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ドラゴンになってものんびり過ごしたい~動物達と気ままにスローライフ~  作者: かいものトカゲ
七章 シーショッピング
175/357

175.かつて人間がいた町に入ってみました

 ハギと同じ程の大きさまで体を小さくした為か、俺が草原を歩いていても、周りの動物達は逃げていかない。

 どうやら俺の体の大きさが動物達に恐怖を与えていたようだな。

 でないと、今の状況で動物達が逃げ出さない理由が説明出来ないしさ。


 むしろ今の大きさ、多分1.5mほどの大きさでは、周りの一部の動物の方が大きい事もあるので……



「わわっ!? あの雷をまとった動物がこっちに突進してきますよ!?」



 そう、縄張りを荒らされたという事で、こちらに攻撃を仕掛けてくる者さえ出てくるのだ。

 今襲いかかってきているのは全身黄色で雷をまとった馬である。

 もちろん、あちらに攻撃する意思があるのであれば、こちらも容赦はしない。



「グランドウォール!」



 馬の進路を土の壁で塞ぎ、そして馬の動きが止まった所を見計らって、馬の背後に高速飛翔。

 そして――



「灼熱吐息!」



 若干加減して放った俺の息吹は馬にしっかりと命中した!

 すると全身に傷を負った馬は、そのまま恐れを抱いて遠くに逃げていく。



「……エンラさん、強いですね」

「まあ、体が小さくなったとはいえ、魔力は変わらないしな。甘く見てもらっちゃ困るよ」



 一応俺はこれでもドラゴンだしな。

 ドラゴンがそこら辺にいる馬にやられるなんて状況は普通ならあり得ないだろう。

 まあこの世界の事はよく分からないし、油断は禁物なのだが。

 ”井の中の蛙大海を知らず”ということわざもあるし、実はこの世界では俺よりも強い奴らの方がごろごろしているかもしれないしさ。

 とにかく、出来るだけ戦いは避けた方が良さそうだ。



 それからひたすら南へと歩いていると、遠くにうっすらと見えた人間の町のようなものがだんだんハッキリと見えてきた。



「なあ、ハギ。あそこって人間の町なのか?」

「……確かそうだったと言われてますね。でも今は人間は住んでいないらしいですよ。7年前の戦いの時に臨時的に作られた町で、戦いが終わってからはみんなその町からは出て行ったと聞いています」



 へえ、そうなのか。

 確かによく見れば、見えてきた建物にはだいぶボロがあるように見えるし、全く手入れされていないような気もする。

 臨時的に作られたらしいから、作りそのものにもアラがあるんだろうし、建物のメンテナンスもしてないなら、荒れるのも当然なのだが。


 人間のいない町。

 つまりはゴーストタウンということか。

 それでもこの世界の人間がどのような暮らしをしていたのか何となく知る事ができるだろうし、ちょっと気になるな。



「なあ、ちょっとあの町に寄っていかないか? 寄り道ついでにさ」

「ええっ!? どうしてあんな所に行くんですか!? あそこ、お化けが出るってウワサなんですよ!? 行きたくないですよ!」



 へっ?

 そうなのか。

 お化けが出るなんてますますゴーストタウンだな。

 ちょっと余計に気になってきたかも。



「分かった。それならハギはどこか安全な所で待っていてくれ。俺一人で行く」

「……えっ、ちょっと待ってくださいよ! 一人にされるのはもっと嫌です! いいです、それならオレも行きますよ! でも必ず明るいうちに町から出て下さいね!」



 そう言ってハギは辺りをきょろきょろ見渡す。

 この周囲の草原には、先程のような雷馬や氷をまとったロバなど、恐ろしそうな動物がたくさん生息している。

 木なんて見当たらないし、深い茂みもないので、隠れようにも隠れる場所なんてどこにも見当たらないのだ。

 そんな中で力のない奴が一人取り残されたらどうなるか?

