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畏怖のまなざしと、変わらぬ温かさ

夕方にもう一回更新します。


日刊ハイファンタジー六位!ありがとうございます!

五位以上を目指したいので、さらなる応援のほどよろしくお願いいたします!

 こうしてフレイとの話し合いも終わり、シオンは支部長室の外へ出た。

 職員以外立ち入り禁止の廊下を少し進むと、すぐに冒険者で溢れるロビーにたどりつく。

 クエストの相談や酒宴を繰り広げる者などでいつも大賑わいの場所だ。

 

 しかしシオンが一歩足を踏み入れたその瞬間――。

 

「うっ……!?」


 ロビーを満たしていたはずのざわめきがぴたりと止まった。

 誰もが口をつぐみ、シオンのことを凝視している。

 あちこちから聞こえるのは生唾を飲み込む音と、かすかな話し声だ。


「おい、本当かよ……あいつが本当にラギを倒したっつーのか?」

「マジだって! 俺はこの目で見たんだからな! ありゃ間違いなくバケモンだ……!」


 半信半疑の好奇の視線と、得体の知れない物を見るような畏怖の眼差し。

 そうしたものが四方八方から飛んできて、シオンはおもわず身を縮めてしまう。そこでダリオが呆れたような声を上げた。


【何をビクついておるのだ。汝は勝者なのだぞ、もっと肩で風を切って歩かんか】

(無茶を言わないでください! こんなふうに注目されるのなんて、生まれて初めてなんですから……!)

 

 これまでは(ちよう)(ろう)()(べつ)の視線を注がれることの方が多かった。

 しかし、今のはそれと真逆のものだ。また別種の居心地の悪さがあった。


(でもまあ、無理もないか……神紋を持たない無能が突然強くなったんだから、周囲の目も変わるよな……)


 終始親しげだった、フレイが例外なのだ。

 つまり、この視線はしばらくシオンに付きまとうはずで……おいおい慣れていく必要があるだろう。

 こっそりとため息をこぼした、そのときだ。


「シオンくん!」

「あっ、レティシア」


 微動だにしない人混みをかき分けて、レティシアが駆け寄ってくる。


 その声で周囲の人々はハッとしたらしい。気を取り直すように咳払いして、元の雑談や酒宴に戻る。みなシオンのことは気になるらしいが、積極的に関わる勇気はないようだ。


 だが、レティシアだけは違っていた。

 シオンの顔をのぞきこみ、気遣わしげに問う。


「だ、大丈夫でしたか? フレイさんとのお話はどうでした?」

「ああ、平気平気。別になんともないよ」

「そうですか……よかった」


 決闘直後にフレイから呼び出されたシオンのことを、どうやら心配してくれていたらしい。

 明るく告げると、レティシアはほっと胸を撫で下ろしたようだった。

 そんな彼女に、今度はシオンが問う番だ。


「それよりレティシアの方こそ怪我はない? さっきの試合で巻き込まれそうになっただろ」

「私は大丈夫です。それよりシオンくんは……」

「もちろん無傷だよ。あれくらいで怪我してちゃ、師匠に怒られるからね」

「師匠さん……ですか?」


 レティシアはきょとんと首をかしげてみせた。

 そうかと思えば、眉をきゅっと寄せて不安げな顔をする。


「シオンくん、いったい何があったんですか? 急に強くなったし、ラギくんにも勝っちゃうし……さっきは本当にびっくりしましたよ」

「あー……色々あってね」


 シオンはひとまず手近なテーブルにつき、レティシアに事情を語った。


 フレイに打ち明けたものと同じで『師匠のもとでめちゃくちゃ修行したら強くなった』という、肝心のことを端折(はしよ)りに端折(はしよ)った説明となったが、フレイ同様、レティシアも信じてくれたようだった。


 彼女は目を丸くしてシオンと魔剣を見つめる。


「では、その剣は師匠さんからいただいたものだったんですか……そんな大事なものを勝負の賭けにして、師匠さんに怒られませんか?」

「それは大丈夫。あのときは師匠がゴーサインを出してくれたから」

「この場にいらっしゃったんですか!?」


 レティシアはきょろきょろと辺りを見回す。

 シオンの言う師匠とやらが、どんな人物なのか興味津々らしい。


【くくく。その師がこんな姿だと知ったら、この娘はさぞかし驚くであろうなあ】


 そんな彼女の様子を見て、ダリオが愉快そうにくつくつと笑う。

 シオンもまた思わず笑みを浮かべてしまった。


「レティシアも疑わないんだね。正直、自分でもめちゃくちゃな話だと思うのにさ」

「だって、シオンくんのおっしゃることですから」


 レティシアはにっこりと笑う。


「こうしてお話しして分かりました。どれだけ強くなっても、シオンくんはシオンくんです。シオンくんが嘘をつくとは思いませんし……だから私は信じます」

「レティシア……ありがとう」

「いえ、こちらこそ。ラギくんから助けていただいて、本当に感謝しています」


 そう言って、レティシアはぺこりと頭を下げてみせた。


(フレイさんといい、レティシアといい……俺って周囲の人に恵まれていたんだなあ……)


 ふたりの温かさに、ジーンとくるシオンだった。

前書きにも書きましたが、本日も日刊ハイファンタジー六位です。皆様のおかげです!

五位以上になってみたいので、ぜひとも応援のほどよろしくお願いいたします!


この話が少しでも『面白い!』『続きが気になる!』と思っていただけたのでしたら、ブクマや評価をぜひともよろしくお願いいたします。


応援いただけますと、さめの励みになります。

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応援いただけた読者様には、もれなくさめのフカヒレ進呈中。無限に生えるのでどうぞお召し上がりください。

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― 新着の感想 ―
[良い点] フカヒレ...( ^n^ )ん?ちょっと待って...どう料理すればいいの...
[一言] ええ娘やん、大切にせい
[一言] 体感で何億年も生きてきたなら、何十年かの寿命なんて一瞬みたいなものですよね。 外の世界に出ること自体が自殺みたいなものかな? 死を目前(笑)にしたシオン君は僅かな余生で何か成せるかな? ち…
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