表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いないないふたり  作者: 本間えるは
4/49

【あさ】④

 ぐるぐると思考が廻り出す。私はここにいるのに、どうして誰にも認識されないの?

 望む終着点には辿り着けず、また始めの場所へ。繰り返す問いへリターン。

 何度それを繰り返しただろう。

 ふと時計を見ると、長針がカチリと八の場所を示した。それから二秒と経たない内に。

 終業を告げるチャイムが鳴った。

 騒がしくなる教室を見渡す。寂しさ、苛立ち、混乱の混じるどうしようもない感情を抱えて、行き場を失った。

 やがて窓際の隅、背の低いロッカーの上で膝を抱えてうずくまった。

 行儀はよくないけど、仕方がない。いつまでも教室の真ん中で立っているのが、虚しく思えたのだ。

「これはすり抜けないんだ」

 ふふ、と零れた笑みとは裏腹に、視界は滲んでいた。

 何が起きているのか、よく分からない。強すぎる日光を浴びながら、眠って起きたら全部夢でした、なんてことだったらいいのにと思う。

 あぁそうだ。私は疲れているんだ。これは全部、夢なんだ。

 そう考えたら、気分が楽になってきた。

 夢だ夢だと思う内にまぶたが重くなっていき、私は喧噪の中に意識を手放していった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