人気作からパクるなら、設定ではなく「ブレンド比率」をパクれ、の話。
ほぼ同時期に、ほぼ同じ設定で書かれた作品、AとBとがある。Aは大ヒットし、Bは見向きもされない。この二作の間に横たわるのは、ほんとうに文章力の差だけなのだろうか?
文章力はもちろんだが、作品が持つ「空気」も大事だ。
出発点となる設定が同じでも、片方は軽快で、片方は重苦しい。これならまだ、ウケの理由も理解できる。だが、似たようなストーリーラインでもあるのに、なぜか大差が生まれる。それはやはり、その作品が持つ「空気の違い」程度でしか、なかなか言語化は難しい。
―― で、思い出したのが、ChatGPTが文章を分析する時に行っている作業のひとつ「意味マッピング」だ。その作品の構成をマッピングし、数値化する。いわゆる様々な要素の「ブレンド比率」のレシピ的分析である。
試しに、なろうからメガヒットし、漫画やアニメも絶好調な、例のスライム漫画を簡易的に数値化させてみた。あくまでも著作からの本文抽出ではなく、法に触れない範囲での学習だとChatGPTさんは言っていたので、そのへんは、やんわりとアレである。
<構成バランス>
(要素 割合の概算 説明)
・冒険・探索要素 30% 新たな土地や種族との出会い、世界のルール発見など
・バトル・アクション25% 魔物・人間との戦闘、スキル発動シーン
・政治・組織運営20% ジュラ・テンペスト連邦の国づくり、交渉
・仲間との交流・日常描写 15% 宴会、雑談、コミカルな掛け合い
・成長・スキル獲得過程 10% 能力強化、レベルアップ、進化イベント
<感情トーン(感覚的な配分)>
・明るい・楽しい 40% 仲間との交流、平和な日常
・緊張・危機感 25% 敵対勢力との交渉、戦闘直前
・勝利・達成感 20% 戦闘後の勝利、国の発展
・哀しみ・喪失感 10% 仲間の死や過去の回想
・その他
―― 簡易な数値としては、こんな感じである。
長期的な連載作でも、読者が離れずに読まれている作品が持つ「バランス感覚」は、ロングヒットの鍵とも言える。プロットを作る際に、こういった数値も参考にし、書いてみると案外売れやすいのかもしれない。商業作家を目指すのならね。
自分の好きな尖った作品を数値化させ、分析してみるのも面白い。すでにAI分野における創作では、こういった数値研究も進んでいるとChatGPTさんは、答えていた。うかうかはしていられない。
ChatGPTに、自分の短編などを評価させた際に、返ってくるアドバイスも、この数値化の作業からChatGPTなりの「黄金比」が存在し、そこと比較して、過不足を指摘しているのだろうな、とこの記事を書いていて、ふと思った。