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第10話:再会

〜これまでのあらすじ

相変わらずアイワは登校中に苦しんでいる

昼休み屋上で、ミヤビとの会話。事件が全部解決し終わってよかったね!!

明後日、一緒に墓参り行く約束した。いい友達だね!!

帰り道、アイワ君は別ルートを使って下校

謎の女と遭遇。逃げる。その先で気づく・・・夜じゃん!!

女と問答。アイワ君は『あの事件に関わった』と啖呵を切る

戦闘勃発。女めっちゃ早い。というか〇秒で斬って来る。

女のキセキが『思考速度操作』であることに気が付く(同時に弱点も)

アイワ君、また胸を突き刺されピンチ。

少女からもらった硝子玉握りしめてパンチ

その時、不思議なことが起こった。アイワの血に反応して、硝子玉が槍に変わったのだ。

金色の長槍ーーーー『最優の反則手(シャガラグチ)』最大の強みは、その軽量性にある。槍としての規格を、ゆうに超える硬度や耐久性と、2m半程度の長さをもちながら、総重量は軽量のそれ。そのため、筋力に自信のない者でも、軽々と振りかぶることができる。さらに・・・・・・・・・












「・・・・なんだこれ」


線路の砂利道を疾走しつつ、内に溢れた情報を、少しずつ整理する。内容を一言で言えば、槍の用途に関するものだった。詳細一つを伝えずに、これを渡したであろう少女の意図が、少し理解できた気がした。とはいえ、どうすればこれが起動するのかくらい、伝えて欲しいものだが。


「まあともかく、あの子に感謝だよね・・・」


手元に携えた槍を一瞥しつつ、内心にて、少女へ感謝を告げる。できれば、直接伝えたいものだが、それはこの状況を、完璧に打開してからだ。


「おい待ちやがれ・・・ちっ・・」


女は未だ諦めず、こちらを追い回す。僕に何をするつもりか等、彼女の詳細な心象について、解析するにはあと5分以上かかる。対話の一つもすれば良かった・・・・・・などと、過去を恨んでも仕方ない。実際、挑発に等しいあの発言すら、僕は後悔していない。


先ほど、脇腹負傷によって生じた女の隙を、僕は最大限利用して逃走した。また、胸部に剣が刺さったまま駆けるわけにもいかず、逃走の最中にて抜き、側方へ放り投げた。それを拾いに行ったためか、僕と女との距離はかなりあるようだ。(隙も見せられないために、しばらく前方の景色に集中していて分からないが)


とは言え、駆けるペースも、砂利を踏み締める音も、女の方が遥に大きい。追いつかれるのは時間の問題だろう。


「またか」


心象読みにより、攻撃の前兆を検知する。おそらくは、件の思考速度上昇能力を用いて、時飛ばしモドキでもするつもりだろう。彼女が発動直前で『次手を意識』することで、過程を省略した次手を引き寄せる力。そのまま発動させてしまえば、思考速度に適さない僕に、攻撃を炸裂させるだろう。


「できるか?」


「・・・・おま、え・・・っ!?」


槍を後方に向けた僕を見て、直前でブレーキをかけた女。おそらく次手を短略と言っても、その次手とは『前に突っ込む』や『指を動かす』などの単純操作を一回できる程度のものだ。そして一度思考速度の変調が始まれば、時間の進みが早すぎて、その行動内容を調整することができないのだろう。


