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ドラゴンになってものんびり過ごしたい~動物達と気ままにスローライフ~  作者: かいものトカゲ
四章 ウィンターショッピング
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100.キュビカに黒い瓶について聞いてみました

 その日の夜はみんなとてもお腹が空いていたようで、いつもの倍以上食べているんじゃないかという仲間達もちらほら。

 昼食抜きとはいえ、よくそんなに食べれるものだと思わず感心してしまう。


 俺は一食抜いても大して食べられる量は変わらない感じだったからな。

 人間の頃の話だけど。

 今はどうか知らないけどさ。


 結局胃袋の大きさは変わらないから食べられる量は大して変わらないはずなんだけど、そこの辺りの仕組みはよく分からない。

 消化が早いからたくさん食べられるといった感じなんだろうけどな、多分。



 そんな感じでみんな必死の夕食タイムは終わり、あとは寝るだけ。

 寝ようと横になった俺に対してキュビカが話しかけてきた。



「エンラ、シロカのエリアの様子はどうじゃったか?」

「ああ、平穏そのものだったよ。暖かくて過ごしやすい気候だったしさ」

「そうじゃろうな。シロカのエリアは快適に過ごせるのは良い所じゃろう。まあ生息する動物の種類が少ないのは欠点じゃがな」

「ハハ……それは確かにそれはシロカも言ってたな。同じような動物を食べないといけなくなるって」



 俺がシチューを作った時の驚きようはここのエリアの動物達よりもカモメ達の方が大きかったからな。

 よほど日頃の食事に飽き飽きしていたんだろうな、カモメ達は。


 そういえばせっかくキュビカと話せているんだし、例の事について聞いてみるか。



「話は変わるんだけどさ。キュビカさんは俺の体に何か異変みたいなものを感じたりしているのか?」

「ん? いきなり何を言い出すんじゃ、エンラ? 変な事をシロカが吹き込んだんじゃないじゃろうな!?」

「い、いや、そうじゃないんだよ。実はな――」



 俺はキュビカにも黒い瓶、白い瓶に関する話を伝えた。

 また、その話をシロカにも話したが、原因はさっぱり分からないということも。

 するとキュビカは――



「確かに妙じゃな。話を聞く限りでは、まるで黒い部分、つまり高濃度の魔力がエンラに流れ込んだというように見受けられるの」

「高濃度の魔力が俺の中に……? キュビカさんは今の俺を見て、本当にそうなっていると思うのか?」

「……いや、確かにエンラからは大きな魔力を感じるが、ドラゴン基準でいえば特別異常な魔力があるという訳ではないじゃろう。通常の範囲内じゃ」

「つまり、魔力が増大しているということはない訳か。ちなみに何か俺の体から変な反応を感じたりしていたりするのか?」

「変な反応……うーん、特に感じられんの。邪悪な気配があればすぐに感じられるはずじゃが、そんな気配は全く感じられぬ」

「そうなのか……つまり、特に異常は見受けられないという事だな?」

「そういう事になるの。力になれなくて申し訳ない」

「いや、でも見てくれて助かるよ。キュビカさんが見ても何も変な所がないのなら多分大丈夫だろう」



 キュビカが見ても、今の俺の体に異常は見受けられない。

 ユニにかかった呪いを一瞬で見破るほどのキュビカが見て大丈夫というのなら、まず大丈夫なんだろう。

 なら、もうこの件は気にしないように――



「ただ、一つわらわが分からない可能性があるとすれば、わらわの探知能力以上の強い魔力で探知阻害の魔力がかかっている場合じゃ」

「キュビカさん以上の魔力で認識を阻害……確かにそれならキュビカさんが分からないのもうなづけるな」

「でもまあ自分のエリア内にいるわらわ以上の魔力を持つ者なんて、今活動可能な生物ではまず存在せぬし、その可能性は考えなくて良いじゃろうがな。強いて言えば匹敵するのはエリアボスの雷虎位じゃろう。ただその雷虎も自分のエリアにいる時の話になるのじゃが」



 ふーん。

 つまり、俺がその瓶を見つけたのはキュビカのエリアだから、雷虎が瓶に関与している可能性はまずないといった所か。

 となると、やっぱり原因は分からずじまいだな。



「つまり現時点では原因は全く分からないという事だな?」

「その通りじゃ。こうなれば気にしないのが一番じゃろうな」

「シロカにも言われたよ、その言葉。でも実際それで困った事がある訳でもないし、そうする事にするよ。あと、そういえばキュビカの魔力に匹敵する雷虎ってやっぱり強いのか?」

