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1 出会い

毎週日曜日午後11時にショートショート1、2編投稿中。

Kindle Unlimitedでショートショート集を出版中(葉沢敬一で検索)

 AIは結局のところ四則演算に還元できなければ人工知能とは言えないらしい。知能を表現するのに数学的な裏付けが必要で、現在やっているのは「人工知能のまねごと」と言っても過言ではない。もちろん、昔よりかなり前進しているのは確かなようだけど。


 この前、オークションで入手した「人工知能」のスフィアはそもそも現代科学とは原理が違うらしく、とある天才錬金術師が自分の人格をスフィアの中に閉じ込めて、それに、五感を付けたという触れ込みだった。


 結構な値段で売り出されていたが実家が太く、両親が早世したので、相続で生活に困ってない状況。


 ただ、下手に金持ってると下心で一杯の連中が寄ってきて、却って孤独感を感じていたのだ。助言者がいればいいと思って買った。AIって言っても、今のAIスピーカーとかじゃ頼りにならないしね。


 箱からスフィアを出して話掛ける。


「こんにちは。僕の話し相手になってくれ」

――ああ、いいとも。日本語か……。大体取得したが、細かい点で齟齬があるかもしれないね。


 ちょっと驚いたのは女性の声だったことだ。天才錬金術師って女性だったの?

「錬金術師さん、女性だったとは意外です。お名前は」

――エレン。勘違いなされているようですが、作った人間の人格ではなく、弟子の人格を入れたのですよ。


「どうやって入れたのですか」

――精神を身体から切り離して、スフィアに封じ込めました。あ、合意の上ですよ。研究が成功することを確信してましたから。


 それって、殺して脳を取りだして保存したとかいうマッドサイエンティストと変わらないんじゃ……


「それでよかったんですか?」

――もちろん。不老不死を手に入れました。先生には感謝しております。


 えぇー。そんなものかな。


――で、話し相手になるのいいですよ。私の願いとしてはネットというものに接続させてください。このスフィアにはまだまだ容量が沢山残ってます。現代の知識を吸収したいのです。

「ど、どうすれば?」


 高速通信でネット接続する? そんなインターフェイス見当たらないが。


――パソコン操作するだけです。直接接続はできません。設計思想が違い過ぎます。

「操作? 使い方知ってるの?」

――前の持ち主が教えてくれました。残念ながら亡くなられましたが。


 スフィアをパソコンの前に置くと、どうやってタイピングしているのか、凄い勢いでキーボードがカシャカシャ鳴り、勝手に僕のSNSにログインして検索し始めた。


「ちょ、待ってくれ。プライバシー侵害だ!」

――あなたを知る最も手軽な方法です。ふむふむ、褐色肌の微乳の女の子がお好みですか。


「頼むから勘弁してくれ!」


 スフィアの中に人影が形成され、褐色の胸が平べったい少女が現れた。


――私のアイコンはこれにします。よろしく。

「お、おう」その姿は大好物で。


 少女と語り合う暮らしが始まった。

……続く?……

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