詰まるところ、こちらに擬似的な超高速攻撃をもって突撃したくとも、微調整できないために、こちらが向けた槍に、自ら直撃する恐れがあるのだ。


そしてそれが意味することは、彼女が思考速度変調を、他者に利用する場合、それが自分にも適用されてしまうということ。


「・・・っと!」


視界の先にて、夜間列車がこちらに迫ってきている。すぐさま側方の柵を乗り越えて、線路から転がり出た。尻餅をついた上体を持ち上げて、背後の女の方へ一瞥した。


「あれ・・・・・って!?」


視界の端・・・・見る角度がもう少し下方にあったのならば、間違いなく見逃していたと言える程の上空にて、女が夜を飛翔していた。もちろんこちらに向かって。


転がりながら、振り下ろされた剣を躱す。すぐさま上体を起こし、槍を女の方へ向けた。


「悪くない顔だ」


心の詳細は未だ読めずだが、どこか楽しげな表情を見せる女。その訳を心象に問う前に、女がすぐさま攻撃モーションへ移ったため、瞬時に思考を切り替えた。


こちらへ踏み込まんとする女の動きは、思考速度を弄らなくとも、常人離れしたもの。通常の僕なら捌けず、瞬殺されている・・・・というのも、心象読みによる近接攻撃検知は、僕自身が戦い慣れしていないこともあり、全く役に立たない。正確に言えば、近接戦時における『殴る』・『蹴る』の行動は、その攻撃意思から行動までの時間がほぼゼロに等しく、行動の微調整が取れない。昨日の特訓にて、心象を読んだ上で、ミヤビから一本も取れなかったのは、それが大きな要因だった。


「シッ・・・・鬱陶しいなその槍!!」


だが槍を用いるなら話は別だ。間合いに近づく女の剣技に反応し、どうにか槍で防ぐ。鍔迫り合いというか、押し合いに持って来られる前に、後方の遷移運動を繰り返せる。


リーチの長い得物が、二者間に存在すれば、踏み込んで攻撃が入るまでに、僅かながらの時間が生まれる。その延びた時間はコンマ数秒にも満たないが、近接時における攻撃検知なら、それで十分だ。


「いっつ!!・・・っと!?・・・・・ちょ・・まっ!?」


しかし・・・・・・突如として『斬り』から『突き』に転じた女の剣技。槍の刃先で剣先を逸らしつつ、身を側方へ寄せる。しかし、それらは一度二度で終わらず、何度も僕の上体を狙ってくる。すぐさま、槍を回転させるように、後方へ寄せ、前方へ寄せを繰り返し、直勘で何度もそれらを捌いた。


とはいえ、一手一手が紙一重である以上、奇跡が何度も起こるわけではない。逸らした剣の軌道が、何度も僕の肩や脚に直撃する。しかも、ある程度捌いて軽減したはずなのに、こちらに届く攻撃の殆どが、威力だけならば致命傷に至る規格。


「・・・っ!?」


足がもたついた頃だった。突如として放たれる、連撃の引き(・・)を思慮から捨てた会心の一撃。胸部に向いたそれを捌かんとするも、寸前で間に合わない。剣撃は、槍直下を擦らせながら、先と同位置の右胸部を貫いた。


しかし、それが避けられぬものだと検知および判断していた僕は、放たれる直前にて、すでに後方への脚力を込めていた。皮下数センチ抉った程度に抑え、後方へ遷移した。


「・・・っつぅ・・」


一応、胸を抉られたために、致命傷になり得ているかも分からない。冷や汗をかきつつ、自身の意識の安定から、暫定的に『大丈夫』だと判断。その一瞬の、素人らしい思考硬直が、致命的な隙だった。


「・・・・あめえ、なぁ!!」


再度こちらに踏み込む斬撃は、今度こそこちらに届く・・・・・そう判断できた頃には、女はすでに、間合いにて振りかぶっていた。


「・・・くっ!?」


水平に切り裂かんとするその刃を、僕は回避不可であると判断。それと同時に、心臓に届き得る軌道だと直感した。心臓が致命傷なのか等の詳細は、未だよく分かっていない。けれど、その曖昧性に殺されることを、僕は恐れた。


「フラン・マイニュート!!!」


「・・・は?」


だから僕は、奥の手として取っていた、彼女の『真名』を叫んだ。


やはりエルシーの時と同じ。彼女ーーーーフランは、名の開示に驚愕を示した。動揺は、僕へ向ける攻撃軌道に、わずかな遅れを付与する。それを見逃さずに、彼女の側方地面を転がり、その剣撃から逃げた。しかし、至近距離の攻撃を、寸前で躱すのには、無理があったのだろう。頭部の右側面、右耳上部辺りを掠った。


