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いないないふたり  作者: 本間えるは
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【あさとよる】②

 眠れば全て忘れられた。けれど目を覚ませばまた、終わりの見えない虚ろな日々が始まる。

 私は、何なのだろう。ロッカーの上で身体を丸めて考えた。

 自分の名前は、思い出せる。これまでの記憶も、鮮明とは言えないまでも思い出せる。

 けれどそれらは全部嘘なんじゃないか、と思ってしまう。

 誰にも認識されないのは、そもそも存在しないからだとしたら?

 鏡に映らないのも、「私」がそこにいないからだとしたら?

 憶測で片付けてしまうのは簡単だ。でも。

 存在しないというのなら、私の持ってる記憶は何?

 胸を押し潰すような寂しさは何?

 ここにいる私は、何?

 いっそ記憶も無くなってしまえば良かったのに。「無」の状態で彷徨う方がはるかにマシなように思えてくる。が、実際はどうだか分からない。自問しても私の中に答えは無いのだから、虚しいだけ。

 やがて夜になった。今夜は雲が分厚く広がり、月も星も見えないらしい。誰かが言っていた。

 立ち上がり、階段を下りて昇降口へ。施錠された扉を難なくすり抜けて、笑ってしまった。

 いつの間にか慣れてしまっていた。それが無性におかしくて。


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