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【よる】②
それは、あまりにも唐突だった。
何か予兆があったわけでもない。何の変哲もないある日だったと思う。
目を覚ますと、遮光カーテン越しに朝の光が見えた。遮られているから眩しくは無いはずなのに、それでも寝起きの瞳には強すぎる光だ。
ふと横を向くと、大きな瞳。僕の目を捕らえて、細まった。
「毛布」
恨みがましい声で気づく。横たわる彼女は一糸纏わぬ姿で、それを包み込むはずの毛布は僕がきっちりと自分に巻きつけている。
「昨日は寒かったんだから。まさか、全部持っていかれるとは思わなかった」
「寒かったんなら、剥がすか引っ張るかして奪い返せばよかったのに」
「そうね。本当は、毛布を剥ぎ取ったあと玄関にでも放置しようかと思ったんだけど」
でも、と彼女は続ける。
「あんまりにも幸せそうな寝顔だったから、つい見惚れちゃったの」
そう言って屈託の無い笑みを浮かべた。
思ったことをすぐに口に出してしまう性格を彼女は欠点だと言い、直したがっていた。
僕はそれが長所だと思っていた。二人きりの時は特に、本当の気持ちを聞きたいから。




