異世界へ旅立ちます
遅くなってしまいすみません。
中々書きたいとことがこんなに上手くでてこないとは思いませんでした。
では暖かい目でご覧ください。
「なるほど、つまり私は神様の作り出した世界へ行きその天空の城に
挑戦すればいいのですね。」
なんとも理解の早い神屋であったが、このくらい日常業務で理不尽な客の要望にも対応して鍛えられ
ているので話を合わせるのは得意であった。只表では冷静だが内心はまだ状況を把握できておらず先
ほどのアリスの言葉を反芻する。
「…恐ろしく理解が早くでびっくりです。他の皆さんはもう少し驚いたり、怒ったりするんで怖かっ
たんですが、神屋さんは驚いたりはしないんですか?なんで自分が!?とか。」
「それは私が銀行員でアリスさんがお客様だからですよ。お客様は神様と言って本当に神様の使いっ
てことには吃驚していますが。今までの経験からこういったことに慣れているのも大きいかもしれま
せんね。」
そう神屋は自嘲気味に答えるとアリスは大きく目を見開いて今までのオドオドとした態度も忘れて呆
けていた。神屋は美少女が驚いている顔もカワイイなと考えられるくらいに落ち着いていた。
「今回私は挑戦者としてその世界…異世界に行って天空の城へ行き、【王の間】ですか?そこへ行け
ばいいのですね。それでは挑戦するにあたってルールなど有りましたら教えて頂けないですか?」
「分かりました。それでは創造神様より決められたルールをお教えします。質問などが有りましたら
その都度お聞きくださいね。」
そういうとアリスは再び真面目な顔に戻し神屋に対して説明会を開始した。
1.神屋洋の職業は商人として天空の城に挑戦をする。
2.この世界はスキルを扱うことができ、挑戦者には3つのスキルを神様より与えられる。
3.最終目標は天空の城に挑戦し王の間へ至ること。その際方法は問わない。
最初から突っ込みたくなるのはなぜだろう…。
職業が商人に決まっているのは?気にしたら負けなのだろうか……。しかも俺商人じゃなくて銀行員
なんだけど、若干似ている気もしないではないけど…。
それにスキルとは何だろう?昔やっていたゲームに対してなら少しは知識はあるがそれが現実になる
とどうなるのか。
それでもかなり大雑把な気もしないでもないが、求められている要望には全力で答える。それが俺の
お客様に対するルールだ。
気持ちを前向きに考え、質問を考える。もしかしたらこの状況はゲームとしてのチュートリアルのよ
うなものでこれが終ると一人での挑戦が始まるのだろう。まずはルールの中にある幾つかについて聞
いてみる。
「職業が商人というのは決まっているのですか?それにスキルを与えられるというのは?」
「職業は決まっています。今回神屋さんへのお願いは商人として天空の城に挑戦してもらうことなん
です。そしてスキルは神屋さんにスキルを決めてもらうのですがあまりにも現実とかけ離れるような
スキルは与えることができません。あくまでもヒトとして挑戦してもらう為ということでご理解下さ
い。」
スキルか…自分で選ぶことが出来るというのは嬉しいが実際には何を選べばいいのだろうか。
戦うスキルなのかそれとも魔法を使えるスキルか、海外を巡っていた時には何度か危ない橋を渡って
きたので多少の格闘はできるが、剣と魔法の世界でも当てはまるのだろうか。
全然わからん!!
多少いやかなり迷ってしまい苦渋の顔をついアリスの方へ向けるとアリスはまたびくっと体をちぢこ
ませていた。
「もしかして何かお困りですか?スキルについてはとれるモノを神屋さんの頭の中に送ることもでき
ますけど…えぇっと忘れてた訳ではないんですよ。たまたま噛まなかったから安心してただけなんで
す。」
そんなことが出来るんなら最初に言って欲しかったがともかくこれで少しは参考になるかもしれない。お願いしますと言うと頭の中にいくつものスキルが浮かんできたがその中で俺は3つのスキルを選んだ。
『鑑定』『アイテムボックス』『発見』
これでスキルも決まった色々と考えたが商人として活動する事を第一義に考えた結果こうなった。
多分他の人に言わせると難易度が上がったと言わざる負えないが俺から言わせてもらえればこれがベストだと思う…よな?
「それではスキルもお決まりになったようですので異世界に転送したいと思うのですが、神屋さんには創造神様だけでなく私からも期待しています。是非とも無事に【王の間】にたどり着けることをお祈りしています。頑張ってくださいね。」
そういうとアリスは両手を上に翳し何か呟くと神屋の足元から光状の輪が現れた。
その光に包まれる中で神屋はアリスに前々から聞きたかったことを聞いた。
「出来るだけ頑張ってみますよ。これでも地域では有名な銀行員でしたからね。アリスさんの要望に応えられるかはわかりませんが自分なりにやってみたいと思います。最後にこれから行く世界の名前を教えてくれませんか?」
「異世界の名は『ジクラリス』です。」
ジクラリス…神屋は呟きながら2度目となる意識を手放した。