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いないないふたり  作者: 本間えるは
30/49

【よる】⑩

 その理由は、おそらく二つ。

 一つ目は、初めて会った夜に遡る。

 あの夜のことはよく覚えている。というのも、鮮明に思い出せる記憶はあの夜のことと、存在を無くしてしまった日のことだけだからだ。

 少女、あさひにも話したけれど、僕がこの廃ビルから出ることは滅多にない。それが、あの夜は何かが

違った。

 考えるよりも先に、足が動いていた。

 大通りをあてもなく彷徨っていたら、前方から向かってくる少女がいた。その目は虚に見開かれ、呼吸が乱れていた。そして唐突に、糸の切れた人形のように座り込んでしまったのだ。

 思わず駆け寄って「大丈夫?」と声を掛けてから思い出した。

 自分の姿が見えるはずがない、自分の声が聞こえるはずがない、と。

 その考えは、すぐに否定された。

「あの」というか細い声に目を向けると、座り込んだままの少女が僕を見つめていた。

 これまでにも角度やまぐれの確率で他人と目が合うことはあった。けれど、彼女の視線は明らかに違う。

「私のこと……」「僕のこと……」

 口をついて出た言葉に、か細い声が重なった。少女に先を促す。




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