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ドラゴンになってものんびり過ごしたい~動物達と気ままにスローライフ~  作者: かいものトカゲ
一章 サバイバルショッピング
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7.言葉を理解できるようになりました

 しばらくして目が覚める。

 外は日が差しているので明るい。

 あまり時間が経っていないのか?

 それとも一晩寝ていたのか?

 時計がないから全くその辺は分からないな。


 ちなみに大穴の中には抜け殻のようなものがあったので、女神ショッピングで売却する事にした。



@@@@@@@@


 ”サラマンダーの抜け殻”を売却しました。


 残り所持金 103400B


@@@@@@@@



 サラマンダーの抜け殻って事は、今の俺ってサラマンダーなのか?

 ベビートカゲからトカゲになった時はただ成長しただけかと思ったが、これってまさか進化しているんじゃないか!?

 だってサラマンダーって魔物だろ?

 普通の動物がただ成長するだけで魔物になるわけなんてないもんな。


 となれば、サラマンダーの先にも何かしら他の形態に進化できるかもしれない。

 一体何になるのか想像するとワクワクしてくるな!


 さて、嬉しい事も分かった訳だし、今日も一日張り切って頑張りますか!



 俺は周囲の気配を感じ取ってから地上に出る。

 この周辺には中ぐらいの気配が一つだけ。

 それってもしかして……



 クーン



 そう言ってこちらに駆け寄ってきたのは、先程共闘したオオカミだった。

 俺に会えて嬉しいのか、尻尾をフリフリさせている。

 だがそこで俺は異変に気付く。

 オオカミがとても小さくなっているのだ。


 今までオオカミは見上げるほどの大きさで、オオカミの頭の上に俺がちょこんと乗る事が出来るほど大きさに差があった。

 なのに今、さすがに目線こそはまだオオカミの方が高いものの、体長は俺の方が大きいんじゃないかと思える程である。


 もちろんオオカミが小さくなる訳がないので、単純に俺がそれだけ大きくなったという事だろう。

 それにしても随分と大きくなったものだな。

 比較対象があるとすごく分かりやすい。

 多分十倍、いやそれ以上の大きさになったという事だよな。

 ただの動物から魔物になったという事はそれだけの違いをもたらすという事か。


 そういえばこんなに姿が変わったにも関わらず、俺の事が分かるなんて凄いよなオオカミの奴。

 匂いで分かるんだろうか?

 オオカミって嗅覚が鋭そうだしさ。

 まあ本人に聞かないと本当の所は分からないんだけどな。


 ……ん、待てよ?

 ここは何でもアリのファンタジー世界だ。

 そして俺には大体欲しい物があったら何でも揃っている女神ショッピングという店があるじゃないか!

 ならばこのオオカミと話す事が出来ないとなぜ言い切れよう?

 これは確かめる必要があるな。



@@@@@@@@


 どの言語翻訳の手段をお買い求めですか?

 残り所持金 103400B


安い順 3件中3件表示


 中古翻訳機   10000B

 言語理解   100000B

 万能翻訳機 1000000B


@@@@@@@@



 あれっ?

 言語理解という身に付けるタイプの能力が意外と安いぞ?

 とはいってもほぼ全額を使う事にはなりそうだが。

 どうしようかな?


 時には思い切りというのも肝心だよな。

 という訳で、ええい、買ってしまえ!



@@@@@@@@


 以下の物を購入しました。

 残り所持金 3400B


 言語理解  100000B


@@@@@@@@



 あーあ、買っちまった。

 こんだけ大金叩いたんだから、しっかりと効果を発揮してくれよ!?


 購入完了画面が表示されて少し経つと、自分の頭の中が何だかスッキリしたような不思議な感覚になる。

 そしてその次の瞬間……



「トカゲさんって本当に不思議。一体何が起こったらこんなに成長するのかしら? 大変興味深いわぁ……」



 そのような言葉がオオカミの口から聞こえてきた!?

 恐らく言語理解の能力を手に入れた事で、オオカミの言葉を俺が理解出来るようになったのだろう。

 やはり期待通り、いい働きをしてくれているな。

 さすが十万のスキルだ。


 せっかくだし、話しかけてみますか。



「クギャクギャア!(寝て起きたらこうなっていたんだ!)」

「それにしてもこの子から熱さを感じるわ。これは炎の力かしら?」



 あれっ?

