表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/23

楽な機械

私の勤める売り場にお客さんがやって来る。ほとんど人など来ないのだが珍しい。お客は中年の男性だ。

「これはどうやって使うのかね?」

傲慢な口調にちょとむっとしたが、丁寧に答える。

「これは、全自動食事機でございます。箱にセットされていますボタンを押しますと、体に無痛針から栄養剤が注入されます。もちろん栄養バランスもバッチリです」

「確かに便利そうだが、食事は自分で食べたいものだ。注射一本で終わってしまっては味気ない」

「それならこれはどうでしょうか」

店の奥からヘルメットのついた新しい箱をだす。

「これを使えば、和洋中の素晴らしい料理の数々を、食べた気分になれます。使い方も簡単、ボタンを押すだけです」

「確かに、素晴らしい機械だ。しかし、壊れたときはどうするのだ。複雑な機械だろう」

「ご安心下さい。10年以上の保険と、こちら、全自動修理器もお付けします」

私はまた、奥から箱を持ってくる。

「たしかに素晴らしい機械の数々だ。しかし、これは買えないな」

「どうしてでしょうか。値段も勉強しますよ」

「そうではない。これらの機械を、家に置く場所がないのだ。ただでさえ今も、家は機械で溢れている。これ以上増やすなら、家を買わなくてはいけない」

そう言って、お客さんは帰ってしまう。まったく、家が一杯になるぐらい機械を買うなら、なぜ機械にならないのか。

誰もいなくなった店内で、私は日課の関節のオイル交換に戻った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