第64話 魔王を倒す算段
「魔王が言っていました『秘宝玉がないだから絶対勝てない』とか……」
「その、ひほうぎょくとはなんだ……?」
パレロットが訊く。
「わかりません。ただ魔王が、持っていたものを見せて言ってきました」
「アカ殿には、なにか心当たりはあるか?」
「……秘宝玉とはどんなものだ?」
「えっと……黒い宝石だ。形は丸い玉だった」
ロードが答える。
「……心当たりがない」
「だが、待てその秘宝玉という物も結局は可能性に過ぎない」
カリフ王が発言する。
「じゃあ、その秘宝玉とやらを詳細に調べればいいじゃないか」
(ルロウ?)
「先ほど、確実性のない話には従えないと父上たちが……」
「待て、衛兵の話はそうだが、これは違う……どのみち動かなければいけない。可能性でも、他に微かな希望があるなら飛びつくべきだろう」
「確かに、、、だがどうやって調べる……? もう王国には戻れんぞ?」
カリフ王が問題点を言う。
「アテはある。こういうおかしな話にはうってつけの爺さんを知っているんだ」
「爺さん?」
ロードが質問する。
「ここから、北の方の海辺に住んでいる物知りの爺さんがいるだ。300年は生きてるらしいから色々なことを知っているんだ……」
「さ、300年?」
「どうやって行く? 海辺はここからレオリカンよりも遠い。情報を手にしたとしてもとても明日までには戻ってこられるか?」
「遠いだけなら我に任せよ」
カリフ王の質問にアカが答える。
「ロード。秘宝玉のこと聞きに行くか?」
ルロウが尋ねる。
「ああ、行くよ」
「では、そうしてもらおうか。魔王を倒せる方法が見つかれば、シャルンスの策も再検討する見込みが立つ」
「どのみち戦うのであれば、衛兵たちに戦いの準備をさせなくては……もうすぐ竜の討伐隊も帰る頃でしょう……しかし、まだ足りない。カリフ王どうか我らにストンヒュー王国を取り戻すため、あなた方の力を貸していただきたい」
「ふむ、魔王には我々も借りがある。討伐のための協力は惜しむつもりはない……我が最速の使者は目覚めたか? レオリカン兵団を連れて来なければならん」
「カリフ王、それにつきましては既にチーター殿が先だって向かわれました」
一人の衛兵が答える。
「そうか、今回のことに責任を感じての我より先に行動したか……明日の夜までに間に合うといいが……」
「ではパレロット王よ、ひとまず彼らには与えられた役目をこなしてもらうとして……我々は引き続き会議ですな」
一人目の大臣がそう言う。
「うむ、シャルンス、兵士たちに戦いの準備をさせるのだ」
「はい、父上」
「ロードよ、お前には秘宝玉という物の詳細と、出来れば実物を持ち帰ることを命ずる」
「はい、王様」
「頼むんだぞ二人とも……では行くのだ」
王子と一緒に役目を心得て、その場から歩き出した。
後ろからルロウと、背中に乗ったネズミたちと、アカが続いてくる。




