表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いないないふたり  作者: 本間えるは
1/49

【あさ】①

 それは、あまりにも唐突だった。

 鳴っていた目覚まし時計を止めて、十分間の寝坊をしてしまったこと。

 母が叩き起こしに来て、寝ぼけ眼で支度をしたこと。

 面倒くさくて、学校を休みたいと思ったこと。全て、いつも通りだった。

 あくびをしながら起きてきた父と入れ違いに、家を出る。

 「行ってきます」と言うのすら面倒だった。

 私が異変に気づいたのは、校門をくぐろうとした時だ。

 遅刻ギリギリの時間になってしまい、先生たちが仁王立ちしている中を慌てて通り過ぎた。視界に見慣れたカバンが映る。同じクラスで遅刻仲間の親友、サヤのものだ。

 私は、やはりいつものように声を掛けた。

「サヤ、おはよう」

 しかしサヤは応えない。聞こえなかったかな? もう一度声を掛ける。

 その時、始業を告げるベルが鳴った。

 サヤは私の方を振り返ることなく走っていってしまう。決して追いつけない速さではないが、その背中は遠ざかり、やがて校舎の中に吸い込まれていった。

「サヤ?」

 頭の中をクエスチョンマークが跳ね回る。何か、彼女に無視されるようなことをしただろうか。考えても、身に覚えはない。昨日だって、仲良く話しながら帰ってきたのに。

 呆然と立ち尽くす私の後ろで、校門が閉ざされる音がした。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