201.呪われたオオカミが奇妙な動きをしているようです
しばらく待っていると、解呪しておいたオオカミ達が次々と目を覚ます。
そして例のリーダー的なオオカミも目を覚ます事になった。
「気が付いたか?」
「う、うーん……って、ええっ!? ドラゴンが何でここに!?」
そう言って後ずさりするオオカミ。
あー、こういう反応するって事は、やはり呪われている間の記憶はないんだな。
となると呪われている間にあった人格は、元々の人物のものとは全く異なるっていう訳なのか。
それは朗報なのか、それとも悲報なのか。
何とも言えないな。
情報が得られないのは残念だが、敵対しなくて済みそうだからその点では良いしさ。
ちなみに実際にそのオオカミに話を聞いてみたのだが、呪われている間の記憶はほとんどないそうだ。
また他のオオカミにも聞き込みをしてみたが、やはり呪われている間の記憶はほとんど残っていないらしい。
「すいません。聞かれたい情報を覚えていないみたいで。せっかく助けて頂いたのに……」
「いや、良いんだ。覚えていない事は思い出しようがないし、仕方ない事だろう。それより、早く仲間の所に行ってあげるといい。きっと喜んでもらえるぞ。そこまでは俺が案内するから」
「……そうですね。お心遣い感謝致します」
俺はそれからオオカミの臨時住居の所まで向かった。
そして臨時住居に住んでいる何人かのオオカミが、解呪したばかりのオオカミの姿を見てとても喜んでいた。
恐らくは解呪したオオカミの家族か友人みたいな関係にあるんだろう。
こういう様子を見ていると、助けて良かったなとつぐつぐ思ったりする。
そしてそれから数日経ったものの、しばらくの間、呪われたオオカミの目撃情報はなかった。
オオカミ以外の野生の動物や魔物が呪いにかかる時はあったが。
だがある日、ついに目撃情報が入ってきた。
「エンラさん、呪われたオオカミの目撃情報が入ってきたぞ!」
「おお、場所はどこなんだ?」
「それは……えっと、とにかく、臨時住居に来てくれないか? そこで詳しい事は伝えられると思うから!」
「あっ、ああ、分かった」
情報を伝えに来たターガは少し慌てているようだ。
一体どうしたんだというんだろう?
とりあえず、オオカミの臨時住居まで行ってみるか。
俺はターガとともに空を飛んで、オオカミの臨時住居――今やちょっとした集落になっている場所に降り立った。
「あっ、エンラさん。お待ちしておりました!」
「みんなソワソワしているようだが、一体どうしたというんだ?久々に呪われたオオカミが発見されたとは聞いているが……」
「えっとですね。実はそのオオカミが見つかった場所が異例の場所でして。一体どういう目的でその場所に行っているのかという話題でこの場は持ちきりなんです」
ん?
見つかった場所が異例の場所だって?
それは一体どこなんだろう?
氷山で見つかったのならば別に不自然でも何ともないし。
今まで通り空白の地やスナハの砂漠エリアで見つかっても、そんな異例の場所なんて表現はしないよな。
となれば、それ以外の場所になるはずなのだが。
「その場所ってどこなんだ?」
「それはですね……雷虎。なんとあの雷虎のエリアへと向かうオオカミの姿が目撃されたんです!」
雷虎のエリア、か。
確か雷虎といえば、エリアボスの中でも最強を誇るってキュビカが言っていたな。
あまりの強さ故に、下手に刺激しないようにエリア内に入ることすら止めた方が良いとキュビカに言われた事もあったっけ。
なのにどうしてそんな所にオオカミが?
「オオカミさんって雷虎と昔から交流なんてあったのか?」
「……いえ、全くありません。おれ達は様々な場所に狩りにはいきますが、雷虎の所だけには行かないようにしていました。何しろ、とても危ない場所ですから」
危ない場所……確かにそうだな。
雷虎の逆鱗にふれたら命はないだろうし、そうでなくてもあのエリアって雷が落ちてくる場所でもある。
運が悪ければ、雷に撃たれてそのまま命を落としかねない。
そんな危ない場所にわざわざ行く理由は普通ないよな。
「なら、どうして呪われたオオカミは雷虎の所に行ったんだろうな?」
「それは分かりません。ですが、おれ達が本来行くはずのない場所に呪われた同胞が行くのであれば、その場所は呪いに何かしら関係していると考えられなくはないと思うんです」
そうだよな。
普通のオオカミが行かない場所にわざわざ呪われたオオカミが向かっているんだ。
呪いと全く無関係であるとは考えにくい。
となれば、何かしら雷虎の所には呪いに関する手掛かりがあると考えて良さそうだな……。
最近は呪われたオオカミの目撃情報もだいぶ減って来て、得られる情報も少なくなってきている。
ここはちょっとこちらから攻めに行くのもいいかもな。
「なるほどな。それなら俺一人でちょっと雷虎の所に潜入してみるわ」
「えっ……!? エンラさん一人でですか!? 確かにエンラさんは強いでしょうけど、それでも相手は雷虎ですよ!?」
「いや、別に戦うつもりなんてねーよ。魔法を使って姿を隠しながらこっそりと侵入するつもりだ。それである程度様子を見たらそのまま帰ってくる。それならば問題ないだろう?」
「……なるほど。確かにそれなら大丈夫かもしれないですけれど……。でも決して、無理はしないで下さいね!?」
「ああ、分かってる。心配してくれてありがとうな、オオカミさん。それじゃちょっくら行ってくる」
オオカミのみんなやターガ達に心配そうに見守られながら、俺はこうして雷虎の所に向かう事になった。
俺はあらかじめ自分の体に幻術魔法をかけておき、周りの生物から存在を悟られないようにしておく。
そしてそのまま飛行すること数分。
雷虎のエリアの近くまでやってきた。
この場所といえば、キュビカとの狩り対決の舞台となったことが印象的だ。
空には相変わらずその時同様、分厚い黒い雲で覆われている。
ザーザーと雨が降る音やゴロゴロと雷が鳴る音があちこちから響いてくる。
この場所、ある意味では懐かしいな。
それにしてもまさかあの時、キュビカがこんな所を指定してくるとは思わなかった。
何とかフィールドクリエイトの技を使って一発逆転したから何とかなったけど。
結構魔力消費すごかったな、あの技。
もう余程の事がない限りフィールドクリエイトの技を使う事はないだろうな、少なくともあの規模では。
それだけ負担のかかる技であった。
もちろん今回、フィールドクリエイトの技を使う予定はない。
だってそんな事をしたら、何者かが雷虎の所に来たと教えているようなものだもんな。
年中雷鳴轟く場所がいきなり晴れるなんて事が起きたら、明らかに異常だと誰が見ても思うだろうし。
……俺が前にフィールドクリエイトを使った事で、雷虎、怒ってないよな?
いや、怒っていたとしても、遭遇しなければいいだけだ。
いや、遭遇したとしても姿を隠している限りは見つからないから、きっと大丈夫だ。
何も問題はない、うん。
そんな事を思いながら、そのまま雷虎のエリアに突入する俺。
雷雲のそばを飛ぶのはさすがに怖いので、だいぶ低空飛行をして移動をする事に。
すると、黒いもやに覆われたオオカミの姿をみつける事ができた。
どこかへ向かっている様子が見られるな。
ちょっと追ってみるとするか。
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二百九十八日目:残金20179050B
収入:キュビカ達の獲物110000B
支出:食費など31000B
収支:+79000B
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