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ドラゴンになってものんびり過ごしたい~動物達と気ままにスローライフ~  作者: かいものトカゲ
十章 ヒューマンショッピング
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249.性格を反転させる技を使ってもらいました

 足が地面にめり込んだ事で、青ざめる商人は、その場でへたりこんで、動けなくなっていた。

 そして俺を囲んでいた黒づくめの三人も、その様子を見るやいなや、一目散にどこかへ立ち去っていってしまった。

 雇い主がピンチだというのに逃げ出すなんて、実に情けない護衛だよな。



「エンラ、ずいぶん派手な事をしやがったな、ククク」

「俺だってこうしたくてしたんじゃねえから。……とにかく、何とか事を大きくしないようにしないとな」



 地面に亀裂を入れる青年に、言葉を話すリスのぬいぐるみを見た商人は、開いた口が塞がらない状態だ。

 ……うん、ここまで来てしまうと、もう取り返しがつかないかな。



「ワルデス、とりあえずこの事はなかった事にしておいてくれ」

「ふーん、まあ了解。任せとけ」



 あまり気は進まなかったのだが、俺はワルデスに商人達の記憶を消してもらう事にした。

 放っておくと後々厄介な事になるだろうし、やむを得ないだろう。

 ちなみにワルデスは逃げた護衛の記憶も消す事に成功したようだ。

 目に見えない所まで逃げた相手の記憶に干渉できるその力、さすがは悪魔王といった所か。

 敵に回したらと思うとぞっとするわ。



「そういえば記憶を消すついでに、この商人の本質を反転させておいたぞ」

「本質って、どういう事だ?」

「簡単に言えば、性格の元になる基盤だ。記憶を消しただけでは、また馬車を借りるのに金を請求してくるだろ? それを防ぐ為にな」

「確かに記憶を消しただけでは、また同じ事になりそうだもんな。なんか性格改変な気がしないでもないが、聞かなかった事にするか」



 なんかとても人としてやってはいけない事をしているような気はするが、気付いていない事にしよう、うん。

 そもそも今の俺は人じゃないしさ。

 ……まあ、今後はこういう事にならないように気をつけるか。



 しばらくすると商人が目を覚ます。

 そしてその瞬間、商人の顔は真っ青になった。


 ん?

 ワルデスは商人の記憶を消したはずだよな?

 だから俺を見ても初対面なはずなんだが、どうして顔を青くしているんだ?



「あの、大丈夫ですか?」

「あっ……あっ……私は今まで何て事を……あなた、どなたか存じ上げませんが、どうか愚かな私を殺しては頂けませんか!?」



 ……へっ?

 商人の言葉からすると、商人は俺に関する記憶はないようだ。

 そして俺に殺してくれと頼んでいる、と。

 これは一体?



「と、とりあえず落ち着いて下さい! 何があったのか、よかったら俺に聞かせてくれませんか?」

「あっ、はい……私は数々の愚かな行いを積み重ねてきたようなのです……」



 そう言うと、商人は俺に自らが過去にしてきたことを話し始めた。

 それを聞くと、数々の罪を積み重ねてきた事が分かった。

 その話をとても辛そうに話している事からして、きっと今の商人には、その行いが自分で許せないのだろう。


 ……俺と関わった以外の記憶を残して、元となる考え方だけをまるっきり変えるとこうなってしまうのか。

 それって、ものすごくえげつない事だよな。

 自分がするはずのない事をしたという記憶が大量にあって、そしてその記憶は正しいと自分で分かってしまっているのだから。

 俺がその立場に立たされたら気が狂うのは間違いないだろう。



 俺は何とか商人をなだめ、商人の荷台に乗せてもらう事にした。

 そしてその途中、メイリスに隠れてもらっている場所に近付いたので、メイリスに呼びかけ、荷台に乗ってもらう事にした。



「荷台に乗せてもらえるなんてラッキーですわね」

「はい、運が良かったです。本当にありがとうございます、乗せて頂いて」

「あっ、いやいや私なんかがお役に立てるならば光栄でございますから」



 そうおどおどしたような様子の商人。

 だいぶずうずうしい性格だったけど、反転した影響で気弱な性格になっているみたいだな。



 しばらく馬車に乗って進んでいくと、話し声が遠くから聞こえてくるようになる。

 恐らく町の近くまで来ているのだろう。



「えっと、旅のお方。私は検問にて、自らの罪を自白します。あなた方を巻き込む訳にはいかないので、ここでお別れをさせて下さい」

「……そうですか、分かりました。メイリスさん、そういう訳だから、馬車から降りて町まで歩いて行きますよ」

「えっ!? 罪を自白って、こんなお優しい方が罪を犯したのですの!?」

「メイリスさん、そこは気にせずに行きますよ」



 メイリスは信じられないという表情をしつつも、俺に言われた通りにしていた。

 まあ、こんな優しくて気弱に見える商人が罪を犯すなんてなかなか信じがたいよな。

 というか、元々こういう性格だったら、罪を犯す可能性の方が低かったのではなかろうか。


 ちょっと悪い気もしたけど、本人はその方が気がスッキリするといっているので、どうするかは特に口出ししないでおいた。




 さて、馬車から降りると、町はすぐそこにある事が分かった。

 町に入るには、検問を通らないといけない訳だが、さすがにこのまま通る訳にはいかなそうだよな。

 何しろ今のメイリスは、高級そうなドレスを着ていて目立つし、下手したらメイリスが王族だとバレて、厄介な事になるかもしれない。

 そこを何とかしないとね。



「ワルデス、メイリス以外にメイリスの服を地味に見せる事ってできるか?」

「ああ、できるぞ。服自体に幻術をかければな」

「なるほどな。それなら人に大きな影響を与えないで済みそうだな。早速やっておいてくれ」



 そう言葉を交わした後、ワルデスは素早くメイリスの服に術をかけ、メイリスの服はかなり地味な見た目になった。

 だが、本人には幻術が効かないようにしてもらっているので、メイリス自身はその事に気付いていなさそうだ。


 これで検問は何とか突破できそうだな。

 ちょっとだけ心をほっとさせながら、検問まで俺は向かう事にした。

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