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「Killing捨御免デ候」
祇樹給孤獨園精舍の鐘の聲、諸行無常の響きあり。娑羅雙樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。奢れる靈長目眞猿亞目ヒト上科ヒト科も久しからず、唯電腦世界の夢の如し。猛き者も遂には滅びぬ、偏にゴミ箱の中の塵に同じ。
――いとをかし…
皇紀2700年代、扶持は減俸、支配者は阿呆、生き拔く手段は亂暴、生き樣は盲滅法、倂し、求められるのは忠誠への雄叫びGUNG-HO、世は正に末法。
良心は死に絕え、道德は都合いい解釋へと置き換えられ、緩慢な滅亡へのカウントダウンが始まる。
大戰での勝利は次なる混沌への序章に過ぎないと知る賢人達は滅び去り、愈々、人々は靈長たる座から望まずとも身を退く決斷を下す。
そう、人工知能への禪讓――
八百萬神人工知能“全知全能電腦機巧”による涅槃社會の構築である。
人智を遙かに凌駕したAIによる統治機構は、其の全てに於いてパーフェクトであった。
感情に流されず、ミスをせず、粛々と、淡々と、24時閒休み無く、隈無く、完全に、完璧に、人々の生活を見守り、社會を安寧に統治、統括したのだ。
有り難し、カミAI。
忝し、釋迦槃土!
是にて、
世界は救われた、
のである――
~ FIN ~
――筈もなかろう…