4/4
終章
静寂が、街を支配していた。
灰色の膜は雲散霧消し、溶けかかっていたビル群も、街路を脈動させていたコンクリートも、すべてがただの瓦礫へと帰していた。かつて街であった場所には、地平線まで続く平坦な荒野が広がっている。
藤本は、荒野の中に立っていた。
足元には、役目を終えた空の木箱が、まるでどこからか流れ着いた漂流物のように転がっている。
彼は拾い上げることもなく、木箱に背を向けた。
冷たい風が、藤本の頬を撫でていく。
空には、この街の明かりとは無縁の、どこまでも高い空が広がっていた。
彼はただ、自分の足跡だけを地面に刻んでいった。




