同胞食べてたってマジ?
「疲れた……」
お昼に衝撃的な話を聞いてからかなりテンションが落ちてしまったけれど何とか仕事をやり切った私は、漸くたどり着いた自宅のソファーへダイブした。
「まさか、人間の魂が材料だったなんてなぁ」
今まで食べていた物が人間だったとは……。
いや、悪魔が人間を食べるというのは別に不思議でもないのか。創作などで魂と引き換えにとかって契約しているから魂は好きなんだろう。
人間が動物を食べるように、悪魔は人間を食べるのだ。
禁忌でもなんでもない、ただの食文化。
当たり前の事。
頭では理解できる。
分かっている。
でも、だ。
私は私を人間だと認識している。
だから、私は同胞を食べたという事にどうしようもない嫌悪感を感じていし、もう食べたくないと思っている。
しかし、悪魔の食べる物はアレしかない。
私はアレを食べる事でしか生きられないのだ。
覚悟が足りなかったのかもしれない。
私には、悪魔になったのだから悪魔として生きると決める事もできず、かと言って元の世界に絶対帰ると決めることも出来なかった。
ただゆったりと生ぬるい現状に甘んじて、なんか自分の都合の良い感じにならないかなと漠然と考えていた。
そのツケが回ってきたのだ。
しかし、残酷な事実を突きつけられたとて答えは出ない。
元の世界に戻る方法なんて分からないし、かと言って悪魔になりきる事ができる気もしない。
こんなにも叩きつけられながらそれでも選べない自分に少しうんざりする。
「あー、でも考えても仕方なく無い?」
分からない物は分からないのだ。どんだけ考えようと答えが出る気はしない。
分からないことが多すぎて、どちらの覚悟を決ようにも判断材料がない。
「まあ、とりあえず保留にするか」
白黒つけずに曖昧にするのは得意だ。
とりあえず、目の前の問題を脇に置くことにする。
答えのない問いに答えを出そうと悩み続けるのはナンセンスだ。
こういう時は自分が答えを決めたいと思うまで放置が良い。
それまでは問題は無かったことにしよう。
そういうのは得意だ。
「とりあえず、お腹減ったからご飯食べよ」




