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ドラゴンになってものんびり過ごしたい~動物達と気ままにスローライフ~  作者: かいものトカゲ
二章 ライフショッピング
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21.九尾と戦ってみました

「きゅ、九尾様ー!?」



 ポカーンとして表情をしていた鷹達が我に返り、一斉に九尾が落ちた先へと急降下していった。

 九尾の様子が気になった俺もその後に続く。



「お、おぬしら、もっとしっかりせんか!」



 地面に降り立つと、そこには怒る九尾と怒られる鷹の図が。

 まあそりゃ急に空から地面に落とされれば怒りもするわな。

 重すぎる九尾を支えないといけなかった鷹達も気の毒ではあるが。


 ……って問題はそこじゃない!

 問題なのは、体重がとてつもなく重いであろう九尾があれだけの高さから落ちたにも関わらず、全く傷一つついていないことだ!

 一体どういうカラクリになってんだよ!?



「九尾さん、どうしてあんな高い所から落ちて怪我がないんですか?」

「あっ、お主知らんかったか。わらわには大抵の攻撃は効かんのじゃ。エリアの加護があるものでの。物理的なものだけでなく、魔法によるものももちろん効かんぞ?」



 攻撃が効かない……だと!?

 そんなのアリかよ!?



「ふふふ、絶望しとるな、お主? エリアボスに挑むということはそういう事なのじゃよ。まあもうそれに気付いた所で遅いんじゃがな」



 そう言った九尾は再び巨大な火の玉を放ってくるが、俺はそれを難なく避ける。

 隙をみて俺も火の魔法を放つが、九尾の周囲に存在する薄い緑の膜に弾かれて全く効いている様子がない。

 あの膜がエリアの加護というやつなのか……?

 反則すぎるだろ、それ!?



「ふふっ、その程度の魔法、わらわには効かぬ。ほらっ、当たれば火傷するぞ?」



 ケラケラ笑いながら火の玉を立て続けに放ってくる九尾。

 攻撃スピードは速くないので、避けるのは造作もない。

 だが、それよりも攻撃が全く通らないことの精神的ダメージの方が大きいのだ。


 魔法を放ってもダメ。

 遠すぎて威力が弱まってしまったのかと思い、近距離から放ってもダメ。

 魔法ではなく直接爪やらで攻撃しようとしてもダメ。

 じゃあどうしろと?



「ふふふ、焦っておるな。わらわの強さを思い知ったかの?」



 余裕そうな笑みを浮かべる九尾。

 くっ、まさかここまで差があるとは。

 気配の強さでいえば、互角位だと思ったんだがな。

 でも、本当にもう手はないのか?

 ちょっと発想を変えてみるか。

 どう攻撃するかではなく、どうしたら九尾は困るかで考えよう。


 九尾の弱点といえば―――やはり体重だろう。

 体が重いからこそ、さっきから全く動きが見られない。

 動かそうと思えば動かせるんだろうが、動きは相当鈍いはずだ。

 逆に言えばそこしか弱点は見当たらないのだが。

 そこをうまくつくしかないな。


 だとしても、結局攻撃は通らないんだよな。

 攻撃が通らないのなら、こちらに勝ち目はない。

 一方で九尾は俺に対して一方的に攻撃をする事が可能だ。

 つまりいつかは俺の敗北で終わってしまう。

 逃げて、体力が回復するまで待機してから戦うというのも考えたが、それもあまりよろしくない。

 結局こちらに有効打がないことに変わりはないのだから。

 いわゆるジリ貧ってやつである。


 うーん、何とかならないかな?

 勝つ事が無理でもせめて相打ちに出来れば良いんだが。

 例えば相手の攻撃を効かないように出来たら、相手にも有効打がなくなるわけだから戦いに意味はなくなり、引き分けになるしな。


 ……ん、待てよ?

 相手の攻撃を効かないというよりも、相手に攻撃をさせなきゃいいんじゃないか?

 ”攻撃は”効かない。

 それはつまり、攻撃と認識しない程度の影響なら九尾に与える事ができる!



