朝
入学式の朝の話し
一人暮らしを初めて1週間がたった。
今日は俺が入学する黒光高等学校の入学式だ。幼なじみと一緒に都会の高校に入って、一緒に暮らす。はずだったのだが、その幼なじみは試験に落ちてしまい、こっちに来れなくなるという悲劇。それで俺だけ都会で一人暮らしをするハメになってしまった。あいつに家の事任せようと思っていたが、そうもいかない。あいつ、家庭科だけやたらと出来てたもんな…。
なれない手つきで朝ごはんを作り始める。
「畜生…あいつがいたらもっといい飯だったはず…。」
お湯を入れるだけの味噌汁にチンするだけのご飯。それと目玉焼き……。いや、これはもう、スクランブルエッグと呼
んでもいいかもしれない。味……しない。1週間やってるのに、もう自分が嫌になってくる。
そんなことを思いながら食器を片ずけ始める。
「慌てんなよ。落ち着いて落ち着いて……。
この皿、あと1枚しかないんだからね。」
と、自分に言い聞かせる。2日連続で皿を割ってしまったので慎重になる。
そんなこんなで朝が終わり、入学式だ。ぴしっと決めていこう!鏡の前で前髪を整えてみる。
「よしっと。完璧!いってきまーす。」
誰もいない家に大声で叫んで、家を出た。