 完全に無視されてるんだけど。

 というよりこれ、話が全く通じていないんじゃないか!?

 言語理解ってもしかして―――自分が相手の言葉を理解するだけで、自分の言葉は翻訳されないんじゃ!?


 マジか。

 盲点だったな、それは。

 まあオオカミが何を考えているのか分かるだけでも全然良くはなっているんだけど。

 口調からして多分メスであろう事も何となく分かったしさ。

 うん、前向きにいこう。

 あと7000Bほど稼いで中古翻訳機でも買えばきっと自分の言葉も伝えられるはずだ。

 それまではもう少し頑張ろうか。


 さて、今日はどこに行こうかな?

 行った事のない方向、例えばあちらの方に向かってみようか。



「えっ、トカゲさん、どこ行くの!? 待ってよぉ!?」



 俺が急に移動を始めた事で慌ててついて来ようとするオオカミ。

 そしてそのまま俺を通り越して行った!?

 おーい、俺はそっちじゃないぞー!



「クギャ!?(オオカミさん!?)」

「あれっ、いつの間に追い越しちゃったの!? 私ったらまた突っ走っちゃった……」



 今やオオカミと並ぶほどの体長がらある俺を見落とすなんて、まさかこのオオカミ、ドジっ娘なのか?

 確かに保護色になってるから見にくくはなっているけどさ。

 厳つくて貫禄あるし、冷静な堅物みたいなイメージなのにな。

 人は見た目によらないっていうことか。

 人じゃなくてオオカミだけど。


 俺に気付いたオオカミは今度はゆっくりとこちらに近付いて来た。



「今度は見落とさないようにそっとついていくからね!」



 本当かー?

 何だかまた俺を見失いそうで怖いんだが……

 俺は不安を抱えつつもオオカミと移動を始めた。



 先行きが心配だからか、何だか俺の足どりは重たい。

 何だか力も抜けてくる。

 考えてみれば俺、昨日一日何も飲み食いしていないじゃないか!?

 昨日はツインヘッドを倒したらすぐに寝ちまったからな……

 だから道理でこんなに力が出ない訳だ。

 早く何か食べなくては。



 ちょっと残っているであろう米粒を呼び出してみたが、とてもそれでは小さくて満足できそうにない。

 この米粒で満足できていたベビートカゲ時代はある意味幸せだったのかもなぁ。


 と言う事で、新しく食べ物を購入することに。

 何を買えばいいかな?

 以前とは違ってそれなりの物を食べる必要はありそうだが。

 手持ちが3400Bしかないから100B位で何か良い物が買えればいいんだけどな。

 とりあえず探してみよう。



@@@@@@@@ 


 どの100B以下で買える食べ物をお買い求めですか?

 残り所持金 3400B


おすすめ順 93562件中5件表示


 おにぎりシーチキン味一個 100B

 メロンパン一個      100B

 カップラーメン醤油味   100B

 ポテトチップスうす塩味  100B

 モナカアイス       100B


@@@@@@@@



 何か色々と懐かしい食べ物の名前が出てきたな。

 どれも食べたいんだが、全部買うなんてそんな贅沢はしていられない。

 早くお金をためて翻訳機を買ってしまいたいしな。

 ここはお腹にたまりそうなおにぎりにしておこう。



@@@@@@@@


 以下の物を購入しました。

 残り所持金 3300B


 おにぎりシーチキン味一個 100B


@@@@@@@@



 そういえば購入したものってどうして上から落ちてくるんだろうな?

 出現場所を特定できたらいいんだけどな。

 例えば俺の右前足の上とかさ。

 

 そう思った俺はトカゲの右前足をちょいと空中に上げてみた。

 するとその右前足にのっかるようにおにぎりが出現したのだった!


 おっ!?

 なんだ、出現場所って特定できるんじゃねえか?

 そういえば今までここに出現させたいという意識してこなかったもんな。

 何も出現場所を指定しなかったときにただ上から降ってくると決まっていただけなのかもしれない。

 これは利用しない手はないな。

 さて、無事におにぎりを手に入れたし、早速食べるとしますか。


 もぐもぐ……

 うん、この味、やっぱり最高!

