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ドラゴンになってものんびり過ごしたい~動物達と気ままにスローライフ~  作者: かいものトカゲ
二章 ライフショッピング
32/357

32.幻術魔法を使ってみました

 コリスは今も現在進行形で衰弱し続けている。

 鑑定鏡の表示を見ると、コリスのHPがつい先ほど3から2に減っていた。

 他のリス達はコリスになんとか薬草を飲んでもらおうと四苦八苦しているが、全く飲んでくれる様子はない。

 幻視が薬草を何か恐ろしい物に変えて見せているのかもしれないな。

 これではまともに回復も出来そうもないし、このまま手をこまねいていても良い結果にはなり得ない。

 なら、ここは危険だとしても行動を起こすしかないだろう。


 何もしなければ確実に悪い結果が待ち受けている。

 何かする事が出来れば、それをきっかけに何か回復するチャンスが手に入るかもしれない。

 なら俺がするべき事は、そのきっかけを自ら作り、回復への足掛かりを作る事だ。

 であれば、購入する技はもちろん―――



@@@@@@@@


 以下の物を購入しました。

 残り所持金 199298B


 幻術魔法    310000B


@@@@@@@@



 何かしら使えるであろう幻術魔法一択だろうな。

 ただ幻術魔法ってどうやって使えばいいんだろう?


 購入したという表記が出てから何となく幻術魔法の使い方のイメージが湧いてきた。

 そのイメージによれば、幻術魔法とは自分が思い浮かべたものを相手に幻術として見せる使い方をするそうだ。

 自分が思い浮かべたものがそのまま伝わるというのであれば、意外と簡単に使えそうではある。

 だが、一度も使った事がない幻術魔法をいきなりコリスに使うなんて危険すぎないか?

 コリスの体力からしても、失敗は許されないわけだしさ。


 時間はなく、でもこれからやらなければならないことに恐れを感じ、額には自然と汗が流れる。



「……エンラさん、大丈夫か? エンラさんまで倒れないでくれよ!?」

「……いや、大丈夫だ。実はコリスを助けられる可能性があるのだが、それはとても危険な事なんだ。だからそれをするべきかどうかで今迷っている」

「コリスを助けられるって本当か!?」

「ああ。実はな―――」



 俺はコリスの現状、そしてそれを治す方法についてカリス達に伝えた。

 もう猶予はほとんどない。

 でも一度も使った事がない幻術魔法をうまくかけなければコリスを助けられない。

 もし幻術魔法に失敗したら、体力に余裕のないコリスの命はないだろう。

 そういったことを全て話したのだ。



 俺の話を聞いたリス達はみんな黙り込んでしまった。

 コリスの状態が深刻である事を言葉にして伝えているのだから、無理もない。

 そんな沈黙の中、意外な人物が声を上げた。



「エンラさん、その”げんじゅつまほー”ってやつを使うのが怖いんだねぇ?」

「あ、ああ、そうだな。調整の仕方とかも全く分からないしさ……」

「そうだよねぇ。でもそれを使わないと助けられないんだよねぇ?」

「ああ、だから怖いんだ。一発勝負で失敗できないし、でも使ったことのない技を使わないといけないし……」



 そう、クリスの言う通りだ。

 俺は幻術魔法を使うのが怖い。

 それをコリスに使えるのは恐らく一度きり。

 失敗は許されないのだ。


 でも時間はあまり残されていなさそうだし、決断を下さないといけない時はもう間もなく来てしまう。

 コリスを殺してしまうかもしれない。

 その恐怖が俺をつきまとって躊躇させるのだ。



「なら、エンラさん。試しにボクにげんじゅつまほーをかけてみてよぉ。それで感覚掴んでからコリスに使うっていうのはどぉ?」

「く、クリスに幻術魔法をかけるだって!? 今健康なクリスにかけるなんて……」

「だからこそだよぉ。健康なボクで練習すればある程度失敗しても死なないでしょぉ? ささっ、時間もあまりないんだし、はやくぅ!」



 クリスはそう言うと俺の前に来て、仁王立ちをした。


 クリスの奴、強いな。

 未知の幻術魔法というものを自ら受けようとするなんて。

 その行動はコリスを救いたいからなのか?

 それとも俺を信頼してくれているからなのか?

 理由は分からないが、今はこのクリスの心意気がとても頼もしく思える。



「ああ、それじゃあ、試させてもらうぞ!」

「頑張ってねぇ」



 俺はクリスのお言葉に甘えて、幻術魔法の練習をさせてもらう事にした。

 練習とはいっても、あまり時間はないし、クリスにあまり無理もさせられない。

 できるだけ早くコツを掴まなくては。


 でも幻術ってどうやればいいんだろう?

 炎魔法の時は炎の塊を出現させて相手にぶつけるというシンプルなものだから分かりやすかった。

 幻術はそんな簡単じゃないんだろうな、きっと。


 幻術は幻を見せる技だろうから、その見せる幻をイメージすればいいんだろうか?

 その場合、イメージによってどう変わるか試してみたいから、クリスにとって嫌なイメージ、良いイメージを送ってみよう。

 まずは試しにちょっと怖いイメージを送りつけてみるか。


 俺はクリスに対して怖いオバケのイメージを送りつけてみる。

 するとクリスの目は虚ろになり、身体中から汗が噴き出し、体をブルブル震わせた!


 ゴメンなクリス……

 でもこれは幻術魔法が効いているという事だろうか?

