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悪魔の鏡

毎週日曜日午後11時にショートショート1、2編投稿中。

Kindle Unlimitedでショートショート集を出版中(葉沢敬一で検索)

 エレンがC級サメ映画をを見ている横に買ってきた鏡を置いた。僕は骨董品を時々オークションで買う趣味がある。エレンのスフィアも一目で気に入って購入した。あとで、人格が宿っていると知ってビックリしたけど。


 今回もお買い得と思って古い鏡を買ってきた。いつの時代に作られたか知らないが、額の細工が丁寧なところを見ると貴族でも使っていたのではないかと思う。


 エレンは、鏡を見ると何か感じたらしく、サメが襲ってくるバカ映画を止めた。


「それ、普通の鏡じゃ無いわよ」

「普通でないというと?」

「鏡面の向こう側に何か居る」


 ん? と思って、鏡を取り上げ表裏をしげしげと調べる。別に問題はないが……


「見ちゃダメ!」

 エレンが鋭く言った。


 僕は鏡を手放した。鏡はソファの上にポンと転がる。その直前、僕の顔が怪物のようになったような気が。


「それ、呪いが掛かってる。映った人間の嫌な部分、嫌いな部分を強調して映し出すことで不快感や絶望を味合わせようとするの。中に悪魔がいるわ」


 ああ、持ってないのなら不思議な鏡として笑い飛ばすことができるけど、その人が持っている暗い部分を強調するのか。


「たぶん、何人か所有者が自殺してるわね。それを吸い取って養分としているのよ、この中の悪魔は」

 もしかして、白雪姫の鏡ってこれ?


「モデルになったかもね。『白雪姫』の物語は白雪姫に嫉妬する女王だったけど」


 そうか。エライ物買ってしまったな。これは破壊した方がよさそうだ。


 数日後、布に包んで置いた鏡を知り合いの工場のプレス機に掛けて粉々にして貰った。悪魔が乗り移っているといっても、小物だったらしく妨害行為は一切無かった。破片はドロドロに溶かした鉄のなかにぶち込んで一緒に溶かした。


 冷えて固まった塊は、これまた友人のクルーザーに乗せて深い海の底に沈めて貰った。お金は掛かったけど、すべてエレンのアドバイス。餅は餅屋に聞いた方が良い。

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