46.キュビカはお腹を空かせていたようです
日は沈み、夜となった。
見張り担当ではない者は早々に眠り、見張り担当であるコクリ、ターガ、キュビカ、鷹達五人はそれぞれ持ち場につく。
俺はテントの中でその様子を眺めていたのだが、さっきからずっとキュビカがこっちを見てくるのが気になる。
あっ、ちなみに最近は九尾が明かりとなる火の玉を一つ浮遊させてくれているので、辺りはほんのりと明るくなっていたりします。
なんでそんなにこちらを見てくるのだろうと思ったら、よくよく見ればキュビカが見ていたのは俺ではなく、俺の近くにある女神通貨たっぷりセットの箱であった。
まあ確かにおにぎりなどと交換できる硬貨がたくさんあったら気になって仕方ないよな。
箱が気になるのはキュビカだけではないようで、鷹もこちらをチラチラと見ている。
こんなに注目を集めてしまっては、あまり考えたくはないが、誰かに盗まれないとも限らないな。
どこかにしまっておく必要がありそうだ。
何か良い方法はないですかね、女神さん?
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どの安全な保管場所をお買い求めですか?
残り所持金 5439576B
おすすめ順 5件中5件表示
女神倉庫(無限) 980000000B
女神倉庫(特大) 98000000B
女神倉庫(大) 9800000B
女神倉庫(中) 980000B
女神倉庫(小) 98000B
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女神倉庫?
そんなものがあるのか。
まあ女神ってつくくらいだから、女神ショッピング関係のものなんだろうけど。
それにしても高いな、女神倉庫。
一番高いものだと約10億Bもするってヤバすぎるだろ。
今までのラインナップで見てきたチート能力が大体1~2億B位だから、それの5~10個分に相当する価格ってことじゃねえかよ。
まあ無限に収納できるっていうのはそれだけの価値があるってことなんだろうけど。
俺はとりあえず女神通貨たっぷりセットをしまえれば良いから、多分一番安いものでも大丈夫だろう。
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以下の物を購入しました。
残り所持金 5341576B
女神倉庫(小) 98000B
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さて、これで女神倉庫を買った訳だが、どうやって使えばいいんだろうな、女神倉庫って。
女神ショッピングを使う時は結構直感的なものだったから、女神倉庫もそういうものなのかな?
だとしたら、例えばこの女神通貨たっぷりセットを収納したいと念じれば―――
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以下の物を収納しました。
女神通貨たっぷりセット
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その表記が出た瞬間、俺の近くにあった女神通貨たっぷりセットは消え去ってしまった!
おっ、やっぱり収納したいと念じれば収納できるようだな。
ちなみに収納したものを取り出す場合も、取り出したいと念じればそれが近くに現れた。
取り出す場合、女神通貨たっぷりセットまるごと取り出す事もできるし、その一部、例えば金貨一枚だけを取り出すことも可能だった。
結構使い勝手が良いな、これ。
これだったら必要分の硬貨を出し入れすれば済む話だもんな。
しかも倉庫のセキュリティは完璧だしな。
俺ですら収納されている場所にたどりつけない位だし、物を出し入れできるのは俺だけだ。
買って良かった、女神倉庫。
ある程度みんなが頑張っている様子を見届けた後、俺は眠る事にした。
もちろん見張り担当のみんなに何かあったら声をかけるようにと伝えてからな。
まあキュビカがいるから安全面での心配はまずいらないんだろうけどさ。
ちなみにキュビカが夜の見張りをしている間に何か食べ物が欲しいと言ってきたので、ポテトチップスをあげることにした。
それを食べたキュビカは大層気に入ったので、結局銀貨3枚とポテトチップス3袋を交換する事になった。
他の見張り担当のみんなはポテトチップス1袋を銀貨1枚と交換。
みんながポテトチップスを食べて談笑している様子を見ながら俺は眠りについた。
翌朝。
俺が目を覚ますと、コクリの姿が目に入った。
「あっ、コクリ、特に異常はなさそうだったか?」
「ええ、大丈夫よ。ただキュビカが―――」
「えっ、キュビカがどうかしたのか?」
「キュビカが……おかしくなってるの」
コクリはテントの外に振り向いた。
するとその先には―――
「エヘヘ……美味しそうな肉なのじゃあ……」
「や、やめて下さい、キュビカ様! ひ、ひぃぃぃ!?」
今にも鷹を食べようと大きな口を開けるキュビカ。
一体どうなっているんだ、これは?
「あっ、エンラさん、ちょうど良い所に! 実はキュビカの姉御がおれの仲間を食べようとするんだ……何とか止めてもらえないか!?」
そう言ってきたのはターガだ。
他の鷹も必死にキュビカを止めようとするのだが、瘴壁に阻まれて止める事が出来ない。
事情はよく分からないが何とかした方が良さそうだな。
となれば―――
ズドンッ!