 ……うん、あまり想像したくない。


 それを考えると、ついてきたくないなら一人で待っていればいいという発言を俺がした時点で、ハギには俺についていくしか選択肢はなくなるのか。

 ちょっと悪い事をしてしまったな。

 まあ長居するつもりはないし、明るいうちにささっと町を出て行けば問題ないだろう。



「若干強制したみたいで悪かったな。まあ、一通り観察したらすぐに出て行くつもりだから安心してくれ」

「それなら良いんですけど……一応オレも気になっていなくはなかったですし」

「そうか、それなら良かった。どちらにしろ、日が暮れるまでには帰らないといけない訳だから、夜になるまであんな所にいたりしねえよ。俺だってお化けは怖いし」

「エンラさんもお化けは怖いんですか? とっても強いのに?」

「ああ、怖いさ。力を持っていても、得体が知れない相手というのはそれだけ恐ろしいからな。それはどんなに力を持っていても変わりはしない」



 体が変わったといっても、心は人間の頃と全く変わっていないからな。

 人間の頃からそんなにお化け屋敷などが得意だった訳でもないし、そんな所に好き好んで行く事もしなかった。

 つまり、今もそんな感じという訳である。


 お化け屋敷に入れなくはないけど、巷で言われている心霊スポットなどには立ち寄ろうとは決して思わない。

 まあ、普通の人間と同じという訳だ。

 この町も人間の暮らしぶりを何となく覗き見る事が目的で、お化けに会いに行く事は目的ではないのだ。


 俺はビクビク体を震わせ始めたハギを連れて、人間の町の跡地へと足を踏み入れた。




 人間の町だった場所へと入っていくと、中には木造二階建ての家がたくさん並んでいる様子だ。

 あちらこちらで外装がはがれていたり、家によっては柱がくずれて住めない状態になっているものすらあった。

 地面はでこぼことしている上、雑草などが生えているので、だいぶ荒れている印象を受ける。


 廃墟となった家からも雑草が生えており、もう長年人がここにはいないのだと自然と思えてくるな。



「これはひどい……まさに廃墟って感じだな」

「ううっ、いかにもお化けが出そうな感じで何か嫌な感じです。早くここから出ましょうよ……」

「全然中を調べられていないからまだ早すぎる。もうちょっと辛抱してくれ」

「ううっ、分かりました……」



 ブルブル震えて涙目になっているハギ。

 まだ周囲は明るいから、全然肝試しにはなっていないと思うんだが、ハギにはこれでも十分怖いらしい。

 まあ、廃墟って何か物寂しい場所という印象もあるし、ある意味恐怖を感じなくもないか。



 さらに廃墟の町を進んでいく俺達。

 すると均一に見えた木造の家がしばらく立ち並んでいたが、ついにちょっと形が異なる家を見つける事ができた。

 周りの二階建ての家よりも少し大きい、三階建ての建物だ。


 この建物は他の建物よりも作りがしっかりしていて、壁なども特にはがれたりしている様子も見当たらない。

 きっと何か特別な場所になっていたんだろう、ここは。

 ちょっと気になるな。



「ハギ、この建物の中に入ってみるぞ」

「ええっ、こんな所に入るんですか? 天井崩れてきたりしないですよね?」

「……多分大丈夫だろ。他の建物はともかく、この建物は比較的しっかり作られているみたいだから、その可能性は低そうだ。ほら、建物の見た目もしっかりしているように見えるだろ?」

「……確かに周りの建物よりは、しっかりしているように見えますね」

「だから大丈夫だ。もし万が一崩れるようなことがあっても、俺がこの建物の天井を吹き飛ばして脱出すればいいんだから。心配するなって」

「建物を壊すということですか。なかなか恐ろしい事を言いますね……。でもエンラさんならそんな事は容易くできそうですし、それならガレキに埋もれる心配はいらなさそうですね」

「そういう事だ。じゃあさっさと行こうか。もたもたしていると日が沈んじまうからな」



 こうして少し納得したような様子を見せたハギと一緒に、俺は建物の中へと入っていくことにした。



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二百七十七日目:残金17985050B

収入:なし

支出:なし

収支:+0B

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