 まるで人間の頃に戻ったみたいだな!

 というか、おにぎり一個をこのように普通に食べられるほどやっぱり俺の体って大きくなったんだなあ。

 最初は米粒一粒でも大きく感じたというのに。


 俺は夢中になって、おにぎりを食べ、あっという間に完食。

 ふー美味かった!

 だけどこれって相当な贅沢だよな。

 100Bもした訳だしさ。

 でもこの味はやっぱりやめられないよな!



「いいなぁ……トカゲさんが食べていたもの、食べ物よね? どんな味がするのかしら……?」



 オオカミの声がしたので振り返ってみると、そこにはよだれを垂らしながらこちらをじっと見るオオカミの姿があった。

 まさかこのオオカミ、一部始終をずっと見ていたのか?

 いきなり空中におにぎりが現れ、そしてそれを何食わぬ顔で食う俺の姿はさぞ奇妙に映っただろうな……


 俺がオオカミの方を見ていると、俺が見ている事にオオカミが気づいたようで、よだれをズズッとしまいこみ、恥ずかしそうに後ろを向いて顔を覆い隠していた。

 そういえばこのオオカミ、メスだったな。

 確かにそんな様子を見られたら恥ずかしがるのも無理ないか。


 しばらく顔を覆い隠して震えているオオカミ。

 そんなオオカミに対して俺はある物を持って、ちょいちょいとオオカミの体を軽く叩く。



「ううっ、私なんて……えっ、トカゲさん、どうしたの? ……って、それはさっきの食べ物じゃない!? もしかして私にくれるの!?」



 俺はこくりとうなづいた。

 そう、俺が持っているのは先程俺が食べた物と同じ、シーチキン味のおにぎり。

 オオカミの為にちょっと奮発してもう一個おにぎりを買ってみたのだ。



 食べてもいい事を察したオオカミは俺が手の平に乗せたおにぎりを口にくわえ、そのままムシャムシャ食べ始めた。

 とても豪快な食べっぷり。

 やっぱり夢中になる味だよな、おにぎりって。

 手軽に食えて、腹持ちもいいから本当に優秀な食べ物だ。



「何なのこの味……クセになりそうだわ。トカゲさん、あなたって何者なの!?」



 何者かって聞かれてもなぁ……

 ちょっと女神ショッピングというツテがあるだけの単なるトカゲに過ぎないんだが。

 といった所で、オオカミには伝わる訳がないんだけどな。



「こっちから匂いがしたぞ!」

「あー、どんな味がするんだろう、あれ? 食べてみたいなぁ……じゅるり」

「でもなんか怖そうなオオカミがいるよぉ……?」



 ん?

 何か木の上から声が聞こえる。

 声がした方を見てみると、そこにはこちらの方を見ている三匹のリスがいるようだった。


 そっか。

 言語理解の能力を得た俺は、そこら中の動物の声が聞こえるようになったんだ。

 今までは言葉が分からなかっただけで、本当はこんな風にみんな何かを考えたり、食べたいとか思っているんだよな。

 俺達だけでなく、他の動物だって魔物だって、美味しそうな食べ物はみんな美味しそうと思うだろうしさ。


 俺はおにぎりを三個注文し、そしてそれをリスがいる木の根元辺りに置いておいた。

 俺が離れると、リスたちは木から降りてきて、おにぎりを持ち去っていく。

 リスたちはまた木の幹にのっかって美味しそうにおにぎりを食べているようだ。


 美味い物は食べるだけで幸せになれる。

 一人で食べても幸せだが、その幸せを二人、もしくはそれ以上の人々と分かち合えたら本当に素晴らしい事になると思う。

 いつかそんな幸せを多くの生き物達で分かち合えたらいいな。

 そのためにはお金が必要だ。

 お金をついつい使い過ぎちゃったし、何か売れそうな物を早く探さないとな。



********

三日目:残金2900B

収入:サラマンダーの抜け殻3030B

支出:言語理解100000B、おにぎり500B

収支:ー97470B

********

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