第5話:妄言■
遅れましたすみません、サボってました。
〜これまでのあらすじ
尋問のち、突然ドローンによる爆撃を受ける。回避した。
↓
アイワ君によると、とあるビル一階の『皮膚科』に、『敵組織のアジト』があるらしい。
↓
アジトに当たる皮膚科に向かう
↓
追跡者からの情報から、合言葉を正解する。
↓
受付嬢さんを人質に。
目的の階に辿り着くのはそこまで億劫でもなかった。僕が勝リ者ゆえのものなのか、はたまた例の連中との対峙への緊張感がその疲労を忘れさせているのか・・・その二者択一を判断できなかった。
「ミヤビはそのままに・・・今から開ける。」
人質を脇に、その部屋の前にて立つ僕ら。緊張感滲むのは俺だけでなく、ミヤビも然りだ。ドアノブを掴むその手の、滴るような汗を見逃せない。
「ああ」
震える声で応答する俺の、その頸にもこんな冷や汗が噴き出ていたに違いない。けれど見栄っ張りはお互い様。互いが互いの覚悟を裏切ることは許されない。ゆえに後退という判断は、頭から離さなければならなかった。
緊張感に支配された情緒を置いてけぼりに、僕は扉を開いた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」
呆けた声を出したのはミヤビ。僕はあくまで平静に・・・・・というか、だろうな、というか。
部屋の奥行きは、予期していた間取りより広い。特徴といえるのはその小綺麗さ。ここら壁色の衰えとは裏腹に、真新しい表層が奥にまで広がっていた。
ただ、そんなことは問題ではない。問題なのは、それが件の監獄にて見たあの小綺麗な部屋と全く同じだったこと。
「Welcome♪・・・ここまでの進入ご苦労ね。」
緊張感に飲まれた僕の意識を引き戻したのは、よく通るような女性の声。
浮世離れした女だった。日本人らしからなぬ金髪、白衣とその中央にてのぞかせる水色ボーダーTシャツの、明らかに丈の合わぬ長さ。最も奇異だと感じたのは、丈の長いトップスを前掛けに、スボンやスカート等のボトムスを穿いていなかったこと。
その空間の中央にて足組みし、待ち構えていた彼女・・・その背後にて、覆面姿の六名ほどが、銃のようなそれらをこちらに向けていた。俺自身、軍人や傭兵なんてものを見たことはないが、彼らの半身を黒く纏う分厚い装備品の数々が、彼らを只者でないと認識させる。
「ん・・・ああ・・あ・あ・・・・・日本語ってのも難しいものね。今はようこそって」
「流石にそれくらいは知ってます。義務教育舐めないでください。それにしても傭兵、か・・・・・まるで、僕らが来ることを分かっていたようで。」
我ながら焦燥の孕む声だった。予測外への緊張なのか、目の前の女性に対する恐れなのか、あるいはその両方か・・・。自分でもよく分かっていない。
「ん?・・・んん?・・・私から見れば、あなたたちの作戦は穴だらけだったと思うのだけど。気づかれることも不思議ではないでしょうに。」
「できる限り気づかれないようにしたつもりでしたがね。で、どこで気づいたんです?監視カメラ?ドローン?・・・どっちも検知できなかったんですが?あるいは、雇った全員をしっかりと覚えていたとか?」
先ほどの追跡者から建物構造の情報を得ている。だから、一階にも外階段にも監視の目がないことを知っていた。それなのに、この女はどうやって僕らを検知できたのか。
「合言葉」
勿体ぶらずに女は答えた。まるで答え合わせに翻弄される挑戦者を嘲笑うように。
張り付いた空気に耐えられなかったのか、ミヤビがその女に捲し立てた。
「は?・・・いやそれは俺たちは正しいやつを・・・・だって受付嬢も・・・」
「んんーーーー・・・合言葉はね、時間によって変化するのよ。」
「じゃ、じゃあなんでこの女は・・・」
確かに先ほど彼女には『疑問はなかった』。もし時間によって変わるなら、彼女だって気づいていたはず。そうすれば僕が検知し、なんとかしたはず・・・・・いや、彼女が知らなかったと言うことは。
「・・・・・・シフトか。」
「That's right!」
