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ドラゴンになってものんびり過ごしたい~動物達と気ままにスローライフ~  作者: かいものトカゲ
二章 ライフショッピング
33/357

33.ユニコーンと出会いました

「うーん……あれっ? ここはどこぉ……?」

「コリス、目が覚めたか!? オレだ、カリスだ! 分かるか?」

「カリス兄ぃ、そんなに大きな声出さなくても聞こえてるんだよぉ……」



 ついにコリスの目が覚めたようだ。

 いくら容態が良くなっていると分かっていたとはいえ、こうしてコリスが実際に話せるようになったという事はみんなをとても安心させた。

 本当に幻視が治って良かったな、コリス。



「あれっ? おうまさんはどこにいるのぉ……」

「おうまさん? 何の事だ?」

「さっきまでわたし、おうまさんと遊んでいたんだよぉ。一人でとっても寂しそうだったから、わたし遊んであげてたんだよぉ……」



 おうまさん……

 もしかしてコリスは先程まで見ていた幻視の事を言っているんだろうか?

 リスの住処に馬なんているはずがないし、俺の幻視だって食べ物しかないはずだからさ。

 でもなんで馬と遊んでいるとコリスの体力が減るんだろうな?



「コリス、馬と遊べて楽しかったか?」

「うん。でもおうまさん、とても辛そうだった。だから私がそれを少し肩代わりしてあげたの。だから結構疲れちゃったよぉ……」



 えへへとほほ笑むコリス。

 辛さを肩代わりするなんてよくそんな平然と言えるよな。

 それにどうしたら辛さを肩代わりなんてできるのか想像できないわ。



「そうなのか。きっとその馬、コリスに遊んでもらえて楽しかっただろうな」

「そうだと嬉しいなぁ……でもおうまさん、一人で大丈夫かなぁ? あの子、わたしがいないと一人になっちゃうよぉ……」

「それは寂しいよな。よし、なら俺がちょっと馬を探してくる。だからコリスはここでゆっくりしていてくれ」

「うん、分かったんだよぉ。エンラさん、おうまさんをお願いしたんだよぉ……」



 コリスの幻視に現れた馬、それは果たして実在するのか?

 もしかしたらコリスの脳内に送り込んだただのイメージに過ぎない、架空の存在かもしれない。

 ただ、コリスをそのまま放っておくと、かわいそうな馬を探して、またどこかへ行ってしまうような恐れもある。

 それを防ぐ為に俺が馬を探しておくということにしておいた方がいいだろう。

 実際に幻視をコリスにかけた生物を探すかどうかはともかくとしてもだ。


 まあできれば幻視をかけた奴と出会って話を聞いてみたいとは思うんだけどな。

 どうしてコリスにひどい事をしたのか聞きだしたいからさ。

 手がかりは多くないし、出会えたらラッキー位に思っておこう。


 俺はリス達と別れ、住処に戻る事にした。



 リスの住処の穴から抜け出した俺はいつもの大きさと重さに戻した。

 やっぱりサイズチェンジとウェイトチェンジをかけつづけていると疲れがたまるな。

 どっと疲労感が押し寄せてきたわ。


 そういえば今回の場合、幻術魔法も使っているから魔力をもっと使っていることになるのか。

 そりゃ疲れもたまる訳だ。

 リス達をおびえさせないために自然の恵みの発動も切ってないから余剰魔力を使ってる訳でもないしな。

 帰ったら今日の所はゆっくりするとしよう。



 俺はゆっくりと森の中を歩いて帰路につく。

 いつものように数分歩いたら住処につくはずなのだが、何故かいくら歩いても住処にたどりつけない。

 周囲から生物の気配を一切感じとれないのも妙に不自然だ。


 それに近くからすすり泣くような声が聞こえてくる。

 ただそんな声があちこちで聞こえてくるし、その声がする方向へ近付いても、声の主は全く見当たらない。

 一体何が起きているっていうんだ……?



 歩いてもダメなら空から様子を見てみるか。

 俺は地面を蹴って、空へと飛びだとうとしたのだが―――



 ゴンッ!



 俺は木々の高さを越えようかと所で謎の壁に真正面からぶつかり、そのまま地面に叩き付けられた!

 いてててて……

 何で空にバリアみたいなものが張られているんだよ……

 訳分かんねえぞ。


 いくら歩いても一向に住処にたどり着かず、空を飛ぶこともできない。

 これは何らかの生物のワナにかかっていると見て間違いないな。

 俺に何か状態異常がかかっているのだろうか?

 自分に鑑定鏡を使ってみるか。



〇〇〇〇〇〇〇〇


エンラ(アレノスドラゴン)


HP 7767/7898

MP 2987/7129

状態:幻視(小)


〇〇〇〇〇〇〇〇



 おっ、俺つえーな!

