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ドラゴンになってものんびり過ごしたい~動物達と気ままにスローライフ~  作者: かいものトカゲ
十章 ヒューマンショッピング
288/357

288.軍事国の首都に到着しました

 氷竜が生息する氷の洞窟を離れ、しばらく飛んで移動すること、数十分。

 地上にはある程度舗装された道路が広がり、その上を馬車のようなものが通っているのが目立つようになってきた。

 舗装された道路といい、馬車の往来といい、だいぶ首都までは近付いてきているみたいだな。


 実際、そのタイミングから数分も飛べば、首都らしき大きな街を見ることができた。



 黒い金属のような見た目をした建物がズラリと並んだその街並みは、いかにも軍事国家といった感じを醸し出していた。

 建物がとても頑丈そうな作りをしているし、実際、多少の攻撃ではびくともしないようになっているのだろう。


 そんな街並みを上空からしばらく眺めているうちに、街の上空近くまで到着した俺。

 そのまま街の中に入る訳にはいかないので、街の外の物陰に着地をし、人間の姿に変身してから、街の入口を目指す事にした。



「身分を証明するものをご提示願います」

「はい、これで大丈夫ですか?」

「……白いギルドカード。Eランクの冒険者さんですか。よくここまで無事にたどり着けましたね?」



 歩いて街の検問所までたどり着き、検問を受ける俺。

 俺が見せた白いギルドカードを見て、門番の人はどうやってここまで来たのかを不思議そうにしているようだ。

 その反応から察するに、この首都に来るまでの道は強力な魔物でも生息しているんだろうな、きっと。

 少なくとも、冒険初心者では歯が立たないほど強い魔物が。


 そのことは知らなかったが、その言い訳は既に考えてあるから問題はない。



「実は後ろにいる方に護衛をお願いしているんです。おかげさまで、ここまで安全にたどり着くことができました」

「後ろの方? あなたは確か……もしかして、闘技大会のチャンピオン!?」

「ああ、そうだ。まあ、正確には元チャンピオンだがな」



 トラージはそう言うと同時に、そっと金色の紙を門番に見せる。

 そして、なるほどと納得した様子で。



「確かにこの方がいらっしゃれば、魔物など相手にならないでしょうね。ですが、チャンピオンさんを護衛につけるなんて、あなたは何者なんですか? それに、確か、このチャンピオンさんを破った魔法使いが現れたとか聞いた気が……って、ああっ!」

「あー、それには色々とありましてですね? それより、ここを通っても?」

「謎の魔法使い、エンラ! あなたの事だったのですね! 実は我が国の王があなたに依頼したい事があるのです! 迎えを寄越しますので、この場で少々お待ち下さい!」



 門番はそう言うや否や、慌ただしく動き始める。

 通信機らしきもので誰かと話したり、他の門番に指示を出して、どこかに行かせたりしているようだ。


 それにしても、王が俺に依頼したいことだって?

 なんか嫌な予感がするんだが……。



『なあ、ワルデス。今からでも、この街から引き返す事ってできないか? 嫌な予感がしてたまらないんだが』

『あの様子じゃ、手遅れだろうな。門番のヤツらからは、エンラをここから出すまいという強い意思を感じる。どうしてもって言うんなら、何とかできないでもないが……』

『ちなみにダメ元で聞くんだが、その方法っていうのは?』

『エンラがここに来たっていう情報を知っているヤツらの記憶を全て消すってことだ』

『はい、アウトー! ああ、諦めるしかないのか。面倒だなぁ……』



 ワルデスが言う通り、俺がここに来なかった事にしてしまえば、当然俺は街から出ても、その事を不思議に思う人はいないだろう。

 そもそも、俺が街に入ろうとしたという事実がなくなるのだから。

 だけど、そこまで人の記憶を書き換えるような事って、なんか良心がとがめるんだよな。

 それに、今回の街への訪問がなかった事になったとしても、別の町を訪れたら、また同じような事が起きそうだしさ。


 これが有名税ってやつか。

 偽物の聖剣を手に入れた代償はだいぶ大きいな。



 憂鬱な気分になる俺とは裏腹に、トラージはずいぶんと嬉しそうで、俺の事をにやけ顔で見て、「さすがチャンピオンだぜ!」とか煽ってくる。

 俺はギロリとトラージをにらみ、もうついてくるのは許さない的な事をつぶやくと、トラージは冗談だってと慌てて態度をころりと変えてきた。

 本当、調子の良い奴である。


 検問所で待つ事、数分。

 門番に呼ばれ、街へと通されると、大きく頑丈な黒い馬車が一台止まっていた。

 そして、門番が俺にその馬車に乗ってほしいと言うので、渋々馬車へと乗り込む。


 俺とトラージが乗り込んで着席すると、すぐさま馬車が動き出した。



 馬車の中は快適で、ほとんど揺れを感じなかった。

 いくら道が舗装されているとはいっても、普通なら多少は揺れるだろうから、揺れないための魔法や道具が馬車につけられているんだろうな。


 馬車から外の様子を眺めてみると、さすがは首都だけあって、大勢の人が街を行き交っている様子が見えた。

 この人通りの多さは、東京に行った時を思い出すな。


 そんなことを思いながら外をボーッと眺めていると、馬車がピタリと静止する。

 10階位の高さはありそうな、一際大きな建物の前で止まったので、この大きな建物がこの国の城みたいなものなんだろうか。



「エンラ様、ご案内致します。どうぞ、馬車の外へ」



 馬車を見て、駆け寄ってきた2人の全身黒い鎧を身につけた騎士。

 そのうちの一人がそう俺に声をかけてきた。


 俺は言われた通りに馬車を降りて、そのまま騎士の後をついていくことにした。

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