ポツリとつぶやいた僕に対して、子供のようにその解を喜ぶ女。
「どういうことだ?」
未だその問いに置いてかれたミヤビに、僕は短めの補足を入れる。
「受付嬢は何人かいて、知っている合言葉もそれぞれ異なるってこと。この女の持つ情報は、ドローンから得られた情報ただ一つ・・・『追跡班の一人が誰かに捕まっていた』こと。そして多分・・・僕らが情報を吐き出させてからここに来るまでの時間が本来『シフト変更のタイミング』があった時間だった。けれどこの女は、件のことがあったから受付嬢に出勤時間の延長を伝令した・・・てところかな。そうすれば、間違ってる方が正解になる。」
人質の受付嬢の方へ一瞥し、シフト延長があったかの答え合わせを行う。言わずとも、言葉では隠そうとするも、彼女の目はすぐに肯定の意を返した。
「妄言をどうも、と言いたいところだけど正解。もし間違いが入れば、こちらの方に連絡する手筈。残念だったわね。あと十数分早く来ていれば、シフト変更前に来れてバレずに済んだのに・・・・あるいは、ここまで読んでて来たのかしら?その人質を見るに。」
「保険は効いた、ということでしょう。」
判断は正しかった。人質を取るのは、『見えない監視に引っかかった場合の保険』だったが、このような形で実を結ぶとは。
「さて本題に入りますか・・・・あなたが黒幕か?だったら、なぜ僕らは追っていた?爆破事件の生き残りだからか?」
「私に自分語りでもさせるつもり?ハリウッド映画の悪党みたいに?・・・・なんてね、異名の一つくらいは教えてあげる。」
美麗な足を組み直し、白衣を軽く揺らしながら、女は言の葉を紡いだ。
「ハカセ・・・と呼ばれている者よ。名の通り、この組織の『薬品管理』を担当しているの。私は。」
「貴方は、なぜこんなことを?」
「目的は教えない。経歴も教えない。貴方は恋人の過去探りするような恋愛初心者なのかしら?」
この女は果たしてまともに会話する気はあるのだろうか?話が長引いてくれるのは都合がいいが、人死が出ている以上、お茶目な態度などというのは、甚だしく不快なそれだ。
「ふふ。冗談よ、冗談。あらあら、そんなに睨まないで・・・・お詫びに教えてあげるわ。目的でも、概要でもなく、主観のみだけどね。」
「主観、ですか?」
首を傾げる僕に、ハカセ(仮)は両手を広げ、抑揚良く、大々的に宣った。
「たとえば・・・・貴方たちは、海に来た時こう考えたことはあるかしら?『こんなに広くて、綺麗な美しい海と比べれば・・自分の悩みなんてちっぽけなもの』だなんて」
「・・・ありますよ」
「じゃあ、こうも考えられない?所詮、私の行った『咎められるべき罪』も然り。この地球と比較するならば、些事なのだと。文字通り、心の膿にもならないわ」
「・・・・・」
その理屈で言えば、確かに全ての『悪』は許されるものとなる。このように、常識人が用いている『理屈』で、ある種の『屁理屈』が生まれるのは良くあること。ただし、大抵の場合、そんな『屁理屈』は、また異なる『常識』と相反することとなる。
「でも・・・・・・・・時に、人命は『地球より重い』」
「へえ?」
「それは、件のデパート爆発の犠牲者も然り。そして・・・人質の場合も。」
視線を人質の方に遷移する。怯えと苛立ちの孕む彼女の瞳に、幾ばくかの謝意を、内心にて宣う。
「・・・・・だから僕らは、できれば彼女を傷つけたくない。あなたも彼女が傷つくのは利にならない。表側の人間に何かあれば、公安に勘付かれるものだからね。何なら、ここで銃声なんて起こせば、すぐに警官が飛んでくるだろう。」
何か大きな物音があった場合のために、扉を開いたままにしてもらっている。
互いが互いの致命傷を握っている。優勢がこちらに向かなかったのは残念だったが、これなら対等な交渉に持っていけるはず。
「・・・・・・ああ、そうね。彼女も立派な私の仲間。参ったわあ。心配で手が震えるわあ・・・」
泥酔したように、頭を揺らす白衣の女。不意にこちらを・・・・俺が腕に押さえつけた受付嬢の方へ目線を移す。しかし言葉とは裏腹に、その目に心配の相は見られな・・・・・い?
