76.シチューを作ってみました
翌日。
キュビカと鷹達が狩りに行く時間になったので、見送ろうと俺は目を覚ます。
今日はだいぶ冷えるな。
家の中はみんなの体温であったまっているからか、あまり寒くはない。
だが、外に出たら風が冷たいこと冷たいこと。
そろそろ秋から冬に変わっていくという所だろうか。
「ではエンラ、今日も行ってくるからの」
「おう。今日はだいぶ冷えるし、十分気を付けて行ってくるんだぞ」
「確かに今日は冷えるが、こんな寒さはまだまだ序の口じゃ。冬本番の寒さを思えばこれ位どうということないわい!」
ええっ、そうだったのか!?
けっこうこの温度でも寒いと思うんだけどな……
ちなみに温度計を女神ショッピングで買って測ってみた所、今の温度は8℃。
東京だと真冬の寒さじゃねえか。
一体ここの冬はどれだけ寒いんだよ。
まさか冬の北海道並に寒いとか言うんじゃないよな?
俺、北海道に行った事もないのに!
キュビカと鷹達は寒さを物ともせずに、いつも通り狩りに出かけて行った。
どうやら強がりを言っている訳ではなく、本当にこの程度の寒さはへっちゃらなようだ。
8℃が余裕ということは、ここの冬の温度は氷点下を絶対に下回るよな。
氷点下の世界なんてスキーに行った時位しか味わった事がねえよ。
今から備えておかないと絶対に苦労するよな……
よしっ、もう今から備えをしておくか!
まずは身の回りから。
そういえば今の俺って何の服も着ていないよな。
何十日もこの姿で生きてきて今更だけど。
そりゃあ寒いに決まってるわな。
ということで。
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以下の物を購入しました。
残り所持金 1197326B
モフモフマフラー 2000B
モフモフ手袋 2000B
モフモフソックス 2000B
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俺のサイズにあった暖かそうなものを購入。
うん。
女神ショッピングって、サイズ指定が出来るからいいよな。
それも具体的な数字を言わなくても想像通りの丁度良い大きさの物が出現する。
大きくしている分、値段はそれなりに上がるけど、それ以上に利便性が勝るよな。
本当に女神様って、マジ女神だわ。
ちなみに本当は服を買いたかったのだが、今の俺の体に合う服は多分買えないだろう。
何ていっても、今の俺には翼があるのだ。
いざという時も飛べるようにと考えた場合、やはり服を着ていても邪魔になるだけだろうな。
一方でマフラー、手袋、ソックスを身につける位なら特に支障がないだろう、多分。
早速身につけてみるか。
よいしょっと。
うん、さすがは女神ショッピング産。
サイズはピッタリだな。
今の俺の手足には鋭い爪があるから、油断していると手袋とソックスが切れそうなのが怖いけど。
まあ慎重に行動すれば大丈夫だろう。
さて、これだけ暖かそうな物を身につけたからだいぶ寒さが和らいで――ないだと!?
服を着ていない部分が寒いままなのは分かるが、手足も首元も全然暖かくないんだが!
一体どういうことなんだ……
あっ、そういえば今の俺ってドラゴンだよな。
ドラゴンって多分トカゲと同じ爬虫類。
つまり、変温動物なんじゃないか?
だから体の体温を一定に保つために熱を放出するような事もあまりない……
ってことは、俺が手袋とかを身につけても全く意味がないじゃねーかぁ!?
