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【のみこむ】①
時間の感覚が無くなって。認識されなくなってから、もう何日が経ったか分からなくなったある晩。
目を覚ますと、頭上によるの顔があった。私の目を捕らえて、微笑む。
膝枕をされているのに気恥ずかしさは無く、ただ心地いい。
「夜っていうのは、どこへ向かうんだろうね」
ふいに、よるがぽつりと呟いた。
「どこへ……っていうわけじゃなく、朝を追いかけてるだけじゃない?」
「どうだろう。朝が先に来て夜があとから来るものだと思ってたけど、本当は違うかもよ?」
「どういうこと?」
言っている意味がよく分からない。
「先に来るのが夜だって考えて。夜がいる。みんな眠ってるね。そうしたら朝が来て、みんな起きる。起きていたのが眠るんじゃなくて、眠っていたのが起きるんだ」
私の頭の中で、太陽と月がぐるぐる廻っている。
「これは新しい論争の始まりかも。卵が先か鶏が先か、の親戚。朝が先か夜が先か、ってね」
「うーん。あんまり流行らないと思うけど?」
よるが不満げに唇を尖らせる。
「え、そう? まぁいいや。どちらが先かっていうのは置いといて、君はどっちが好き? 朝か、夜か」




