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【あさ】②
始業のチャイムが鳴ったというのに、立ち尽くしている私を注意する人は誰もいなかった。
頭がぼんやりとしている。直射日光が当たっているから? それとも……。
昇降口に着くと、靴箱を開けた。上履きに履き替えるためだ。しかしそこには既に靴が入っていた。私の上履きはない。出席番号を確認しても、自分の番号には違いない。
サヤといい、靴箱といい、何かおかしい。私は首を傾げつつ、仕方ないので靴を入口に並べた。靴下のままで校内へ。
遅刻は確定だが急ぐ気になれず、よたよたと歩く。六月の終わりの気温はじんわりと暑く湿っぽい。階段を上がって、換気のために開け放たれた後方の扉から入る。
「遅刻してすみません」
一限目の授業は英語だった。黒板に文を書きつけた先生が、号令をかけた。ざわついている教室が、一瞬静かになる。
目の前で棒立ちになっている私を、先生は叱らない。クラスメイトが私に目を向けることもない。
何だろう、これ。
ぼんやりと教室を見回して。ふと、あることに気づいた。
昨日までと席のレイアウトが違う。
私のクラスは三十七人の生徒がいる。
だから、縦に六席、横が六席の配置で窓際の列だけ七席あったはずだ。それが今、窓際の列は六席。
三十六席には生徒が全員綺麗に座っている。
私の席は、ない。