ううっ、ミスった。
でもせっかく買ったんだし、身につけておこう。
あまり意味はないのかもしれないけど。
ほんの少しだけ暖かくなってきたような気もするし。
多分ないよりはマシだよ、うん。
でもどうするかな。
自分の体があまり熱を発しないのであれば、服はあまり意味をなさない。
でもだからといって寒さを体が感じない訳ではない。
何かしらの対策が必要だろう。
となれば、あと頼れるのは――
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以下の物を購入しました。
残り所持金 1167326B
寒さ耐性 30000B
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そう、スキルである。
寒さ耐性のスキルを購入した途端、俺は寒さを感じなくなってだいぶ快適になった。
ちなみに暑さ耐性も30000Bで購入できるみたいなので、ついでに購入しておいた。
これで冬も夏も準備はばっちりという訳だな。
夏は当分来ないんだろうけど。
しばらくその場でキュビカ達を待っている俺。
手袋やソックスなどを装着したまま歩いたり物を掴んだりして感触を確かめる。
……うん、意外と何とかなりそうだな。
戦闘時はともかく、日常生活ではこれでも十分やっていけそうだ。
食べる時は手袋を外した方が良さそうだが。
すると数分後、遠くからキュビカや鷹達の気配がした。
うん、どうやら無事に帰ってきたようだな。
キュビカ達から受け取った獲物を売却して、対価となる硬貨をキュビカ達に渡す。
それからコクリ達も起きてきて朝食タイム。
今日は冷えるということで、みんなと協力してシチューを作ることに。
カレーの時と同じような道具を使って、頑張って作っていく。
ちなみに前回使った鍋などはスプラッシュの魔法でちゃんと洗っておいたので、今回も使う分に支障はない。
湿気取り用の重曹を少し拝借して油汚れも落としたしな。
そしてできたシチュー。
寒い中、暖かそうな熱気と美味しそうな匂いが周囲に漂っていて、早く食べたい気分になる。
みんなも待ちきれない様子なようなので、早く皿に分けてあげて食べることに。
ではいただきます、ぱくり。
……うん、とてもクリーミーで美味しい。
体の芯から温まるわぁ。
他のみんなもシチューの事を気に入ってくれたようだ。
コクリだけはちょっと熱い食べ物が苦手なようで、食べるのに苦労していたようではあるが。
でもコクリもシチューの味自体はとても気に入ってくれたようだった。
「あのぉ……その食べ物を分けてもらうことってできますか?」
ん?
この声は確か――カリスか。
相変わらず早起きだな、おい。
カリスの後ろからクリスとコリスもやってきたようだ。
「ああ、別に構わないぞ。銀貨1枚分になるが、大丈夫か?」
「はい、大丈夫です。ではこれで」
俺はこうしてカリスから銀貨3枚分を受け取ったので、シチューを三人分カリス達それぞれに渡すのだった。
すると―――
「あのーオラにも分けてもらえないですか?」
「とっても美味しそうだ。おれにも食べさせてくれー」
「わたしにも食べさせてよー」
タヌキ、イノシシ、シカ。
色んな動物達が続いて現れるのだった!
どうやら他の動物達もシチューに興味津々なようだな。
みんなが興味を持ってくれるのは嬉しいんだが、これ、シチュー足りるかなぁ?
動物達のためにシチューを分けてあげて、代わりに対価となる硬貨を受け取っていく俺。
シチューを一口、口にした動物達はみんなとても嬉しそうな表情をしていた。
うん。
やっぱりみんなの嬉しそうな表情を見ているとこちらまで嬉しくなってくるよな。
そして評判が評判を呼んでいるのか、いつの間にかシチューを求める動物達の行列ができていた!
しかし、仲間達と食べる用にしか作っていないので、そんなに余っていた訳ではなく、すぐにシチューの残りはなくなってしまった。
その事を並んでいた動物達に伝えると、みんながっかりした表情になってトボトボと帰っていった……。
「エンラ、おかわりじゃ!」
「キュビカさん、もうシチューは残っていないんだ。すまないな。動物達にも、もう帰ってもらった」
「むう……シチューを販売するのはいいのじゃが、せめてわらわ達が食べる分はとっておかんか。販売する分は店の営業中にまた作ればいいじゃろう?」
「そうだよな。こんなに人気があるんなら、料理を販売用に作っておいてもいいかもな」
料理は日持ちしないのが難点だが……
こんなに人気が出るのなら、販売しない手はないだろう。
売ってほしいと言う動物達の声も大きくなりそうだしな。
そうしないとまた仲間達と料理を食べる時に他の動物達がやって来てしまいかねない。
料理の販売をするから、仲間達との食事分は販売用ではないと伝えておかないと、またキュビカに怒られてしまうからな。
早速販売用の物を少し作って実験してみるか。
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四十七日目:残金1201826B
収入:獲物67100B
支出:温度計100B、モフモフマフラー2000B、モフモフ手袋2000B、モフモフソックス2000B、寒さ耐性30000B、暑さ耐性30000B、シチュー材料500B
収支;+500B
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