狩りのやり方
狩人が森で狩りをしていると、もしもし、と小さな声で話しかけられた。
人などいない森だ、警戒しながら周りを見ていると、白いウサギが足元にいた。
「カリウドさん、カリウドさん。美味しい木の実があるところを知ってるよ」
まずウサギがしゃべったことに驚いた。だがこの親切なウサギは木の実が取れる場所を教えてくれるらしい。狩人も食べ物を、少しでも多く取りたいのでうれしい話だ。
「こっちこっち」
さすがにウサギの足は早く、追いかけるのが精一杯だ。
ひたすら追いかけて、こちらも疲れ始めた頃、周りの藪がガサガサと鳴る。
ガルル、と低い唸り声。虎だ。
「あぶない、あぶない。こっちこっち」
疲れていたところに、急に現れた虎に度肝を抜かれ、判断力を失っていた狩人は、素直にウサギに従い後を追いかけていく。
ザザッ、という葉の擦れる音と同時に、足に鈍い痛みが走る。小さな落とし穴だ、小さな穴だが狩人をこけさせるには十分だった。しかし、足の痛みはそれだけではなかった。蛇だ、しかも猛毒を持つ毒蛇が足に噛みついていた。
「できた、できた」
逃げたはずのウサギが戻ってくる。
「お前がやったのか」
「私達はお前たちの真似をしただけだ」
さっき現れた虎が説明をする。虎も共犯だったのか。
「餌で誘い、誘導し、穴に落とす。全てお前がやったことだ」
毒のせいか意識が薄れ出す。動物達が鳴きながら身体をくねらしたり、飛んだりしている。勝利の踊りでも踊っているのだろうか。しかし、獲物である動物に狩られるとは…無念だ…
「ウサギよ、この者は最後無念そうにしていたがなぜだ?」
「なんででしょう、彼らはこうして身体をくねらせていれば、この者は神様のところ行くのだ、幸せだろう、とか言ってましたけど」
「よくわからないな。ところで神様とはなんだ?」
「腹のことじゃないんですかね、食べてましたし」
「食べられて、幸せなのか。人間とはわからんな」