俺がキュビカにかけているウェイトチェンジを解いた。
するとキュビカの体は急激に重たくなり、そして地面に倒れてしまった!
まあ重たくなるというより、元の体重に戻っただけなんだけどな。
特にキュビカに害をもたらした訳でもないから、障壁も発動しようがなかったりする。
キュビカに害をもたらす影響を新たに付与した時に発動するものっぽいからな、障壁は。
「痛たたた……何するのじゃ! ってこれはエンラ、お主の仕業か!? 早く食べ物を出さんか!」
キュビカは怒った様子で財布に入っている硬貨を全て取り出し、俺の前に叩きつけた。
「えっ? 全部使うのか?」
「当たり前じゃ! もう腹が減って死にそうじゃわ!」
えー……
そんなに食べて時間経ってないと思いますけど。
と、とにかく全額使って食べ物が欲しいというのならそれを断る必要もないか。
キュビカが持っている硬貨は白金貨1枚、金貨2枚、銅貨4枚、鉄貨5枚だ。
おにぎり換算すると120個分になるな。
そしてお釣りが銅貨4枚と鉄貨5枚っと。
その事をキュビカに伝えると、全部おにぎりに変えてくれとの事。
有無を言わせぬ言い方だったので俺は硬貨を受け取り、大きな袋を購入してからおにぎりをその中に120個入れておいた。
おにぎりを出した瞬間、キュビカはすごい勢いでおにぎりに食いついていった。
一体どれだけ腹を空かせていたのやら……
「キュビカさん、そんなに腹が減っているのなら狩りをして獲物を食べればいいのに……」
「嫌じゃ。というのも、お主の出す料理の味を知ってしまったらもう元の食事には戻れんじゃろう。一回食べてみたが、とても味気なくてのぉ……」
味気ない、か。
まあ前の世界の人間の食べ物って色々調味料とか使われているもんな。
だからこそ味がするし、美味しいと感じる訳で。
それに慣れてしまうと、そういうものがない物をたべても味気ないと感じてしまうんだろうな。
俺がちょっと考え事をしている間に、もうキュビカはおにぎりを食べ尽くしてしまったようだ。
そしてまだ物足りなさそうな顔をしている。
おにぎり120個食べても物足りないってやっぱりキュビカって底なしの食欲をしているよな。
「エンラ、そろそろ狩りの時間なんじゃないかの?」
「あっ、そうだな。ならキュビカさんと鷹達に仕事を任せようか」
「それをやればどれ位の硬貨をくれるんじゃ?」
「えっと、そうだな……」
俺にとっての一番の稼ぎ所、それがキュビカと鷹達の狩り。
継続的に続けてほしい事の一つではあるが、あまりに格差が大きいと不公平感がうまれる。
だからといって報酬が少なすぎても、狩りをやってもらえなくなるだろう。
ならどういう報酬にすればいいか。
まず一番色々言ってきそうなのはキュビカだよな。
彼女には大体おにぎり100個分の物を渡していたから金貨10枚ほどの報酬は必要そうだ。
それ位はあげないと生活がそもそも維持出来なさそうだしな……
では鷹達はどうするか。
キュビカは例外として、他の仕事との報酬の差をあまりつけたくないんだよな。
見張りの仕事は金貨1枚。
見張りって睡眠時間をだいぶ削るし、結構過酷な仕事である。
でもだからといって見張りの仕事と同様の金貨1枚では、キュビカと報酬の格差がつきすぎるし、不公平だよな。
となると、もう少し増やす必要はありそうか。
価値の高い物を狩ってきてくれるほど俺の懐は潤うし、その方が助かる。
そうしてもらうために、狩ってきた獲物の価値によって報酬を変動するようにした方がいいだろう。
キュビカにも鷹にもそのような意識を持ってやってもらいたいし、何かうまい方法はないか……
うん、こういう感じだといいかな。
報酬は今まで50万Bほどの価値の獲物が手に入っていた事が多い。
それを基準にしてみようか。
もし50万B分の獲物があったとき、俺はその十分の一の価値がある金貨50枚を用意する。
そしてキュビカに金貨10枚いくように、その全体の報酬の五分の一をキュビカに、残りを鷹達で分け合うのだ。
その場合鷹一人あたりの報酬は金貨2.5枚。
これなら狩りのメリットを感じてもらいつつ、他の仕事の価値も下げ過ぎないんじゃないか?
狩りも実質一日一回のイベントだから乱発もできないようにしているしさ。
よし、それでいこう。
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二十日目:残金5328176B
収入:なし
支出:女神倉庫98000B、おにぎり12000B、大きな袋400B、ポテトチップス1000B
収支;ー111400B
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