「きっ・・・くそっ・・・・」


思考に影響が及ばないように、痛みの伝達を無視する。回避後即時、僕は背後に向けて槍を突く。名を明かされた驚愕が未だ残るのであれば、不意打ちになり得るはず。彼女の思考が回避後の僕を捉える前に早くーーーーー


「・・・うそ」


直後、金属の擦れる音。咄嗟とはいえ、全力で突き刺した槍。その刃先を、フランは自身の掌で包み込むように受け止めていた。側面から掴むのではなく、確実に真正面から。


「まさか殺意の一つもないとはなねえ。弱え刃さ・・・・・ねっ!!!」


「あぐっ・・・!?」


鳩尾を攻撃始点に、後方へと蹴り飛ばされる。ビルからの自由落下と同等か、それ以上の重力が、僕の全身を駆けた。


彼女のは、自身の身体能力を引き上げるキセキではない。僕と同様、感覚にさらなるオプションを加えるタイプのはず。だというのに、ここまで・・・・・・ここまで力量差があるというのか。


「これが・・・ま、じょ・・・」


頭を弄られたかのように、視界のぐらつきが悪化する。外傷はないけれど、内臓の致命的な箇所に何かがあったと直感する。それでも起き上がらねばと、自身の脚部を見て、冷や汗を覚えた。なんせ、本来の膝関節の曲がりとは、完全に真逆の方へ歪んでいたのだから。


「アタシゃあな、お前を殺す気無かったんだ。まあ心臓潰しかけたのは、ちょっと熱が入り過ぎたってところさね。」


殺す気がなかったと宣う、フランの言葉に嘘は無い。つまり、今までの彼女は、一切本気を出していなかったということ。そんな彼女に対し、紙一重で喰らいつかなければ、生き残れなかった僕。初めから勝機などなかったのだ。


「要は試し斬り。帰ってアイツに尋問諸々させりゃあ色々、ええと・・・・・でも、もう名前知られちまってた。」


心象は、その『試し斬り』から明確な『殺意』へと切り替わる。そうしてそのまま、動けない僕の方へ歩みを寄せる。


「悪いな。このまんま死んでもらう」


自身の思考が、絶望的状況への思慮を捉える前に、フランの腕が振り下ろされる。ゆえに、何の感情も抱くこともままならず、その剣を受け入れ・・・・・・・・・・あれ?


「・・・なっ!?」


疑問符は僕の思考だけでなく、フランの心象にも然り。要因は、僕に到達する寸前にて、突如阻まれた剣。何かに弾かれた剣は、乱雑な金属音を地に撒き散らして落ちる。


「気は、済んだ?」


静寂に映えるその声は、僕らの心象を黙らせた。












「・・・・・・・え?・・・なん・・・で?」


声の先を見上げれば、三角屋根の縁側にて、あぐらをかく少女の姿。月光を背に映す身は、白いワンピースに加え、黄色のカーディガンを棚引かせる。極め付けは、茶髪のショートボブに、斜いたパッツン前髪。


間違いない・・・・・・僕が狂気に囚われたあの日、喧騒の街にて会った少女だ。


「あなたがなぜ、ここに・・・」


不意に少女が、こちらへと目を映す。にこりと微笑みかけるその顔の、逆光の内で輝る唇。そこへ目がいってしまった為に、件を思い出してしまう。軽い羞恥の孕む、自身の目を逸らしつつ、心象を平静へと整えた。


