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【すき】②
人に存在を認識されなくなり、長いこと一人で過ごしてきた。
世界に人が増え続けても、自分はずっと一人なのだと思っていた。
理由は分からない。運悪く、ハズレのくじを当ててしまったのだと思い込んだ。
強く思い込んで、置かれた状況に耐え抜こうとした。それくらいの覚悟は、できているつもりだった。 でも実際には、覚悟なんてできていなかった。
あさひと出会って過ごすうちに、一人でいた寂しさも辛さも忘れてしまっていた。
あさひの瞳を覗いて閉じられた時に、いつかまた少女の瞳に自分が映らなくなる日が来るのだろうか。 そう考えてしまった。
また一人になってしまう日が来るのだろうか。
そんな日が来たら、次こそ自分は耐えられないだろうと思った。
臆病な考えだと笑う人がいるかもしれない。こんな状況に置かれたら、誰だって心が弱ってしまうはずだ。
大衆の前で何をしても何を叫んでも、反応されない日々が延々と続く。
何をしたって許される。けれどそれは同時に、孤独を増幅させるだけと気づく。
希望を求めようにも、何にすがればいい?
瞳を開けているのも嫌になって、夢の中へ逃げても繰り返される始まりのシーン。
地獄よりも酷く感じる日々だった。
そこに現れたのが、あさひだった。彼女を失うのは、死刑を宣告されるも同然だ。




