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いないないふたり  作者: 本間えるは
46/49

【すき】⑦

「よるがあんなに力が強いとは思わなかった」

 あさひは笑いながら、僕を見つめた。

「ごめんね」

 謝るしかない。

「だって離したら、いなくなっちゃいそうで」

「それは、私も同感。目を離したら、よるがいなくなるんじゃないかって思う」

「僕はいなくなったりしないよ!」

「私だって、いなくなったりしない!」

 お互いに胸を張って顔を見合わせた。どちらともなく笑いが起こる。

「何を怖がってんだろうね、僕たち」

「本当だね。お互いに、いなくなったりしないって分かってるのに」

 頬に手を伸ばしていた。そっと撫でる。

「さっきはごめんね。あんな意地悪言って」

「気にしてから。大丈夫」

 そう言うけれど。

「うそ。傷つけたって分かるよ」

 あさひは静かに顔を伏せた。

「何かね、悔しかったんだ。先を越されたみたいで」

「え?」

 僕の言葉に、あさひが首を傾げた。

 笑ってしまう。僕は君に、嫉妬したんだ。

「男のつまらないプライドっていうのかな。僕は絶対に無いとおもってたんだけど。好きな子には自分から告白したかったって、思っちゃったんだ」

 あさひが目を丸くして僕を見つめた。

「あの言葉はね、僕自身への疑問でもあったんだ。ここにいたのが君以外の誰かでも、僕は好きになっていたか、ってね」



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