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いないないふたり  作者: 本間えるは
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【すき】③

 人間は一瞬の間に色々なことを思い浮かべることができるらしい。僕はまだ、人間のつもりだ。

 あさひが目が閉じてから、僕が顔を離すまでに、僕はざっとこんなことを考えていた。

 おかげで、キスを逃した。

 僕はキスに並々ならぬこだわりがある。

 好きな人以外には決してしないというのは、当然なことだと思う。

 そしてキスをする時には、必ず自分の気持ちを込めてする。それが相手に届こうと届かまいと、それだけは絶対に欠かさない。はずだった。

 いくら思い返しても、分からない。

 あの時。

 あさひの唇に自分の唇を重ねて、僕は何を伝えたかったんだろう。

 あともう少しで触れそうなところで、理性がブレーキをかけたことは覚えている。

 あの時、無理やりに唇を奪っていたら。一抹の欲望でとんでもないことをしでかしたと後悔していたのだろう。

 どっちみち後悔していたか。今もできなかった、と後悔しているのだから。

「この獣が」

 ぎり、と歯が軋む。後悔をしている場合ではない。しなくてよかった、と安堵しなければいけないのだ。

 自分の欲望に任せて大切な人を傷つけなくてよかった、と。

 心が真っ二つに割れていた。どうしようもなく求めてしまう自分と、それを必死に抑え込む自分がいる。

 本能と理性がせめぎ合って、決着はつかない。

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