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ドラゴンになってものんびり過ごしたい~動物達と気ままにスローライフ~  作者: かいものトカゲ
三章 ビジネスショッピング
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79.久々の大物はニオイがひどかったようです

「あのクマ、シチューを食べていましたね。あのクマがこの辺りにいたのはもしかして……」

「ああ。あのクマはシチューを食べに来たみたいだぞ。対価となる魚を俺に渡してきたからな」



 なるほどとうなづくカリス。

 シチューを気に入るのは別に小型の動物だけとは限らない。

 大型の動物だってシチュー目的で俺の元に訪れるという事にカリスは気付いたのだろう。



「だけど、クマがシチュー目的で来ているからといって、絶対にカリス達を食べないという保証はない。警戒は怠らないようにな」

「はい、それはもちろん分かっています。でもエンラさんがいる前でそんな事は出来ないと思いますけどね」



 まあ、それはそうなんだけどな。

 それにあのオドオドしたクマがそんな大胆な事をするようにはとても思えない。

 でも万が一って事もあり得るし、警戒することに越した事はないと思うのだ。


 クマ騒動で動物達はだいぶ動揺したようだが、それからは特に何事もなく、販売を終える事が出来た。

 クマがまたふらっと店の近くに立ち寄る事もなかったし。

 びくびくしていた動物達ではあったが、時間が経つにつれてだいぶ平静さを取り戻していったし、何よりだ。






 そしてそんな日の翌朝。

 キュビカ達の獲物を売却する時に異変が。



「な、なんだ、このニオイは?」

「エンラ、久々に大物を仕留めたのじゃ! 褒めてくれてもいいんじゃぞ?」

「褒めるも何も、このニオイってこの大物から発せられているみたいじゃねえかよ!? よくこんな奴を持ってこようと思ったな!?」

「うっ……で、でも、仕留めた瞬間は全くニオイなんてしなかったんじゃぞ!? それが運んでいる最中にだんだん臭ってきて……」



 ふーん、なるほどな。

 もしかするとこの獲物は腐敗しやすいタイプなのかもしれない。

 それか死後に何かを発するタイプか。

 俺はあまり生物に関して詳しい訳ではないから、よく分かっていないのだが。

 とにかく、さっさと売却するか。

 そうしないとこの一帯が悪臭で覆われてしまうからな。


 腐敗しているのなら、価値はだいぶ下がっているんだろうな。

 あまり額には期待出来そうもないか……



@@@@@@@@


 ”アレノスランドシャーク”を売却しますか?


 売却額 1016003B


@@@@@@@@



 ええっ!?

 100万オーバーだと!?

 高すぎるだろ、コイツ!

 だけど価値がどんどん下がっているから腐敗しているのは間違いないんだろう。

 こりゃさっさと売るに限るな!



@@@@@@@@


 ”アレノスランドシャーク”を売却しました。


 残り所持金 2215050B


@@@@@@@@



 ふー。

 これでだいぶ懐が潤ったな。

 結構お金が減り気味だったから結構助かるわ。


 結局アレノスランドシャークは腐食による減額で1016000Bで売却。

 ちなみに他の獲物には特に変な所はなく、結局今日の獲物の売却総額は1072500B。

 十分すぎる成果だな。


 臭い獲物を持ってきた時はどうなるかと思ったが、特に他の獲物の売却額に影響はないようで何よりだ。



 ちなみに獲物の成果は良かったのだが、問題はまだ残っていた。

 それはこの場に残されたニオイである!