「ミヤビ!!!」
「え?」
その悪意を検知し、ミヤビを受付嬢ごと左側方へ突き飛ばす。ミヤビのその表情が、そのワケに『なぜ』を問う寸前、空気を裂く音が聞こえた。
「・・・が、ぁ・・・」
「・・・っ!!おい!!」
右腕側方部にて、木目のような軌道で血が垂れ流している。そしてその視点にあたる深い傷穴・・・その空間的位置は、わずか数秒前にあった受付嬢の眉間部と等しかった。
一方のハカセは、ミヤビにその拳銃を向けていた。
「音が・・・・で、ない?」
「そっ、これ改造版ね。・・・射程は短い分殺傷力は十分っての」
音は小さく、夜に轟かすにはあまりにも弱い。拳銃が日本にあること自体信じられないのに、このように改良されているなど予想にしなかった。
「・・・・・・なんの・・・・何のつもり、ですかっ!?」
激痛に顔を顰めながら、瞳を女から逸らさないよう努める。
「ん・・何が?」
「あなたにとって彼女は・・・!!」
「うーん、そうね!!ああ・・・心苦しいわあ。そんな大事な彼女にこんなことするなんて」
改めて受付嬢の方に銃口を向けるハカセ。ハカセの殺意が本物と理解してか、受付嬢は、いつの間にか脱力していた。顔を見れば、あまりのショックに気絶しているようだった。ミヤビは、その嬢の前に出るように、改めて立ち上がる。
「へえ・・・レディのために命張れるなんてカッコいい男じゃないの。けど・・・」
「・・っが・・・!?おま、え・・・」
そのミヤビの、立ち上がったばかりの脚が撃ち抜かれる。それは女によってではなく背後にいた傭兵によって。どうやらそれらの銃口は、すでにこちらを向いており、撃ち抜いた者以外の全員が、『撃ち方用意』の体勢に入っていた。
「言っておくけど、この娘の代わりはいくらでも居る・・・・・あなた達からすれば、人質としての価値がないと、交渉の余地はないのよね?私が蹂躙するか、あなたが首を垂れるか、そのどちらかしかない・・・・ただ、あなたたちにも興味を持ったわ。今こちら側に付くと約束するなら命の保証はしてあげる。」
「・・・・・・・・・俺、は」
ミヤビはその提案への思考に、黙ってしまう。
首を縦に振る作業一つするだけで、一応の身の安全は確保できる。とはいえ、この女とその裏に通ずる奴らが碌でもない連中ことに間違いない。第二の手として、強引にキセキを使うべきかどうか・・・その二者択一に悩んでいるのだ。
「ミヤビ・・」
思考に準じるミヤビを嗜めるように、名を呼んだ。
「今はまだ・・・・・・・こんな連中にキセキを使う・・・価値は、ない。」
「へえ・・・そう言うこという?随分と侮られたものね」
ハカセへの挑発と、ミヤビへの提言の両方を済ませる一言。どちらかといえば後者寄りだが。
「そりゃ舐めたくもなりますよ。僕一人に情報丸裸にされるほど甘いような、こんなお粗末な組織。あのデパートの件のトリックも・・・・・・・・・・後は、あなたのキセキも大体割れましたし」
「・・・・・・・・・・・・は?」
呆けた声を上げたのは、ハカセの方だった。きっとミヤビも同様の心象だ。なんせ今、この女と対峙してわずか数分程度も経っていない。心を解明するには時間もまだ足りてない。『心象読み』を頼りにするならば、キセキを読み取るにはまだ早い。
「妄言も大概にしなさいな。あなたは・・・あなたはあの件で私を見ていな」
「光を操るんでしょう?」
「・・・・・・・・・・」
推し黙ったのは、ハカセの方だった。妄言と評する割に、その反応は明らかなものだった。この無言の間にて、こちらを一瞥するミヤビへ、肯定の意を示すために、首を縦に振った。
「妄言でしかないけど・・・・・全部言ってやりましょうか?爆破事件のからくり全部。」