 ……って問題はそこじゃない!

 やっぱり、幻視状態にかかってしまっているみたいだな。


 自分が幻視状態になったことはこれが初めてだが、こんな感じになるんだな。

 別に何か特別風景が歪んでいるとか気持ち悪いとかないし、気付きにくいもんなんだな、幻視って。

 まだ程度が浅いっていうのもあるんだろうけど。


 もしかしたらコリスに幻視をかけたやつが今度は俺に幻視をかけてきたのかもしれないな。

 となれば、放っておけば俺もコリスみたいに重症化しかねない。

 早い所、幻視を治さないとな。



 俺は好きな事、元の世界でやっていた楽しいゲームの事を強く思いこんだ。

 そしてその思いに魔力をこめる。

 すると俺の周囲にはゲームの世界が広がり、その登場人物が俺の近くを歩き回っている!


 幻視って凄いんだな。

 登場人物やその他の装飾品には実際に触ったりもできるし、リアリティがある。

 世界全体が書き換わるようなものだから、その世界自体には作られたものという違和感を持ちにくそうだ。

 まあ、龍の俺を見てもゲームの登場人物の人間が全く驚きや恐れの表情を浮かべない事からして、本物の人間ではないんだろうと気付くことはできるけど。


 だけど自分の荷物だけは変わらず認識できるみたいで、自分のバッグもいつも通りだし、そしてもちろん鑑定鏡も普通に使えそうだ。

 幻視はしっかりとかかっているとは思うが、一応鑑定鏡でも自分の状態を確認してみようか。



〇〇〇〇〇〇〇〇


エンラ(アレノスドラゴン)


HP 7898/7898

MP 2787/7129

状態:幻視(大)


〇〇〇〇〇〇〇〇



 幻視(大)。

 うん、まあ世界のイメージをまるごと変えている位だからそりゃ大にもなるわな。

 体力も回復しているし、しっかりと自分の幻視で上書きできているようだ。


 さて、自分の幻視で書き換えることができた訳だし、幻視を解いてみようか。


 俺は浮かべていたイメージを止める。

 するとその瞬間、景色はぐにゃりと歪み、周囲の物全体が変化していく。

 そしていつもの森の景色が現れ、そしてそこには銀色に輝く生き物の姿が。



「お前はまさか、コリスが遊んでいたっていう馬か?」



 俺がその銀色の馬に話しかけると、ビクッとして、その場で体をブルブル震わせている。



「いや、名前を言っても分からないか。リスと遊んでいた奴ってお前でいいのか?」

「……そ、そうなのだ」

「リスに幻術魔法をかけたのもお前か?」

「……そ、そうなのだ」

「なるほどな。そしてさっき俺に幻術魔法をかけたのもお前という事だな」

「……す、すまないのだ。わ、悪気があってやったんじゃないのだ、本当なのだ、信じてほしいのだ!」



 矢継ぎ早に許しを乞う言葉を投げかけてくる白い馬。

 いや、こいつの額には一本ツノがあるし、馬というよりも一角獣ユニコーンといった方が正しいか。

 一応鑑定鏡で確認してみよう。



〇〇〇〇〇〇〇〇


幻獣ユニコーン


HP 178/198

MP 329/588

状態:恐怖(大)


〇〇〇〇〇〇〇〇



 やはりユニコーンみたいだな。

 それにしても状態が恐怖(大)って、どんだけ俺に恐れを抱いているんだか。

 こちらは余剰魔力は放出していないっていうのにひどいもんだな……


 ユニコーンはひたすら許しを乞う言葉をブツブツと言い続けていて、話になりそうもない。

 ということで、俺はユニコーンに一回黙ってもらうことにした。

 頭の中にたくさんの食べ物のイメージを思い浮かべ、そしてそのイメージをユニコーンにぶつける!

 するとユニコーンの目は虚ろとなり、その場に倒れこんだ。


 あれっ、やりすぎちまったかな?

 というか、幻術魔法を使うユニコーンに幻術魔法って効くんだな。

 効かないかもとは思って試しにやってみただけなんだが。


 ただ、心配は杞憂だったようだ。

 倒れたユニコーンからはニヤニヤと幸せそうな笑みが見えたのだから。

 ちなみに鑑定鏡でユニコーンの状態を見ると、わずかに減っていたHPは回復し、状態異常欄から恐怖が消えていた。

 幻視状態になったユニコーンは美味しそうな食べ物に囲まれた空間にいるんだろうから、恐怖も感じようがないということかな。

 俺の姿も見えなくなっているだろうしさ。




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八日目:残金199298B

収入:なし

支出:なし

収支;+0B

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