63.キュビカが鷹を頼らない理由を聞いてみました
住処についたキュビカと鷹達は俺の家の前に獲物をドシドシと置いていく。
そして俺はその獲物を売却し、キュビカと鷹達に報酬を払う。
これで朝の狩りは完了って訳だな。
「エンラ、どうじゃったかの、わらわの狩りは?」
「実に鮮やかだったな。こんなに早く終わるものとは思っていなかったよ」
「ふふ、そうじゃろ? まあ正直今日は大物がいなかったというのもあるんじゃがな。でも大物がいても、そう時間かけずに狩ってみせるのじゃ」
ふふんと得意げな顔をするキュビカ。
キュビカって動物達の依頼をこなすのも早いし、結構要領が良いのかもな。
そして大体の場合、キュビカ一人でそれは出来てしまう。
今回の狩りもほとんどキュビカが単独で狩っていたようなものだしさ。
キュビカが鷹を頼った事といえば、荷物持ち位なものだろう。
流石にキュビカの狩った十体の獲物を一人で持つことは出来なかったみたいだ。
でもそのキュビカの万能性こそが鷹達に不安を与えたりしているんだよな……
イチガなど鷹達はキュビカと協力する狩りをしたいと思っている。
だが肝心のキュビカはどう思っているのか?
それを聞いておかないといけなさそうだな。
「キュビカさん、ちょっと二人で話したい事があるから、場所を移動してもらってもいいか?」
「ん? 別に構わないのじゃが、何かあったのかの?」
「いや、ちょっとした話だから身構えなくてもいい。あの辺りで話しても大丈夫か?」
「事情はよく分からないのじゃが、了解したのじゃ」
住処から少し離れた森の中まで移動し、ある地点で立ち止まることに。
そしてその場所でキュビカに話を切り出すことにした。
「この辺りまで来れば大丈夫だろう」
「そうじゃな。そろそろ本題を聞いても良いかの?」
「ああ。一つキュビカさんに聞きたいことがあってな。――キュビカさんにとって鷹達はどういう存在に思ってるんだ?」
「ん? なんじゃ、そんな事か。当然、補佐役としか見ておらんよ。それ以上でもそれ以下でもないわ」
補佐役としかみていない。
まあ、当然か。
ずっと前からキュビカがエリアボス、鷹達は補佐役として過ごしてきたんだから。
俺と一緒に過ごすようになってからもその関係性自体は変わっていないという訳か。
「つまりキュビカさんにとっては、昔も今もキュビカさんと鷹の関係性は変わっていないという認識で合っているのか?」
「その通りじゃ。むしろいつわらわが扱いを変えたというのじゃ? わらわが鷹達への扱いを変えたようにお主の目には映ったのかの?」
「えっとな……。昔はキュビカは獲物を全て鷹達に任せていただろ? それが今は鷹に指示を出さずに自ら狩るようになったから、それでちょっと変わったのかなと思ってさ」
「なんじゃ、その事か。昔のわらわは身動きがとれなかったから獲物を鷹達に任せざるを得なかった。じゃが今のわらわは違う。わらわが自ら狩りをした方が効率が良いしな。ただそれだけの話じゃ」
なるほどな。
そういえば今のキュビカは俺のウェイトチェンジの影響で自由に身動きがとれる状態になっている。
だからこそ自ら狩りをする事も可能になっているんだよな。
単純にその状況の変化が、今の狩りの方法の変化につながっているという訳か。
「そういう事か、分かった。色々と答えてくれてありがとな、キュビカさん」
「なに、礼には及ばんよ。それより、答えた礼におにぎりとかくれたりしないのかのぉ?」
「いや、そんな事したら朝食が食えなくなるだろ。ほら、早くみんなの所に戻るぞ」
「なんじゃ、ケチじゃの。まあいいわい。その分、とびきり美味いものを提供してもらうぞ!」
美味いものを提供とはいっても、全ては女神ショッピング次第なんだけどな。
正直俺が頑張ることじゃなかったりする。
まあいつも満足してくれているからそれでいいんだろうが。
俺はキュビカとの話を終え、自分の家の前でみんなと朝食をとることにした。
朝食をとり終えた後、今度は鷹のリーダーのイチガを呼び出して、イチガと二人で話すことに。
「イチガの話ではキュビカさんが狩りの指示をしてくれなくなったという事だったよな?」
「はい、その通りです」
「キュビカさんにその理由を聞いてみたんだがな、単純にその方が効率が良いからだそうだ。それ以外の理由は特にないんだと」
「効率が良い? ……なるほど。今まではキュビカ様はご自身では動けなかったから、それで――」
「そういう事だな。つまり、俺がキュビカさんにかけているウェイトチェンジを解除すれば、キュビカさんは身動きがとれなくなって以前の状態に戻るだろう」
「でもそんな事はキュビカ様は望まれないのでは?」
「そうだろうな。間違いなくキュビカさんは俺に一言二言では済まない程恨み言を言ってくるだろう」
「つまり、現実的な案ではないということですよね。ではどうすれば?」
うーんとうなるイチガ。
もう今の動ける体に慣れきってしまったキュビカを元の動けない体にするというのは現実的ではない。
でもそうなると、有能なキュビカは何でも一人でやってしまおうとする。
キュビカが鷹を頼らなくなったのは、鷹が頼りないからではなく、単純に自分で様々な事ができるようになってしまったからだろう。
でもそういう事情があっても、鷹達にとっては自分達が頼りにされていないと感じるのも当然だろう。
そもそも狩りに行っているのに、自分達が任せてもらえる事といえばキュビカが狩った獲物の荷物持ちだけなんていうのはあんまりだろうし。
キュビカに頼りにされるされない以前に、こんな現状じゃやる気もでないわな。
今の現状じゃ、キュビカと鷹達が別々に狩りに行っているのと大差ない。
一緒に行かせている意味がないのだ。
キュビカは効率を重視している。
今のやり方をしているのは、それがキュビカにとっても最も効率が良いと思っているからになるだろう。
そしてそれが原因で鷹達はキュビカに放置されてしまっている。
これを解決するのは―――
「俺に一つ考えがある。ちょっと聞いてくれないか?」
「何か思いついたんですか?」
「ああ。それはだな―――鷹達と連携して狩りを行うことでさらに効率の良い狩りを実現するという事だ」
そう、鷹を使って今よりもさらに効率の良い狩りをするという事だ。
いくら一人の能力が優れているとはいっても、できる事は限られている。
それよりも複数人が協力して何か一つの事をやった方が、同じ時間でより多くの事ができるし、必然的にかかる時間も短くなるはずだ。
特に多くの獲物を狩るという目的の場合、鷹達をうまく使えば、一人で一体狩る時間で二、三体同時に狩ることも可能だろう。
そんな事ぐらいはキュビカも気付いていると思うのだが、どうしてやらないんだろうか……?
「確かに私達を使うことでより効率が良くなるのならばキュビカ様もそうしてくれそうです」
「だろ? でもキュビカほどの奴が何でそんな事に気付かないんだろう? リーダーやっているほどの奴なんだから気付かないということもなさそうなのに」
「どうなんでしょう? その辺りは直接キュビカ様に聞いてみないと何とも言えないですよね」
「そうだろうな。なら、早速聞いてみるとするか」
俺はそう言葉を交わした後、イチガと一旦別れ、そしてキュビカを今度は呼び出して話を聞くことにした。
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三十四日目:残金1108326B
収入:キュビカ達の獲物53000B
支出:食事など6000B
収支;+47000B
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