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第921話 ルーレットの気持ちい勝ち方

 ドノミとラバイのギャンブル勝負が始まろうとしていた。


 勝負するゲームはルーレット。


 回転する円盤に球を投げ入れ、落ちる場所を当てるしごく単純なゲームである。


 そして今回、特別なルールがある。


 それを当てるのはラバイであること、それからディーラーはイカサマ防止のためドノミが引き受けること。


 外れた場合はドノミの勝利、当たった場合はラバイの勝利、そしてかけ金はドノミが決めること。


「では、始めましょう? チップはいくら賭ける?」


 ラバイがルーレット盤の前でくすくすと笑っている。


 しかし目は本気だった。


 ドノミは球を投げる練習を終えた。


「まずは手始めに100万から……」


 ドノミは考えた末、様子を見ることにした。


 この時、

(それでいい。ドノミさん)

(相手の運気が分からない以上はほどほどに掛けてやり過ごせばいい)

 ハズレは思っていた。


「……………………(ドノミさん、緊張してるな)」


 ロードは無言で彼女を見守っていた。


「100万、もっと大勝負に出ないと借金は返せないけど?」


 ラバイは誘いをかける。


「その手には乗りません。100万と言ったら100万です」


 ドノミが硬く決意する。


「そう、じゃあ私は赤色に球が落ちることに賭けましょう」


 ラバイがルーレットの赤い場所に落ちることを宣言する。


 つまり、黒い色に落ちた場合がドノミの勝ちとなり、かけ金の二倍を入手できる。


「では、行きます」


 ドノミの一頭目。


 小さな鉄の球をルーレットに流す。


 そして、ぐるぐると円盤の周りを回転しながら、当たり、あるいは外れに落ちそうになる。


 ワンバウンド、ツーバウンドして黒の25に落ちた。


「おめでとう、あなたの勝利」


 ラバイが笑顔で拍手を送る。


 この時、

(ふ~~~~)

(当てるつもりはなかったのですけど……)

(流れとやらはもうラバイさんに傾いてないようですね)

 ドノミは安心しきっていた。


「さて、次の勝負に参りましょう。1~~12の数字に賭けます。ドノミさんチップはいくら賭けますか?」


 ラバイが尋ねてくる。


「待ってください。この時勝利した場合、金額は何倍ですか?」


「四倍」


「――――!!!?」


 ドノミは冷や汗をかいていた。


「ひゃ、100万で」


 ドノミは様子を見ることにした。


「………………私が外したら四倍の利益だけど?」


 ラバイが勝負を持ち掛けるが……


「いいえ、決断は変わりません」


 ドノミは大きな賭けには乗らなかった。あくまで安全策。


「そう……」


 ラバイは詰まらなさそうに返事をした。


 そして、両者の合意の元、ルーレットに球が流される。


 ロードたちも見入っていた。球がどの穴に落ちるのかを見守った。


 そして――――


 赤の33に落ちた。


 この時、

(ふぅ~~~~)

(何とか損は避けられました~~)

 心の中で安堵するドノミ。


 ラバイは負けたが悔しそうな顔を見せず――――


「次の勝負と参りましょう」


 この時、

(行けるか?)

(二回連続の負け)

(流れがこっちに傾いて来たか?)

 ハズレは思った。


 そしてラバイは驚きの行動に出る。


「黒の13に賭ける」


 一点集中。


 ラバイは思い切って一点に勝負をかけた。


 数字は0~~36まであり赤色と黒色に割りふられている。


 なので37分の1の確率、こういう大胆な行動に出るギャンブラーはまずいない。


 素人目から見てもそうだ。


 流れが今、傾いてるのならラバイに勝ち目はないのだが、


 この時、ハズレがウィンクした。


 ドノミはそれを見て、許可が下りたと悟った。


「では1000万賭けましょう」


 ドノミは断腸の思いで勝負に出る。


「そう来なくては面白くない」


「勝てば何倍になります?」


「16倍。借金返済は可能な額になる」


 1億6000万を賭けた大勝負が始まる。


 ドノミはルーレットに球を流すと、


 奇跡を見た。


 ワンバウンド、ツーバウンド、スリーバウンドして、


 球が落ちた先は、


 黒の13。


「「「――――――!!!?」」」


 ロード一行は驚いた。


「んん~~~~気持ちい勝ち方」


 ラバイは酔った笑い方をしていた。


「そんな……」


 ドノミは落胆した。


「さぁ、次も勝負しましょう。赤の11で」


 またも一点賭けを行うラバイ。


 この時、

(何かの間違いです)

(こんなことがそう何度も起こるはずがない)

 ドノミは再び勝負に出る。


「チップを1000万賭けます」


「クスクス」


 口元を隠すラバイ。


 そして、奇跡をもう一度目にするとは、そこにいる誰もが思わなかった。


 球を流し、落ちた先は、


 赤の11だった。


「これだからギャンブルは辞められない」


 ラバイは絶頂に到達していた。

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