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【よる】①
長い時間を生きるというのは、本当に幸せなことなのだろうか?
友人や愛する人が隣にいるのならともかく。たった一人で生き続けるというのは。
長い時間を過ごす中で、色々なことについて考えた。
生きること、死ぬこと。自分のこと、他人のこと。愛のこと。他にも色々なことについて。
けれど自分が知っていること、学んだこと以上のことは分からなかった。
問い掛けようにも、話し合おうにも、自分の声は誰にも届かない。
廃ビルの中で膝を抱えていた。身体を動かさずとも、頭は動く。その内に意識が遠のいていって、気づくと朝だったり夜だったり。
することは何も無い。だからただ、膝を抱えていた。
待っていた、という表現はあまりしっくりこない。特定の待ち人がいたわけではないから。
ただ、自分と同じ人が欲しかった。僕の姿が見えて、声が聞ける人が欲しかった。
切に願っていた。




