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【あさ】④
ぐるぐると思考が廻り出す。私はここにいるのに、どうして誰にも認識されないの?
望む終着点には辿り着けず、また始めの場所へ。繰り返す問いへリターン。
何度それを繰り返しただろう。
ふと時計を見ると、長針がカチリと八の場所を示した。それから二秒と経たない内に。
終業を告げるチャイムが鳴った。
騒がしくなる教室を見渡す。寂しさ、苛立ち、混乱の混じるどうしようもない感情を抱えて、行き場を失った。
やがて窓際の隅、背の低いロッカーの上で膝を抱えてうずくまった。
行儀はよくないけど、仕方がない。いつまでも教室の真ん中で立っているのが、虚しく思えたのだ。
「これはすり抜けないんだ」
ふふ、と零れた笑みとは裏腹に、視界は滲んでいた。
何が起きているのか、よく分からない。強すぎる日光を浴びながら、眠って起きたら全部夢でした、なんてことだったらいいのにと思う。
あぁそうだ。私は疲れているんだ。これは全部、夢なんだ。
そう考えたら、気分が楽になってきた。
夢だ夢だと思う内にまぶたが重くなっていき、私は喧噪の中に意識を手放していった。