ブルードラゴンはいずこに
本日ラスト!
気配を殺したまま、足音を立てないように静かに近付く。
藪が生い茂っていてその先の景色はよく見えないが、のそのそ歩く影が見えた。
そのシルエットはずんぐりむっくりしていて、気配も人が発する物とは異なっている。十中八九魔物だろう。
だから、シオンは出会い頭の勝負に出た。
「《パラライズ》!」
「ピギャッ!?」
雷撃系の魔法――威力は弱めだが、相手を麻痺させる効果がある――を放つ。
疾雷は藪を切り裂き、見事に標的へと命中した。甲高い悲鳴が上がって、なにか大きな者が地面に倒れる音がする。驚いた小鳥たちが四方の木々から飛び立った。
「やった! ひょっとしたらブルードラゴンかもしれません……!」
【わはは、幸先がいいではないか! さすがは我が弟子!】
狩りは無事に成功した。
師とともにはしゃぎつつ、藪をかき分けて向こう側に出る。
そこは少し開けた場所だった。膝丈ほどにも伸びた雑草が絨毯のように広がっている。
そして、その中に倒れているものをウキウキとのぞき込み――シオンは「うん?」と首をかしげた。
「…………ドラゴンかな、これ?」
そこに転がっていたのは、羽をむしられたニワトリのような生物だった。
粘液で覆われた体表は毒々しいほどの黄緑色で、黒い斑点が散っている。
鳥の羽があるはずの部分には申し訳程度の繊毛が生えて、足には鋭いかぎ爪が光っていた。頭部はトカゲと鳥を雑に混ぜ合わせたような造形である。ギョロリとした目玉は大きく、やけに血走っていてグロい。
一般的にドラゴンと言われて想像する姿形とは、何一つ共通点がなかった。
これにはダリオも唸るばかりだ。
【爬虫類と鳥類は親戚だと聞くが……ちょっとこれはドラゴン要素ゼロでは?】
「ですよねえ……青くもないし」
シオンは気絶した魔物を見下ろしてため息をこぼす。
先ほどダリオから、魔物の容姿は変わりやすいと聞かされたばかりだ。
だからこの謎の生物がシオンの探し求めるブルー・ドラゴンである可能性もなくはないのだが――。
「そもそもあのグスタフって人、無神紋の俺を合格させたくないわけですよね?」
【だろうな。それがどうした】
「だったらもっと強いモンスターを倒して来いって言うはずですよ。だから、これは違うと思います」
【たしかにそうか。これを三匹倒してこいと言われても、嫌がらせにもならんわな】
ダリオと一緒にうんうんとうなずき合う。
そうとなればやることは一つだ。シオンは気絶した魔物へ回復魔法をかけてやる。
「ごめんよ、魔物違いだった」
「ピギャアアアアア!」
鳥類なのか爬虫類なのかよくわからない魔物は、決死の形相で逃げ出す。
それが逃げる遠方へと目をこらしてみれば、同じ種類の魔物が二体いた。
そのどれもがシオンを一瞥するなり、慌てて藪の向こうへと消えてしまう。
魔物たちを見送って、シオンはため息をこぼすのだ。
「ま、簡単にクリアできたら試験じゃないですよね……焦らずやっていきます」
【とはいえ日暮れまで時間がないぞ。どうする】
「そうですね。この辺にあんな魔物しかいないなら、もうちょっと山頂の方を目指してみてもいいかもしれません」
弱い魔物がうろついているということは、この辺りにはあれ以上強い魔物はいないだろう。
だからシオンは場所を変えるべく、山の頂上目指して歩き出した。
明日も更新します。
ただ、ストックが心許なくなってきたので複数回更新はできなさそうです……申し訳ない。
その分キリのいいところまで毎日更新できるよう頑張りますので、お暇潰しになれば幸いです。
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