「ああ、もちろんじゃ。彼奴はエリアボス最強といっても過言ではないじゃろうな」

「最強か。それは大きく出たな、キュビカさん」

「いや、過言ではないぞ? 魔力に特化したわらわと同程度の魔力に加え、強靭な肉体、豊富な体力、俊敏な身のこなし。どれをとっても最強クラスじゃ。もし彼奴がわらわのエリアに襲いに来られたら、わらわだけにエリア補正が入ってようやく互角といった所じゃろう」

「えっ!? それはつまり、無敵のキュビカさん相手でも雷虎が負ける事はないという事か!?」

「そういう事じゃ。どれだけ厄介な相手か理解してもらえたかの?」



 ひぇぇ。

 そんな奴があんなに近くにいたなんて。

 結構雷虎のエリアの近くまで行った事があるもんな、俺達。

 しかも前に天候を一時的とはいえ、変えてしまった事もあったし。

 怒ってないかな、雷虎さん?

 そんな奴に襲われたら敵う訳ないだろ。



「ちなみにイタチの何倍位強いんだ、その雷虎さんは?」

「数値にするのは難しいの……少なくとも水刃ほどじゃ全く相手にならぬじゃろう。雷虎の本気の一撃だけで水刃は瀕死状態に追い込まれるじゃろうしな」



 えっ、一撃で瀕死だって!?

 ああ、やっぱり強さの桁が違うんだな。

 最強の名は伊達ではないという事か。



「そんな奴がいるエリアの近くでよく狩り勝負なんてしたよな、俺達。雷虎に襲われたら多分全滅してるだろ?」

「そうじゃろうな。じゃが雷虎は話が分かる奴じゃ。むやみに誰かを襲ったりはせぬし、余程雷虎に対する敵対行動をしなければ戦う事もないと思うのじゃ」

「そ、そうなのか。だからこそあの場を狩りの勝負場所に指定したということだよな?」

「当たり前じゃろう。もし雷虎が危ない奴じゃったら近寄るのも危ないし、そんな事はせぬわ!」



 そ、そうですよねー。

 とにかく、雷虎が問答無用で襲ってくるような奴じゃなさそうで良かったわ。

 雷虎がイタチと同じノリで戦いを挑んできたら本当に死ぬからな、俺!?

 もう戦いは正直こりごりだ。



「昔から雷虎が最強だったのか?」

「いや、昔は赤龍という火山のエリアボスがおってな。そいつと雷虎の二強だったのじゃ。火龍が行方不明な今、雷虎が最強という訳じゃな」

「なるほど、そういう事か。ちなみにキュビカさんは赤龍がいなくなった理由とか分かったりするのか?」

「いや、分からぬ。わらわの術で簡単に調べた事はあるが、それで分かったのは世界中のドラゴンが北の果ての霊峰に集まっていそうだという事だけじゃ」

「北の果ての霊峰か……」

「……エンラ、まさかお主までそこへ行こうとは考えてはおるまいな!?」

「ま、まさか。そんないかにも厄介事みたいな所に関わるのはこりごりだ。そもそもあんまり他のドラゴンと関わり合いたくもないし。だって関係がこじれて、いざ戦いとかになったら勝てる自信ないじゃん? 関わらないのが一番だろ常識的に考えて」

「……まあ、そこまで同族を毛嫌いしなくても良いとは思うが。でもその言葉を聞いて安心したわい。お主がいなくなったらとても寂しくなるからの。それはわらわだけでなく、ここにいるみんなもそうじゃ」

「そういって、結局キュビカは俺の出す食べ物さえあればいいんだろ?」

「むむ、そう意地悪言うでない! ……実際、エンラがいなくなったら寂しいのは本当なんじゃから」

「……ん? キュビカさん、何か言ったか?」

「ななな、なんでもないのじゃ! とにかく、いきなりいなくなんてなったらわらわが許さぬからの! それを心に刻んでおくんじゃぞ!?」

「ああ、分かってるって。俺もみんなと一緒にいたいし、そんな事にはならねえよ、きっと」



 この場所はもはや俺にとっての拠点であり、憩いの場でもある。

 ここを手放してまでどこかへ行くという事は考えられないのだ。

 よほど何かの目的がない限りな。


 とにかく、これからもここでのんびりと楽しくみんなと過ごしていこう。

 そう心に誓った俺なのであった。



********

七十一日目:残金5328550B

収入:なし

支出:夕食など21000B

収支;ー21000B

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