「ウェイトチェンジ!」

「ふふ、何を言っているのじゃ? 何も起きてないではないか。ついに戯言を言うようになったのじゃな。哀れな奴じゃ……」



 体重二倍になるよう念じてみたのだが、効果はなかったようだ。

 さすがにそこまでの差があると動きに支障が出るし、害をもたらす攻撃と判断されてバリアに弾かれるのか。

 であれば。



「ウェイトチェンジ! ウェイトチェンジ!」

「わらわに魔法は効かぬといっておろう。お主が変な事言うから、なんかだるくなってきたのぉ……少し黙らんか!」



 九尾は俺に向かって火を放とうとするが、狙いは下にずれた。

 おっ、これは効いているんじゃないか?

 わずかにだが、顔を持ち上げにくいようなしぐさをしているように見える。

 それは顔の重さが増えたということではないか?

 もっとやってみよう。


 俺はそれからひたすらウェイトチェンジを九尾にかけ続けた。

 すると最初は俺の事を嘲笑っていた九尾だったが、しばらくすると事の深刻さに気付く。

 そう、九尾の体重が増加し続けているのだ!


 1000gのものが2000gになるとさすがに誰でも気付く。

 そしてその変化は明確に動きを阻害する害を与えるものになるので、攻撃と判定され、九尾には効かない。

 だが、1000gのものが1001gに変わる場合はどうだろう?

 ほとんど変わらないのではないだろうか?

 いわゆる誤差というものである。

 その程度の変化をしたからといって行動に大きな支障がでるわけでもないし、九尾にも害ある変化とみなされなかったのだ。


 ただ、そのわずかな変化も積み重なれば状況は変わる。

 すぐに気付かないような微妙な体重の増加の積み重ねによって、いつしか九尾の体重は元の体重の何倍にも膨れ上がるのだ。

 そしてその頃には九尾は顔を俺の方に向けることすら困難になり、ぐったりと地に伏せることになる……。



「お主、わらわに何をした?」

「何って、単純に九尾さんの体重を少しばかり増やさせてもらっただけですよ。俺はそれだけしかしていないですから」

「……お主、なかなかえげつないことをしよるのう」



 九尾は地面に顔をつけながら、力なくそう言った。

 あまりの自分の重さに耐えきれなくなって、戦意も喪失しているのかもしれない。



「動けないって辛いでしょう?」

「そうじゃな。誠に屈辱ではあるのじゃが……」

「まだ俺と戦いますか? 俺が九尾さんに勝つ事が出来なくても、こんな状態では九尾さんが俺に勝つ事も厳しいと思いますが」

「……そうじゃな。こんな戦いはもうやめじゃ」



 九尾の戦意がなくなった事を確認した俺は九尾の体重を元の重さに戻した。

 どうやら良い効果の技や魔法は九尾に効くようだな。



「それにしてもお主、わらわが気にしている所をいじるとは何という事をしてくれたのかのう?」

「ハハ……でも俺が持っている九尾さんへの有効打はこれしかなかったんです。許して下さい」

「ムム……まあわらわの強さを認める姿勢は悪くないのぉ」



 実際俺の攻撃は九尾にことごとく跳ね返されてしまった。

 攻撃を繰り返した所で、完全に徒労に終わっていただろう。

 それだけ九尾は強いのだ。

 それは認めざるを得ない。



「リスを食べる事は諦めてはくれないんですか?」

「もちろんじゃ。じゃが、今すぐそうしようとすれば、またお主が邪魔をするのじゃろう? ならば、もうしばらくは我慢するつもりじゃ」

「おっ、延期してくれるんですか。優しいんですね、九尾さん」

「……優しくなどない。ただお主が邪魔をするから仕方なくそうするだけじゃ」



 ハアとため息をつく九尾。

 この結果は九尾にとってかなり不本意なものだっただろう。

 引き分けではあるが、リスを食べないでほしいという俺の主張がとりあえず通った形になるのだから。



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五日目:残金67698B

収入:なし

支出:なし

収支;+0B

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