朝飯と昼飯の話
朝食はベーコンエッグでした
「一緒に美味しいハムエッグになろうね!」
そう言っていたタマ子がベーコンと一緒に出て行った。
「なーに、彼女の代わりはいくらでもいるさ!この子なんてどうだ?」
励ましてくれたのは友人のキャベ次だが、彼女の代わりなんて考えられなかった。
「私、姉の…タマ子の、妹です」
キャベ次が連れてきたのは彼女に瓜二つな妹のタマ美、聞けばそっくりな兄弟姉妹が更にいるという。
けれどよく似た姿を見ると余計に心がささくれだってしまい、俺はすっかり腐ってしまっていた。
「公三さん!」
そんな俺を見捨てずに、タマ美は話しかけてくれた。次第に心がほぐれていった。
「タマ美、キミさえよければ…俺とハムエッグになってくれないか!」
決してタマ子の代わりではなく、キミだからこそと思いを告げる。
「公三さん、嬉しい!でも、私…「公三!ハムエッグなんて水臭いこと言わずによ!3人でホットサンドにでもなろうや!」
「キャベ次?!何を言ってるんだ!?」
「タマ美は良い子だろう?誰とでも仲良く出来ちまう!もちろん俺とも相性がいいのさ、なあタマ美!」
「…」
タマ美の顔が真っ白にそまり、固くなる。それと同時に俺の顔が火であぶられたように熱くなるのを感じた。
「ふざけるな!タマ美に何をした!」
「おいおい、タマ美をお前に紹介したのは俺だぜ?俺が先、お前が後だ」
「黙れっ!」「公三さん!」
カッとなり思わず殴りかかるが、突如タマ美に遮られる。
「タマ美?!」
「ごめんなさい公三さん!でも…きゃあっ!」
キャベ次がタマ美ごと俺を白い床に押し倒す。
「キャベ次!」
「みんなで仲良くするのが一番だろ?タマ子とベーコンの時は俺は添え物だったからな」
「…何の話だ」
「タマ子はお前に謝ってたぜ?『ベーコンエッグになったらもうハムエッグにはなれない』って泣きながらなあ!」
突然知らされた事実に俺もタマ美も口を開くことが出来なかった。
「…まあもうおしまいだ、公三。俺とお前とタマ美でホットサンドになるのさ!」
言うが早いか、キャベ次の狂気的な笑みと共に空が落ちて―――――
パン
千切りキャベツ
目玉焼き
ハム
パン