「よく言うわね。そんな時間与えるとでも?」
「確かにそんな時間なんて僕に与えるなんて事しない、普通は・・・・・・・でもあなたは聞きたいでしょう?」
彼女を挑発するように、僕は立ち上がる。痛みの薄れたその手を離しつつ、あくまでキリキリとなるそれに、痩せ我慢する。
「あなたはそういう人間だ。自分の作った作戦を、そのからくりを・・・・最後まで明かされてはならないその秀逸性を、誰かに気づいてほしい。心の底じゃそう願っている。そんなGM的思考を捨てきれない・・・違いますか?」
これは、ぼやけた彼女の心象を覗いた結果、得られた彼女の性格情報。しかし・・・・仮にその願望が正しいものだとして、理性が願望に打ち勝ってしまえば、この挑発も意味を成さない。その場合によって起こる緊急事態のために、僕は拳を握りしめた。
「・・・ぷ」
沈黙に一文字を差し込んだのは誰だったのか、声音からして明白だった。
「あは、ははははははははははははははははははは」
空間に蔓延った、緊張の線を切りさく、彼女の高笑い。突然のそれだったので、僕もミヤビも・・・きっと周りの傭兵たちも困惑していた様子だった。
「ああ、いいねいいね・・・面白くなってきわ。」
足組みを解いたハカセは、自身の膝に肘を置いたかと思えば、顔前にて両手を組む。
「全員銃を下ろしなさい」
「ハ?ヨロシイ・・・・ノ、デスカ?」
背後にいた傭兵の一人が、信じられないという顔で女に声をかける。それに一瞥し、しかしその独りよがりを、ハカセは止めることなく、
「いいわ。聞かせなさいな、その妄言ってのを」
その瞳には、理性に勝る興味が詰まっていた。
火種の燻りがいつまで鎮火してくれるかは、ハカセの気分次第。興味を失った時点で、戦闘が勃発する恐れがある。そのため、彼女の言葉を皮切りに、すぐさま言の葉を紡いだ。
「まず怪物のキセキ、『空間操作』と・・・・あのデパートから僕たちの位置が変わってなかったことから、あのデパートが怪物の空間の一部になったと考えています。なので、もう一つ『空間生成』能力があった。例えば・・・この空間をモデルにして」
「・・・そうか」
それを聞いてか、ミヤビもあの牢獄の一部屋の既視感に合点がいったようだ。
「怪物・・・・・・ああ、シラマキのことね。確かに奴の力にそういうのはある。よく気づいたわね・・・おおっと、これ以上はメっね。あなたの考えを聞きたいもの。」
シラマキというのが件の白い怪物の名前なのか。
アレのことはいまいちよく分かっていない。川島さんから這い出た寄生生物のようなものというイメージ。しかし、そこに心や意志を見出せた。その不可解性を知った時点で理解を諦め、『そういう個体』として見ることにした。
「その空間生成能力について考えた時に、僕は、なぜ僕ら二人だけが元の空間に戻れたのか、そしてその・・・・シラマキがデパートの客を綺麗に一人残らず監獄に持ち込めたのか・・・・・この二つを解するために必要だったのが、ある仮定の証明だった。」
「仮定ってのはもしかして、お前が言ってた勘のやつか?『現場の近くに拠点がある』っての。」
「よく覚えてるね。それが達成された時点で、前者・・・・僕らだけが元の空間に戻れた理由は理解できた。」
「勿体ぶらずに言いなさいな。つまらないことをぐだぐだ言ってると撃ち殺すわよ」
彼女の殺意が消えたわけではない。いつ戦闘が発生してもおかしくない状態なのだ。決して緊張感を解いてはならない。
「つまり・・・空間の『起動』と『解除』には、『条件定義』を付け加えることができたんです。例えば・・・・起動時は『生者を取り込む』、解除時には『生者を解放する』とね。」
