食は見栄えも大事!
青い作業着に着替えるとリーダーと名乗る男に説明もそこそこにベルトコンベアまで連れていかれる。どうやら私の持ち場らしい。
「ベルトコンベアに食品流れてくるんで配置がバラバラになってる目を正しい位置に配置してください」
「配置がバラバラ?」
「食品は魔力を注入されたばかりで不安定なので配置がバラバラなんです。それを見栄えが良いように治してあげるんですよ」
「…はぁ」
意味がわからなくて生返事を返すと男は困ったように笑って見せた。どうも、意味が分かってないのが伝わったらしい。
「あー、基本的に完璧な姿で出荷されますからよく分からないですよね。えって、ちょっと待っててください」
「あ、はい」
どうもリーダー親切な人のようだ。少し安堵しながら彼を待つ。にしても、食品がどう作られているか知らなかったし気にもしてなかったけれど目がついているのだ。転生前のように畑で育ってるわけないか。どうやら魔力を注いで作るらしいけれどどういう事なのか好奇心が湧いてくる。
「お待たせしました」
色々考えているうちに帰ってきたらしいリーダーの方を向くと彼の手には食品があった。
「…確かにバラバラですね」
「そうでしょう」
普段私が見慣れてるそれはアイス部分の真ん中にバランスよく2つ並んだ状態なのだが、リーダーの手にあるアイスクリームは目玉がアイスの頂点部分に1つ、コーンの下部分に1つというだいぶ離れ目タイプだ。それらがそれぞれ好き勝手な方向にキョロキョロと周りを確認するように瞳を動かす様は正直不気味だ。
「キモイですね」
思わず正直な言葉が漏れるとリーダーは苦笑する。
「そうです。なのでこの目玉を正しい位置な配置するんです」
そう言ってリーダーはアイスクリームをベルトコンベアの上に乗せ、両目を容赦の欠片もなくガッシリと握りしめ力技でアイスの中央部分に配置してた。握られた目玉が手の中で忙しなく瞳を動かし、大粒の涙をこぼしている。
「…これをやるんですか?」
「ええ、そうです。簡単でしょう?」
物凄くにこやかに言われたけれど、正直ドン引きだ。嫌すぎる。人として遠慮したい。
いや、今は人じゃないけど。
というか、知りたくなかったこんなこと。
これから食事する度思い出しそうで嫌だ。
食べる時は動かないのでそういうものかと思っていたけれどこの状態で動くのか。
目玉がある事を除けば転生前に食べていたものと同じなので考えた事なかったけれど、実はこの姿で生きてて、生のままバリバリ齧ってたってことなのかもしれない。
「大丈夫?顔色悪いけど体調悪い?」
リーダーが心配げな顔でこちらを見てくるので、笑顔で頷く。(若干引き攣っていたがそこは許して欲しい。)
「大丈夫です」
ようやく自立の1歩目なのだ。ここを逃せばせっかく紹介してくれた父親の顔に泥を塗ってしまう。
第一、食べるものはこれしか無いのだ。
解決策が無いことを悩んだとて自分が生きていくのが難しくなりそうなので考えるのを放棄する。転生したくせに特にチートパワーなんて授からなかった雑魚にできることなんて社会の歯車となって淡々とお仕事するだけだ。
「あっ、食品によって位置が決められてるから気を付けてね。ベルトコンベアの下に図がのってるから参考にしてください」
「分かりました」
「食は見た目も大事ですから。美しい食品になる様に頑張ってください」
「はい」
さあ、これから初仕事だ!
思いついたら書く感じでのんびり書いていきます。
ゆったり気楽に読んで頂けると嬉しいです。




