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【どこへでも】①
季節は秋になった。
セミの声は聞こえなくなり、日も少しずつ短くなっていく。
私が人に認識されなくなって、長くも短い時間が流れた。
人に認識されなくなった理由は、未だに不明だ。でも、それを埋め合わせるように私のそばにはよるがいる。
一人では押し潰されそうな孤独も、二人でなら耐えられる。そう、信じている。
御伽噺のような展開だと笑われてもいい。
世界にどれだけ人がいようと、私にはよる。よるには私しかいないのだから。
それはそうと、よるはどこへ行ってしまったのだろう。
目を覚ますとよるの姿がなかった。一時期は取り乱してしまうほど怖くなったものだが、今はもう慣れた。
外へ出てみる。
「あさひ!」
見上げると、満面の笑みで手を振るよるの姿があった。
随分と高い。屋上にいる? どうやって上ったのだろう。
「そっちに階段があるから! 上ってきてよ!」
今更ながら、廃ビルを探検したことがないことに気づいた。上もあるだろうに、ずっと一階にいた。
見つけた階段は恐ろしく汚れ、上るのをためらってしまう。
それでもなんとか上りきり、屋上へ出る扉を開けた。