 鑑定鏡で確かめてみよう。



〇〇〇〇〇〇〇〇


クリス(アレノススクイレル)


HP 49/52

MP 18/18

状態:幻視(大)


〇〇〇〇〇〇〇〇



 状態が幻視になっている……

 さっきの方法で幻術魔法は使えていたらしい。

 意外と簡単なんだな。


 なら今度はクリスが好きそうな食べ物をたくさんイメージしてみよう。

 イメージの違いで受けるダメージに変化はあるのか?

 果たして……


 俺はクリスに対してたくさんの食べ物のイメージを送りつけてみる。

 するとクリスの体の震えは止まり、そしてフフフとニヤニヤした表情を浮かべ始めた!



「く、クリス……? おーい」



 カリスがクリスに呼びかけるが、クリスは全く声に反応しない。

 嬉しそうな表情をしてはいるが、これも幻術の影響を受けているっていう事なんだろうな。

 一応鑑定鏡でクリスの状態を調べてみよう。



〇〇〇〇〇〇〇〇


クリス(アレノススクイレル)


HP 50/52

MP 18/18

状態:幻視(大)


〇〇〇〇〇〇〇〇



 おっ、やっぱり良いイメージでも幻視である事には変わりないようだな!

 それに先程よりも体力が回復している……

 これはつまり、幻術のイメージによってダメージ受けるかどうかが変わってくるという事ではないか!?


 クリスのおかげで幻術魔法の事が分かってきた。

 クリスの例からして、コリスにかかっている幻術魔法をコリスにとって良いものに上書きできれば、コリスの体力を回復させる事も出来そうだ。



「ありがとう、クリス、助かったよ」



 俺はそう言ってクリスに食べ物のイメージを送るのをやめると、クリスがハッと辺りをキョロキョロ見渡し始めた!



「おにぎり、おにぎりぃぃい!? ……あれっ? ここはどこぉ? ……あっ、戻ってきたんだねぇ……ざんねん」

「残念って、おいおい。とにかく幻視から覚めたようだな、クリス。大丈夫だったか?」

「うん、平気だよぉ。まあ、最初の方は何かとっても嫌な感じがしたんだけどねぇ」



 クリスはどうやら無事に正常に戻る事が出来たみたいだ。

 なら後は同じ事をコリスにすればいいだけ。



「コリスの好きなものって分かるか、カリス、クリス?」

「コリスの好きな物か……なんだろうな?」

「きっとおにぎりがいいよぉ。おにぎり、みんな好きだからねぇ」



 おにぎり……まあ、確かに食べ物のイメージを嫌がるような奴はあまりいないだろう。

 とにかく今コリスに取り付いているであろう負のイメージを取り払わなければ。



「では、これからコリスに幻術魔法をかけてみるが、みんな覚悟はいいか?」



 俺の言葉に静かにうなづくリス達。

 もう迷わない。

 俺は覚悟を決めて、ついにコリスに幻術魔法をかけることにした。


 クリスに魔法をかけた時と同じように美味しそうな食べ物をいっぱい思い浮かべ、そのイメージをコリスに送り込む。

 するとその瞬間、俺の脳内に痛みが走った!?



 いててて……

 だが、俺はそれでもイメージを送るのをやめない。

 すると徐々にではあるが、コリスの表情が穏やかになっていき、そしてついには微笑みを浮かべるのだった!



「今がチャンスだな! コリス、薬草を飲んでくれ!」



 カリスはそう言ってから、すり潰された薬草を他のリスと一緒になってコリスに飲ませようとする。

 今までずっと薬草を拒否し続けてきたコリスだったのだが、それが嘘のようにあっさりと薬草を口にしたのだった。


 コリスには良いイメージの幻視と薬草を与える事が出来た。

 その効果は凄まじく、ちょっと経ってから鑑定鏡でコリスの様子を見た所、HPが半分ほどまで回復していたのだ!



「エンラさん。コリス、だいぶ良くなっているよな!?」

「ああ、順調に良くなっているよ。窮地も脱したとは思う」

「本当か!? あぁ、良かった……」



 俺の言葉を聞いて、リス達はみんな安堵し、その場にへたり込んでいた。

 命の危険があったほどのコリスが救われたのだから無理もないだろう。

 苦労が報われた瞬間だった。



 俺が食べ物のイメージを送るのを止めると、コリスの幻視状態は消え去った。

 見ず知らずの奴がかけた幻視を俺の幻視が上書きしたから、幻視状態は俺の制御下に入ったんだろう。

 だからこそ、俺が幻術魔法の発動をやめたら、コリスの幻視状態も解けたと。

 これで一件落着だな。


 ……あれっ?

 結局、幻術魔法を使ったら幻視状態を治せちまったよな、俺。

 幻術魔法で治す方法がオールリフレッシュしかないとは何だったのか。

 見間違いじゃないよな?

 一応確認してみるけど。



@@@@@@@@ 


 どの幻視を完治させる方法をお買い求めですか?

 残り所持金 199298B


おすすめ順 2件中2件表示


 オールリフレッシュ  12000000B

 幻術魔法(取得済)    310000B ←New!


@@@@@@@@



 へっ……!?

 Newってそんなのアリかよ!?

 ひどくないか、それって。

 最初からそう表記してくれれば迷う必要なかったのにさ。


 いや、待てよ?

 これって俺が幻術魔法で幻視を治す事が出来たからこそ情報が更新されたんじゃないか!?

 女神ショッピングのラインナップって変化することもあるんだな。

 心にとめておこうっと。



********

八日目:残金199298B

収入:なし

支出:幻術魔法310000B

収支;ー310000B

********

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