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第743話 岩の破壊

 ミハニーツが拳を構え、道をふさいでいた蜜だらけの大岩の前に立つ。


「お嬢さん。どうしたんだ?」


 ブルーのトランスヒューマンが訊いてくる。


「ドノミ、自動車に乗っていつでも出発できる準備をして……」


「は、はい!」


 ドノミがハイパーカーに乗り込んだ。


 ミハニーツは拳を振りかぶる。そして――


 ドッと大岩に対して拳をぶち当てる。


 一発目、大岩がズズズと動くぐらいの威力の拳だった。


「はぁ!」


 二発目、ドッと鈍い音が大岩から拳と接触した時、響いてきた。


「お嬢さん、そんなことしても拳を痛めるだけですよ……?」


 グリーンのトランスヒューマンが拳を振るうミハニーツに近づく。


 ギロリと邪魔をするなという目をするミハニーツ。


 三発目、拳の威力が大岩の表面にパキキキとひびを入れる。


「はぁ!」


 四発目、拳が大岩を殴ると大岩全体にピシシシとひびが走った。


「――」


 五発目、ミハニーツの拳が大岩を粉々に粉砕した。


「道が開いた」


 イエローのトランスヒューマンが起きた事態に驚く。


 大岩の排除を行ったミハニーツはすぐさまハイパーカーに乗り込んで、


「早く出して――」


 ドノミにハイパーカーを発進させるように指示する。


「は、はい!」


 ドノミはすぐにアクセルを踏み、粉々になった大岩を後にその場を通過していった。


「まさか、人間があの大岩を壊してしまうだなんて……」


 ピンクのトランスヒューマンが言う。


「そんなことより――道は開けたんだ我々も続こう」


 トランスヒューマンたちが自動車形態になり、トランスカーとして大岩の無くなったコースを走りだす。


 チーム・ミーズはチーム・レッドのトランスカーとチーム・ホワイトポッポを追いかける。


「一位はトランスカーのままですね」


 ドノミがコンタクトレンズ越しに映る順位を見て言う。


「そのままの方がいい。一位は狙われやすいから」


 ミハニーツは拳の状態を見ていた。あれだけの大岩を殴りつけても痛みはなさそうだった。



 ◆ ◆ ◆ ◆



 チーム・カーズアンドロードは現在31位をキープしていた。


「アイテムボックスがあるよ!」


 自動車形態のスロプが声を発した。ロードの方はデコボコ道の軌道読みでなるべく平らな道を探していた為、気づかなかった。


「本当だ……」


「取りに行こう」


「ああ」


 ロードは強引にアイテムボックスのある場所に向かってハンドルを切る。


 バリンとアイテムボックスにぶつかるとコンタクトレンズ越しにアイテムのスロットが流れていく。


 手にしたアイテムは連続パンチングマシーン。


「なんだこれは……?」


「タッチしてみたら」


 スロプが言うのでロードはタッチしてみた。すると――


 車にボクシングで使われるグローブが装備された。


「なんだこれは……?」


「まぁアイテムは基本相手を妨害するものが多いからこれもそうだと思うんだけど……」


 その時、前方をローラーシューズで走っていたチーム・目指せ最速が見えてきた。


(あのスピードなら抜かせるな)


 ロードは徐々にスピードを上げて、ローラーシューズのチームの真後ろについた。


 その時、パンチングマシーンが働いたのか、ビヨンと前方のチームに攻撃した。


「うわわ!?」


 突然の背後からの攻撃でバランスを崩したローラーシューズのチームはその場で転倒した。


「済まない!」


 ロードはしっかり追い抜かしつつも、転倒した選手に謝った。


「ロード! そんなことより前前!!」


 スロプが叫ぶとロードは前を見る。


 正面には岩があり障害物の役割をしていた。


(ハンドルを切る時間はない! ぶつかる!)


 ロードが覚悟した時、


 ビヨンとパンチングマシーンが働いて目の前の岩を破壊した。


「おお、よかった~~」


 スロプが一安心した。


「これなら岩山コースの岩を気にしなくても進めるな」


 ロードは味を占めた。


「ロード前方にまた別のチームが見えるよ」


「今度はパンチングマシーンに巻き込まれないように通り過ぎるぞ」


「えっ……なんで?」


「これは岩用、相手チームを押しのけてまで使いたくはない」


「甘いよロード」


「安全第一」


「うっ、そう言われると何も言い返せない」


 前方を優雅に滑っていたのはスケート靴を履いたチーム・氷の王子だった。


 難なく抜かしたカーズアンドロードだったが、氷の王子はアイテムを使ってきた。


 それはロードたちも装備していたパンチングマシーン。


 ビヨンと伸びるパンチが車の後部に当たり、車姿のスロプをビックリさせた。そして氷の王子が追い抜かす。


「ロード! やられたよ!?」


「もう一度追い抜かす」


 ロードは氷の王子の真後ろについた。


 すると、パンチングマシーンが自動でビヨンと伸びて、前方にいた氷の王子を殴りつけた。


 その場で転倒する氷の王子。


「済まない! 間違えた!」


 追い抜かしたところでロードは謝った。


「いや、こういうレースなんだから、いちいち謝らなくても……」


 スロプが冷静にツッコんだ。


 ともかくカーズアンドロードの順位は29位にまで繰り上がった。

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