「・・・・・・てことはよ、あの場で俺たち以外生きてるやつが、もういなかったから・・・でも、死んだやつはどこに?」
「始点・・・・・空間生成を作る初期位置にあたる、ここ・・に集まったんだ。要は・・・・・条件っていうのは、回収用のフィルターなんだ。死体=『ただの物体』だけは解除時に始点に集まり、生者はその場で解放される。」
「今いちピンとこねえが・・・・・そうだ。水と砂の混じったバケツから、両手で掬ってぎゅっとやりゃあ、水は落ちるが砂は残る。ここでの俺たちは水で、その他の死体は砂、両手は怪物の空間、掬う行為が『空間の起動』で、握る行為が『空間の解除』・・・・ってことかよ?」
脳をフル稼働させ、解を噛み砕いたミヤビの例に、僕は深く頷いた。
「おそらくは僕らが倒されるか、屈服することがあれば条件に『生者』も追加するつもりだったんだ。その前に僕らが怪物を消したから、生者は最初の条件通りにデパートに舞い戻った。これで完全犯罪達成・・・・」
言葉が終わるか終わらぬかのタイミングで、ハカセはその節に割り込む。
「残念。あなたの考えじゃ、肝心の起動時に弊害が発生するわ。私たちはここの拠点が公安にバレないために、デパート外の人間を巻き込むわけにはいかないの。けれどあなたは『初期位置はここ』だと言った。これじゃあ巻き込んでしまうわね。」
確かに・・・デパートの内側ではなく、外側が初期位置だとするのならば、外の第三者を巻き込みかねない。もし、この現在地を中心に『通行人達が消えた』場合、警察の手はこの施設にも届くだろう。
「さあ妄言は終わりかしら。」
「生憎と・・・・僕はまだ起動時の条件を語っていないので。要は、条件が『デパートにいる人間』と定義できればこれはクリアできる。けど・・・『デパートにいる』は、相当抽象的な条件定義だ。」
僕は、改めてミヤビの方を向く。
「なあ・・・僕らは本来勝リ者として回収されるはずだった。ならその前に傷つけられるわけにはいかない。ならデパート中に何か無害なものを僕らが摂取、あるいは浴びることで、『条件達成者』になると思うんだ」
「お、おう?」
「あの爆発事件の時、僕らはそういったものを浴びたはず。それは、外の人間と致命的に異なると証明する必要があるから、きっとわかりやすくて見落としやすいもの・・・覚えているか?」
「・・・・・・・いやそれは」
僕もデパートにおける記憶はあまりない。なんせその後の凄惨な出来事が、トラウマとして上書きしてきたのだから。それでも唯一の記憶として脳内に残存する・・・・爆発の激しい音や、衝撃、そしてーーーー
「ひか、り・・・?」
「そう。それがこの女のキセキ。爆破音にカモフラージュし、強すぎるもあくまで無害な光。ゆえに、起動時の条件は・・・・・・『ある一定以上の輝度をもった生者』なんだ。」
※補足としてお伝えすると、これは終わった事件の原理なので、把握せずとも、物語を読み進めるには問題ないと思われます。なので、二度目の読み返しの際に戻ることをお勧めします。
『輝度』を簡単に説明すると、光を浴びた際に『体が真っ白になる状態』の『強度』のことを指します。
~アイワの想定した、事件時の状況
①本拠地を中心地とし、デパートを包むほどの、シラマキが巨大領域を生成。ただし、領域内に入ることができる条件は『一定以上の輝度を持つ生者』。(その他の第三者(デパート近くにいた通行人等)は領域内の座標にはいるが、『条件』を満たさない。よって、『次元』の異なるこの領域に、入ることができないし、視認すらできない。)
②アイワとミヤビと川島さんが目覚める、その時領域内には『この三人』と『遺体』があった。
③領域の解除(収縮)時、領域内に『残存する条件』は『死者のみ』。なので、ミヤビとアイワは解放された。