「ああ・・・そうかよ。そういうことか・・・・テメエが来たってことたぁ、まあそうだよなぁ・・」


心象にて怒声のボルテージを上げるフラン。それは当然、僕ではなく少女に向けたもの。


「フラン、彼を放って君は去れ。私も彼に用がある。君よりも重要案件なんだ、譲ってくれ」


その殺意を受けてか、立ち上がりざまにフランへ言い放つ少女。


少女がここにいるという現状、なぜかフランのことを既知である事実。様々な予測外へ翻弄された脳を平静にし、僕はようやく、その違和感に気づいた。


「何で・・・聞こえないんだ」


少女の心象が、全くもって静かなのだ。


「どっちが重要かはアタシが決めることだろうが・・!!」


「そう?・・・じゃあ魔女らしくいこう。」


緩やかに屋根から飛翔し、こちらの高度へ優しく着地する少女。


「殺し合って、勝った方が彼を貰う。」


「え?」


「はっ!・・・いいねいいね。確かにアタシら魔女らしい・・・ねぇっ!!!」


景品化された僕のことなど、梅雨知らずな様子で、両者は一気にその距離を詰めた。


「・・・・・ぶわっ!?」


一瞬の出来事だった。


少女の身から這い出る、振り上がった銀色の巨刃。零コンマ数秒の内にあったそれを、ギリギリで捉えた頃には、なぜかその体積を収縮させていた。それが、少女の姿を阻まない程になった所で、僕は今起こった事象の認識を終えた。


「ひょうたん?」


どうやら、『少女の身から放出した』というのは、勘違いだったようだ。終点がそこなら、始点もその珍妙な容器から出てきたと見ていい。極小の柄を携えた、奇妙な瓢箪。装飾など、幾分か小綺麗に施されているところを見るに、ただの瓢箪ではないだろう。


「あれ?」


物珍しさで呆けた心持ちを数秒のち、改めて脳を切り替える。抉れたアスファルトの地に、フランが見当たらない。少女の視線が、上空に向いていたので、それに倣って空を見上げる。そこには、吐血しながら、上空へ放られるフランの姿が。


「てめ・・このやろぅが・・!!!」


おそらく何らかの手順で、フランを吹き飛ばしたのだろう。高度を見るに相当の威力だったはずだが、未だフランの闘気が衰えていない。


「『鉄の皇女ブリリアント・スチール!!!!』」


先ほどと同様の口上をもって、少女に刃を投擲するフラン。目測ではあるが、どんな投擲速度であろうと躱せる距離だ。


もっともそれは、フランが投擲以外の何かしらを仕込まなかった場合だ。


「避けて!!」


意図を理解即座に、少女の方へ叫ぶ。


思考速度が弄られれば、『あらゆる物体の速度』が互いの『認識』にとって異次元のそれになる。すなわち、察知できなければ回避不可。まさしく、僕を除いた初見殺しの必殺。


"大丈夫"


「・・・・え?」


突然、今まで全く音沙汰のなかった少女の声が聞こえた。心象にて、その不可解性に何故を問うた瞬間・・・時間が削れたかのように、金属が擦れるような余韻(・・)が聞こえた。


見れば、フランの剣が地に刺さっている。それも、血飛沫やらが撒き散らされている様子もなく、綺麗なまま。一瞬、投擲を誤って外したのかと考えたが、現在の剣の座標と、先ほどのフランの座標を結ぶ直線は、直前の少女の位置を確かに含んでいる・・・・はずだ。


そして、少女が身体の側面をこちらに見せていることから・・・・明確に躱していることが理解できる。


「嘘・・・・何で躱せて・・・・だって、今のは察知できなきゃ・・・」


"問題ないよ、ユウ。こっちに任せて大丈夫だ。"


