35/49
【のみこむ】③
「分かり辛かったか。夜が好き、って言ってもらいたかっただけなのに」
よるが呟く。その呟きを反芻してみる。
夜が好き……ヨルガスキ……よるが好き……
「え! 何を言わそうとしてたの!?」
「引っかからなかったか……残念」
じゃあ、答えを変えたのは……。
「僕はちゃんと言ったからね? 朝が好きって」
よるの言葉に、心臓の音が少し早くなる。
「あ、朝が好きなんだよね。私も好きだから、朝」
何を口走っているんだろう、私は。
「あ、でもあさひちゃんは、どっちも好きなんだよね? じゃあ夜も好きでしょ?」
よるは何としてでも言わせたいらしい。嫌だな。
いや待てよ。夜が好きって言ったところで、何が起きる? 私が好きなのは「夜」であって、「よる」じゃないのだから、何が起きるわけでもない。
そう考えると、気が楽になった。