 この場には先程のアレノスランドシャークの腐敗臭が漂っていて、未だに臭い。

 特にアレノスランドシャークを背負っていたキュビカには特にニオイが染み付いているようで、かなり強烈なニオイを感じる。

 正直あまり近寄りたくない。



「な、なんじゃエンラ。わらわを何だか避けているように見えるのじゃが?」

「だ、だって今のキュビカさん、獲物のニオイがするし……」

「なるほどのぉ。ならちょっと水浴びでもしてくるとしようかの。ほらっお前達、わらわと共に水浴びに行くのじゃ!」



 そのキュビカの呼びかけにより、キュビカと鷹達は川のある方向へと向かって行った。

 水浴びでニオイが取れればいいんだが、果たしてどれほど取れるものなのか……

 うーん、よく分からない。


 例の獲物の近くに長時間いたキュビカ達はもちろん、俺の体にもニオイがついているかもしれないな。

 念の為、俺も水浴びしておくか。


 といってもわざわざ川まで行くのは面倒なので、威力調整したスプラッシュの魔法を俺の体に当てて体を洗う事に。

 あっ、もちろん手袋とかは外してます。


 手袋とかは洗わないとニオイが落ちないよな。

 という事で、洗剤を購入し、土に窪みを作ってそこに水を貯め、ゴシゴシと洗う事に。

 念入りに洗ったら後は物干し竿を買って、そこに干す事に。

 うん、これで多分大丈夫だろう。



 しばらくすると水浴びをしてきたキュビカ達が戻ってきた。

 だけど、キュビカ達のニオイは少しはマシにはなったが、未だにニオイが残っている状態だ。

 どうやら余程頑固なニオイらしい。


 そんな中で朝食の時間がやって来た。

 狩りに出掛けていないコクリ、カトカ、ユニはキュビカ達のニオイに驚いているようだった。

 まあ事情を知らない三人にはいきなりの事だし、そりゃ驚くわな。


 結局そんなニオイが充満したまま朝食をとる事に……

 ちなみにフィールドクリエイトの技を使って、雨を降らしたりもしてみて、少し場のニオイをマシにはしておいた。

 それでもキュビカに残ったニオイがな……



 朝食をとってみんな解散した後、コクリが俺に話しかけてきた。



「ねえ、エンラ。確かキュビカさんのニオイが取れなくて困っているのよね?」

「ああ、その通りだ。水浴びをしてもらって結構マシにはなっているんだが、それでもこの有様でな……」



 キュビカが獲物を持ってきた時のニオイは本当強烈で死ぬかと思った程なので、今のちょっと臭い程度の状態でも全然大丈夫だとは思ってしまう。

 でもやっぱり不快な事には変わりないんだよな。

 かといって、何かできる訳でもないしさ。



「実は私、ニオイを取る方法を知っているの」

「ええっ、この頑固なニオイを消す方法があるっていうのか!?」

「ええ。でもちょっと遠出する必要があるからそれでも良ければだけど」

「遠出とは言うが、どこまで行けばいいんだ?」

「そうね……不死鳥のエリアにある清浄の泉という所に行く必要があるわ」



 清浄の泉。

 その響きだけで体がいかにも浄化されそうな感じだよな。

 そこであれば、キュビカさんにこびりついた頑固なニオイもとれるって訳か。



「清浄の泉って結構有名な所なのか?」

「いや、むしろ知っている人の方が少ないでしょうね。なんて言ってもその場所は最近出来た……いや、見つかったと言った方が正しいかしら」

「というと?」

「今から一年ほど前、私達が狩り目的で不死鳥エリアを移動している時に偶然見つけたの。その時、最近砂が崩れた跡があって。そこに穴が空いていて、その奥にその泉があったのよ」

「なるほど。つまりは今までは砂が覆われて見つからないようになっていたという事か」

「多分そうなんでしょうね」



 なるほどな。

 今まで見つかっていなかった泉か。

 それだけで何だかロマンがあるよな。

 秘境って感じで、神秘的なイメージが思い浮かんでくるわ。



「分かった。ありがとな、コクリ。キュビカさんを誘ってちょっと行ってみるわ」

「ふふっ、どういたしまして。私が道案内するから、準備が出来たら言ってね。結構過酷な場所にあるから」



 過酷な場所、か。

 そういえば不死鳥エリアって砂漠なんだっけ。

 不死鳥というと火のイメージだから、砂漠のイメージはなかったんだけどな。

 まあこの世界ではそれが常識なのかもしれないだろう。

 前の世界の常識がそのまま全て当てはまる訳ではないだろうからな。


 ニオイ消しの方法を聞いた俺は早速キュビカに近付いて話しかける事にした。



「なあ、キュビカさん。ちょっといいか?」

「何用じゃ、エンラ? わらわは今、とても傷付いておるのじゃ。どうせお主もわらわの事を臭いと思っておるのじゃろう?」

「うっ……随分と直球だな、キュビカさん」



 俺に会うなりそう言ってくるあたり、キュビカ自身もニオイについては相当気にしているようだな。

 俺から硬貨をもらった時と違って今は何か傷付いたような表情をしているしさ。



「やっぱり図星のようじゃな。先程鷹どもにも言われたわい。まだニオイが残っていますよとな。そんな事わらわにも分かっておるわい。むしろニオイが全くしない方が不自然なのじゃ。あのオオカミのようにな」

「あのオオカミって、コクリの事か? 確かにコクリからは特に嫌なニオイはしないな」

「エンラ。あのオオカミからは嫌なニオイがしないのではなく、一切ニオイがしないのじゃ。故に不自然。会った時からずっとそうだったから、もうそういうものだとわらわも思い込む事にはしたのじゃが、不自然な事には変わりなかろう」



 一切ニオイがしない……

 言われてみれば確かにコクリのニオイと聞かれてもピンとくるものがないな。

 キュビカ、カトカ、ユニ、鷹達など他の仲間にはそれぞれ何かしらのニオイがある。

 大体はちょっとした獣臭である事が多いが。

 最初は戸惑ったが、もうずっと暮らしているし、そういうニオイにも慣れた。

 でもコクリだけはそういうニオイの印象が全くないのだ。

 その理由がコクリにニオイが全く存在しないからと言われれば、納得がいくかもしれない。



「話がそれたの。そういえばエンラは何の用があったのじゃ?」

「ああ、そうだ。忘れる所だった。実はコクリがニオイを消す場所を知っているらしくてさ。そこに俺とコクリで行くんだが、キュビカさんも誘おうと思ってな」

「なるほど。ニオイを消す場所……そんな所があるのじゃな。聞いた事ないがのぉ」

「そりゃそうだろうな。一年ほど前にコクリ達が不死鳥エリアでその場所が新しく出来たのを見つけたらしいからさ」

「不死鳥エリア……なるほどのぉ。あの何もない砂漠にそんな所が存在しておったのか。少し興味が湧いてきたわい」

「それじゃあ……!?」

「うむ。わらわも共に行こう。じゃが、あそこは砂漠で何もない場所じゃ。暑さも厳しいじゃろう。心の準備が出来るまで少し待ってはもらえぬか?」

「ああ。それじゃ良さそうなら俺に声をかけてくれ」



 こくりとうなづいたキュビカ。

 キュビカが傷付いた様子なのを見て、話がどうなる事かと思ったが、無事にまとまったようで何よりだ。

 後はコクリにもう少し待ってもらうように伝えるか。

 ついでにどうしてコクリからニオイがしないのかも聞いてみるとしよう。



********

四十八日目:残金2271550B

収入:キュビカ達の獲物1072500B、販売収入(前日分)15000B

支出:食費など15000B

収支;+1072500B

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