「・・・っ!?」


まただ。僕が見える彼女の心象は、明確にこちらへ話しかける(・・・・・・・・・)もの。そしておそらく、それ(・・)以外の心象が全て遮断されている。


「意図的に遮断を・・・・いやそもそも、僕の力を理解してる、のか・・・・・?」


心象を読む力に気づかれているのか。だから先ほどのように、心で伝達ができたと・・・・ならば少女のキセキは、僕と同じーーー


「危ない」


「え?」


疑問への整理で遅れた脳は、すでに在った異常事態を見逃していた。だからこそ、僕が認識し得たのは、成り行きだけだった。


「剣が・・・・大量に・・・」


無尽の刃が地面を抉り終えている(・・・・・)。その範囲中、不自然に平面を保った一箇所。おそらく衝撃によって転んだのであろう(・・・・・)僕は、そこにいた。


「チョー・・ク?」


大きな銀色のドーム(・・・)を放つ、黒板用チョークのような円柱形を携えた、少女と共に。


「・・・・・・分身。その『鉄の皇女ブリリアント・スチール』っての、権能ってところかな。」


僕らの上で、少女から放たれた銀色半球が、多量の剣を巻き込んで硬直している。少女は、始点にあたるチョークを折り、それと半球のつながりを断った。


そうして、そのチョークを用い、栓のように瓢箪の口を締める。そうして僕のことなど梅雨にもかけず、線路側の方へ跳躍した。


「ひゅうかっこいい・・・・まるで王子様だね。アタシも惚れ惚れ。」


「互いにそんな(なり)じゃないでしょうに。」


気づけば、飛翔先の線路でフランが立っていた。その手元には、先ほど自ら放ったはずの剣がある。未だその剣の権能(?)に関する詳細は掴めずだが、先ほど言っていた多量の剣と、少女の言及した『分身』。そのうちの一つを拾い上げたというのなら、納得はいく。


一方で少女の手には・・・・・・あれ?槍?


「いつの間に・・・・」


槍の消えた自身の掌を一瞥しつつ、対峙する彼女らに注意を払う。一見軽口を叩いているように見えるが、互いが互いに仕掛けるタイミングを伺っている。心象読まずしてそれを理解できるほどに、二者間の空気が異次元。少なくとも、僕とフランが対峙していた、先程以上の緊張感。


「じゃあまあ、あれだねえ・・・ええっとーーーーーーーーーーーまあ悪いが死ね。」


泥酔者のように、ぬるりと頭を上げるフラン。それが、彼女の行動に対する、唯一の正確な認識情報だった。それ以外が不明瞭になってしまったのは、フランが常人離れの速度で、少女の方に詰め寄ったから。超速に流転した世界に、僕の認識が追いつかなくなった。


「ああ・・・・・そうだな、こちらこそだ」


僕が動転する一方で、少女は静かに言葉を返す。そうして、すぐさま瓢箪の栓を引き抜く。


「『小さな巨人(リミクロン)』」


その口上をもって、空へ何かを描くように、腕を払う少女。手元のチョークの先で、奇妙にうなる銀色の不定形(・・・)は、地を這うように波を描く。


「・・・な・・でっ・・!?」


軌道上にいたフランも巻き込み・・・そして硬直。思考速度が戻った頃には、巨大なアート作品のような、それが出来ていた。


「これは最近手に入った、この世に存在し得る(・・・・・)物質なんだ。」


驚愕に飲まれた僕らをよそに、少女は口を開く。


「性質が相当特殊でね。常温ならすぐに硬直するほど凝固点が高い。だからこの瓢箪の中で超高温に保っているんだ。ほら。この栓に超強力な磁力とか諸々を付与すれば、栓を抜いて、一瞬だけなら液体として扱える。しかもその性質上・・・・」


「ぐだぐだうるせえなぁ!!!戦いの場で長々と説明たぁ舐めてんのか!!!」


ペラペラと口の回る少女に、激昂を飛ばすフラン。硬直した銀の波に飲まれて動けずにいるも、その箇所だけが瓦解し始めている。どうやら、そこまでの拘束性はないらしい。


つまり未だ決着にあらず、戦闘中とも言える状況なのだ。


「・・・・私は舐めてないよ。その上で一つ、君を怒らせる。」


長い駄弁りを止め、『最優の反則手(シャガラグチ)』をフランの方に向ける。そうして・・・その姿が消えた。


「・・・!?」


二者間の距離が一気に狭めたかと思えば、次の瞬間、硬質化した立体造形を砕きながら、切先でフランの腹部を貫いていた。そうして勢いを止めず、直撃位置を始点に、槍を持つ腕を振り抜く。


「いい戦闘シュミ(・・・)だった。悪いね、付き合ってくれて。」


車両に跳ねられる勢いで飛躍した図体に、少女は、悪意ある謝罪を付け加えた。






遅れてしまい誠に申し訳ありません。戦闘描写って、しんどいんだなって。

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