行動するぜ。当然、てめえの魔法だって俺のもんだ、異議はねえなァ!?」

「そなた、魔女を目の前にして随分と不躾ではないか……」

「知らねえよババア。てか、てめえこそ死にたくねんだろ? だから俺に従え、いいなッ!」

「ふっ……くくくっ、狂人め」


 ユウロの眼は、どこか満足気だ。

 狂ったように笑いながら、ユウロをまくし立てる。


「俺の言う事を少しでも無視してみろッ!俺の腕ごとてめえを削ぎ落としてやるからよォ!!」

「……くく、ははははははっ!! 良いぞ人間、交渉成立だ! 儂の魂、力、そなたに授けようぞ!」


 紅く眩い光が、ロスタの右腕を包む。

 痛みとも熱とも言い難い、腕への負担がロスタを襲う。

 こんな状況下でも、ロスタは笑っていた。

 狂った笑顔で、右腕に宿る魂を受け入れていた。


「……終わったか」


 光が消えていく。

 右腕と腹部にあった傷は完全に塞がれており、外見上の変化は殆ど無い。

 ただ一つ変化があるとすれば、手の甲に心臓と血液を模したような紋章が刻まれていた。

イカれた登場人物紹介①ロスタ

クレイジーサイコジャスティスおバカ青年!

ジャンクフードが大好きな今作の主人公だ!

見た目もコミュ力もナイスな男だ!

けど基本イカれてるから注意だぞ!


【後書きでは今作に登場するキャラクターの紹介、小ネタ等を呟いていきます。まだまだ未熟な点はございますが、応援していただけたら幸いです。】

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